(新訳)論理哲学論考 2−①

ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論考』の新しい翻訳です。難しいですが、全訳するつもりです。
区切りの良いところで分けながら投稿します。

既存の翻訳では感じ取れなかったものが、感じ取れるようなものになっているはずです。

制作動機などについては、少し前に書いたノート『新作のご案内』と、その次の『哲学 0+1』(マンガ)をお読みください。


今回は、『論理哲学論考』の第2節を7つに分けた内の1つ、2−①です。(なので、2節は全部で2−⑦まであります。)

読み解きは、以下のリンクで。




論理哲学論考 2ー①

     著:ヴィトゲンシュタイン   
     訳:メタモル・あうと郎


2 落下は、事実の事件は、それは、事態からの構成で有る。
  
  2.01 事態とは、対象たち(物・事)の、
     1つのつながりで在る。

    2.011 物にとって、1つの事態として
       構成されて居る事が出来るという事は、
       欠かせない事だ。

    2.012 論理の内では、偶然は無い。
        もしも、物が事態の内で起きている事が
        出来るならば、事態の可能性は、
        すでに予め判断されて居る。

      2.0121 それが、言わば偶然のように現れて、
          もしもその物が1つだけで構成
          出来ているとしても、
          遡ると1つの状態と合って居るで在ろう。

          もしも物が、
          事態の内に起きる事が出来るならば、
          すでに事態の内に在るのでなけらば
          成らないだろう。

          (論理的な何かは、
          ただ可能性で有るのではない。
          論理が働くのは、あらゆる可能性で在り、
          そして、全ての可能性は事態の事実で有る。)

          私たちは、空間的な対象を空間の外に考える事は
          全く出来ず、
          時間的な対象を時間の外に考える事は
          全く出来ない。
          それと同じように、
          私たちはどのような対象も、
          他の対象とのつながりの可能性の外で
          考える事は、出来ない

          もしも事態の文脈の内で対象を
          考える事が出来るならば、
          この文脈の可能性の外で対象を
          考える事は出来ない。

      2.0122 物が独立して居ても、
           全ての可能な事情で起きる事が出来る限り、
           この独立の形は事態の1つの文脈の形で有り、
           1つの依存の形で在る。
           (その言葉が、命題の内に単独で
           1つの点として現れ、
           しかも2つの違った現れ方で現れる、
           という事は不可能だ。)

      2.0123 もしも私が対象を知る事が出来るならば、
           その時、私は全ての事態たちの内で起きる
           可能性を知る事が出来る。

           (そのような可能性が、
           対象の自然な性質の内に無いならば、
           成る事が無い。)

           遡って1つの新しい可能性が見つかる事は、
           無い。

        2.01231 1つの対象を知る時に、
           私はその外部を知る必要は無い。
           しかし私はその内部の特徴を知る。

      2.0124 全ての対象が与えられたならば、
          全ての事態の可能性もまた与えられて居る。

    2.013 それぞれの物は、言ってみれば、
        可能な事態の空間の内にある。
        この空間を私は空だと考える事が出来るが、
        空間が無い物を考える事は出来ない。

      2.0131 空間的な対象は、
           無限の空間の内に有るので無いならば成らない。
           (空間点は入力項の位置で在る。)
           視野の内の斑点は赤で無くても良いが、
           1つの色を持つので無いならば成らない。
           言うならば、彼は周りに色空間を持って居る。
           音は1つの高さを持ち、
           触覚の対象は1つの硬さを持つ、などなど。

    2.014 対象は、全ての事情の可能性を含んでいる。

      2.0141 事態の内でそれが起きる可能性が、
           対象たちの型で在る。





※今回の第2節での新訳ならではのポイントは、「型」です。これは、既存の訳では「形式」と訳されている言葉です。


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