見出し画像

2023年のお盆に京丹後へ「帰省」した話

わたしが2023年のお盆期間を過ごした先は京都府京丹後。訪れるのは3回目。地元ではないが、なぜか落ち着く場所。

帰省客でごった返す東京駅の新幹線改札

緊張して早く起きてしまった遠足前の小学生みたいな自分。予約した新幹線の出発30分前にはホームに到着。帰省ラッシュに飲み込まれ、非日常さに心躍った。

長くて濃い夏休みの、はじまりはじまり。


ライドシェアで旅を満喫

結果的に、滞在中の移動はほぼ人の車に乗せてもらい成り立っていた。

「明日はここに行かなきゃいけないけど、どうやって行こうか」と悩んでいると助っ人が現れる奇跡が連発。

移動中アクシデントも多々あったおかげで、一層増す旅感。今回の旅を語る上で欠かせないライドシェア体験。まずは、乗せてくれたみなさんにBIG THANKSを!

どこでもかけつけてくれる頼れるケンゴさん。
初対面なのに拾ってくれたケージロさん。滞在中ずっと、とてつもなくジェントルマンだった。「こんなにナチュラルに心配りできる人に出会ったことない」と感動の連続。涙
明かりがない山道をグイグイ進む勇敢なアユミさん。普段の雰囲気はおっとりしているからGAPがなおさらステキ!
滞在中ほぼお供させてもらったヤマさん。カーナビに激狭な道を案内される事件。
一緒に乗せてくれてありがとね、サミー♡
まさかすずさんに乗せてもらえる日がくるとは!宮崎で一緒に車に乗ったのが懐かしいなあ!

(写真はないけど、maomaoもありがとう!次もよろしく!)

丹後を訪れるのは3回目だが、毎回誰かしらに移動を助けてもらっている。ライドシェアは、もはや丹後の文化と言ってもいいのかもしれない。

「ここでしか体験できないこと」づくし

滞在中のほとんどを上世屋(かみせや)という小さな集落で過ごし、紙漉き職人のご家族にお世話になった。

ここから集落を眺めれば、誰がどこにいるかだいたい分かるらしい。

「自然とともに暮らす」充足感

人口は23人11世帯。車道が狭いところもあるが、意外と交通量が多い。集落を歩くと誰かしら知り合いがいて、井戸端会議をしたり、物々交換をしたり。昔の人たちはこんな風に分かち合いながら暮らしていたのかなと、ほくほくとあたたかい気持ちになった。

主役を撮り忘れるくらいとんでもなくかわいい看板。
ジブリ映画に出てきそうな家主さん自作。
集落を歩いてアイテムを次々とゲット。冒険みたい。

小さな冒険家たちと家のそばにある滝を目がけて坂を登る。真夏だがひんやり心地よい。

せっかくなので、滝のやや下にある水辺で紙の原料になる植物を洗う体験をさせてもらった。

この作業は「紙を漉く」に至るまでにはまだまだ序の口で、乾燥させたあとは、原料を一日中叩く作業も必要らしい。何だそりゃ。紙を作るためにそんなに工程があるの?知らないことばかりの人生だ。

例年に比べ雨が少なかった今年は、滝の水量がとても少なくなってしまったそう。
ふたりとも逃げて!あぶない!

余談だが、原料を運ぶための電動リアカー(爆音)を、初めて扱うにもかかわらずコントロールが上手すぎた自分が誇らしかった。

ひとさらいではありません。
これが自宅にあるの強くない?ショベルを上下に動かすだけで感動!(感動というより怖がってる)

See you again 夕日ヶ浦海岸

実は、滞在初日の夜は海の家のDJイベントに誘われていた。

次は絶対に飲みたい!

最高のロケーションと天候だったにもかかわらず、「海に沈む夕日を見る」という体験を逃した上に、maomaoのDJにも間に合わず、はしゃぎすぎた反動で体調が思わしくない状況、に撃沈。

波の音も音楽やんな。

地元の宮崎では「海から昇ってくる太陽」は当たり前だけど、「海に沈む夕日」を見ることは絶対にできない。悔しい思いをしたからこそ、考え方を変えてみた。きっと、またわたしがここへ来る理由になったのだと。そう考え直してみると、なんともまあ納得がいった。

追いつけないから、また会いたくなるよね。

(補足:イベント後には体調回復。その後DJさん宅で朝4時まで飲んでいた。うん。濃い初日だったね。)

※こちらのnote更新後、お礼も兼ねてDJさんにnoteを共有したら、なんとも美しい写真を共有してもらった!ハッピー!

かわいらしいDJさん。またお部屋ツアーしてね♫
夕日と海とmaomaoと。

地元の海を愛する人との出会い

上世屋からさほど遠くない宮津湾は、日本三景の一つである「天橋立」の隣に位置する。今回は湾内の釣りだから、波も穏やかで酔いにくい。狙うは、鱚(きす)。わたしにとっては久しぶりの沖釣り&初めての疑似餌以外の釣りということで、テンション爆上がりだった。

絶好の釣り日和!空と海の青!山の緑!すべてが目に優しい。でも、日差しはキビシイ!

結局自分で餌はつけられなかったが(くねくねが無理だった)、みんなで力をあわせ大量の鱚をゲット。

なんとわたしは蛸も釣れた。「この餌で蛸を釣った人は初めて見た」と船長に言われ天狗になったが、その直後に同じ餌でクロダイを釣った天才が現れた。ちくしょう。ミラクルが起き続ける宮津湾。

透き通る美しい鱚ちゃん。これは大物らしい。
根がかりしたと勘違いしてしまう引き方。あの蛸の釣れる感触はまた味わいたい!

「なぜ海の上で松が育つのか、不思議でしょう。それは、宮津湾にミネラルの豊富な湧水が沸き続けているからなんだよ。だから、ここで育つ魚たちは、臭みもなく本当においしいんだ」と熱弁する船長。

海を大切にすること、漁業や農業という一次産業がこれからの日本にはもっと大切なこと、それらを支援する意味についても話してくれた。

天橋立を横目に、宮津湾と仕事を愛する船長の熱い想いを聞くのは贅沢な時間だった。

素材・味付け・彩り・量を愉しむ食事たち

とにかく、食べた。だって、おいしいんだもん。

まずは初日に食べたケンゴさんカレー…。家族の食卓にお邪魔させてもらい、爆食い。移動も、カレーも、感謝!!!

「もう食べきれないよ……」幸せな悲鳴が聞こえる食卓

彩りも飾り付けも味付けも、まるごとおいしい!
ほとばしる夏休み感!
最高のロケーション。外でBBQの解放感と喜びはひとしお。
味付けはシンプルに塩コショウ!
ヤギのチーズと生ハムの組み合わせは永遠と飲める。
じゅるり。
ヤギのミルクを使ったバナナとくるみのケーキ。
ほら。パナップちゃんがこっち見てる。

「与謝野駅前集合ね!」がこれからの定番だと思う

今年の7月にオープンしたばかりのTANGOYA BREWERY & PUBLIC HOUSEは、丹後屋醸造に併設されたビールが飲める飲食店。与謝野駅から徒歩30秒という吞兵衛にはありがたい立地。

このお店では、地元で栽培された「ホップ」を使ったクラフトビール・ASOBIも飲める!(しかも、生!)ただ、これは違った気がする……ん…酔ってる…?

気さくなお兄さんが、うんまいビールとうんまいおつまみを出してくれた。絶滅危惧種に認定されそうというキャロットラペは撮り忘れた。

最&高
このオクラ。このオクラが大事。
締めまでちゃっかり✌

HOTELすず&居酒屋すず&喫茶すず

寝るところも、お酒も、食事も至れり尽くせりのHOTELすず。ここに来たが最後。丹後から抜け出せなくなるブラックホール。

あなた天才?天才なんですか?地元スーパーのちくわ、おいしすぎて買い占めたかった。
シンプルイズベスト。
人生最後の朝食決定。
喫茶すず定番メニュー「ひさみのへしこを使った」ペペロンチーノ。あの、大事だからもう一度言います。「ひさみのへしこを使った」、ペペロンチーノです。これはペペロンチーノ界の大革命。

童心に返る。丹後に帰る。

日常生活でも3歳のお友だちと暮らしてはいるが、旅の途中で出会った多くの小さな冒険家たちの振る舞いに、わたしの心はだいぶかき乱されていた。

眠い&人見知りを発揮して、わたしのこと空気と思ってたよね?慣れてきてからは、たくさんおしゃべりしてくれて嬉しかったよ!
ヤギのミルク(熱処理済)をおすそ分けしてもらった!

遊びたい。食べたい。眠い。いたずらしたい。帰りたくない。欲だらけ。自由。エネルギーの塊!

「これはしたい!」、「これはしたくない!」と正直に言えるうらやましさ。そして、どうしても叶えたいことがあるときにつく嘘の愛おしさ。

どうにかして上世屋を離れたくない冒険家と帰したくない冒険家。
小さい頃にこんなに思い入れのある場所ができること自体が
奇跡的なことなんじゃないか……。

純粋な心に、ぐいぐいと引き込まれる。「あなたももっと素直であるべきよ!」とわたしの心に住む小さな冒険家が何度も語りかけてきた。

彼女たちは文通友だちらしい。会えてよかったね!

そのせいもあってか、わたしも随分と開放的に過ごさせてもらった。寝たいときに寝て、食べたいときに食べて、さばきたいときにさばいた。

釣りの後に記憶がないほど爆睡。何も手伝わなさすぎて、さすがに申し訳なく、寝起きで無心でクロダイをさばいた。普通の鯛と構造違うのね~。案外綺麗にさばけた。

滞在期間の節々で「わたしはきっとまた丹後に行くんだろうな」と、全身全霊で感じていた。

いや、待て。「行く」じゃなく「帰る」という感覚が近いかもしれない。

最初に訪れたときから、妙に居心地がよかったのが何故だか分からなかったけど、きっと「帰る場所」だと思っていたからだろうと今回の旅で気づいたのだ。

それは、ここが「観光」する場所ではなく、「暮らす」場所になっているからだと思う。過去の滞在を思い返してみても、これまで観光はほとんどしたことがない。(丹後のみんな、逆にわたしを観光地へ連れて行ってくれ。)

友に会うために帰り、その度に別の友が増え、次に帰る時には会いたい人が増えている。の繰り返し。

同じ「帰る」でも、「地元に帰る」とは、少し違う気がする。地元にも会いたい人はもちろん居るけど、「会いたい人が増える」という感覚にはあまりならない。むしろ決まった人にしか会わない。

いやあ、不思議。大人になってこんなに帰りたい場所ができるだなんて思ってもみなかった。

きっとまた帰るからね。童心に返るわたしを受け止めてね。そしてまたあなたの車に乗せてね。約束だよ。

P.S.旅のツレは台風なもんで

昨年9月頃に「青春18きっぷの旅」をして丹後を訪れたときも、台風と共に移動をしていたことを思い出した。

昨年は洗濯物を干したら、台風にもて遊ばれたの。

今年も昨年同様仲間を呼んでしまったようだ。ランちゃん。前回は追いつかれなかったが、今回はどうしても一緒に旅をしたかったらしい。

ランちゃんとの移動は危険と判断し、京都の実家・HOTELすずで延泊をさせてもらうことに。あまりにも実家のように過ごし過ぎて(ほぼ寝てた)、自分の図々しさにドン引きした。

せっかくの延泊も虚しく、翌日も新幹線の運休見合わせで帰れなくなってしまった。渋々諦め京都駅近くにホテルを取り、京都市内で大文字を見るまで盆踊りをしながら旅仲間が鎮まるのを祈った。

(この映像は、最後まで本当にすばらしい)

やさぐれ感の拭えない最終日の昼食。
一緒にこれ見たかったんだよね?ランちゃん。

そうして迎えた翌朝。5時45分には駅のホームに到着していたにもかかわらず、新幹線に乗れたのは約3時間後。

ホームに流れるアナウンスに段々と憤りを感じた。
ランちゃん!いつまでわたしと居たいのさ!!

新幹線が到着しても、すでにすし詰め状態のぎゅうぎゅうの車内に絶望の声が漏れる。「俺が先だ」「何を言う俺が先だ」と喧嘩している大人たち。

(いやいや、そもそもあなたたち、わたしより後ろにいたよな?ああん?)

と眉間に皺を寄せていると、「俺たちの方が先でしたよね?最悪っすねえ」とわたしの前に並んでいた青年が声をかけてくれたおかげで、心の大嵐が凪になった。

心優しい彼は恋人らしき人と次の新幹線に乗ることができた。見ず知らずの人の旅立ちがこんなに嬉しいとは。幸せになってくれよな、青年。

わたしの前にようやく表れた次の子は、ひかりちゃんだった。ごめん。本当は、のぞみちゃんがよかった。

ああ、もうランちゃんには会いたくないなー。

帰りがこんなにもきつくなるなんて想像もしていないであろう夏休み初日の笑顔 is プライスレス!


この記事が参加している募集

夏の思い出

いつも読んでくださり感謝です◎楽しくて大騒ぎしたかと思えば、失敗して落ち込んだりして忙しい毎日を送っているわたしです。「今日も落ち着きないな~けど推せるわ~」と呆れながらも「いいね」を押してくださるみなさんに支えられています🐵いただいたサポートは、明日の活力となります🍺