【SNSで話題!】映画と原作と丸出し猛暑

 ※この記事にはネタバレが含まれているかもしれません。いつもならばネタバレをしないように表現をオブラートに包んだりいっそのこと触れなかったりしますが、本記事はそもそも人様に読ませる気が机を貫通した手で買った宝くじが一等になるくらい無いので配慮を一切しておりません。この記事を読んで「観ようとした映画のネタバレをされてしまった」「あの本をこれから読もうと思ったのに展開を知ってしまったから楽しめない」「せっかくの目隠しプレイコースなのに先に責め具と責める部位をバラされてしまっては興奮が半減。オプション料金を返せ。」といった不満や問題が発生したとしてもこちらは微塵も責任を取る気はありません。ご了承下さい。
 また今回の記事は表現にもやや不適切な箇所が出てくる可能性があります。ですがこちらも先ほど同様配慮する気はありませんので「文章を読んでいて気分が悪くなった」「あまりに語彙選択のセンスが無さすぎて文章読み上げソフトがエラーを吐いた」「子供に読み聞かせしようと思ったのになんて酷い記事なんだ、暴力的な子に育ったらどうしてくれる」という苦情にも対応する気はございません。重ねてご了承下さい。
 ここまで文章を書けば簡易表示にて本編は表示されないでしょう。上記の文章を三割くらい踏まえた上で本編をお楽しみください。

 映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が公開されて早数週間。多くの方がご覧になったことだと思います。話題ですもんね、ドラクエ。「あの大作が映画化!」「あの頃の思い出が再び蘇る!」とか言われたらまぁ観に行きますよね、ご多分に漏れず私も公開初日に行きましたもん。事前にチケット買って、集中して観ようと思ってポップコーンも何も買わず、開場時間ピッタリに入場して期待しながら座席に座りましたよ。えぇ…
 幕が閉まり最初に浮かんだ感想としてはまぁ~やってくれたな、と。ああいう展開が公開初日かつ前情報なくやられると一番感想が書きにくい。だって「衝撃の展開が!!」とか書くと身構えちゃうし、「伏線がどうこう~」って書くとカメ止めでみんな伏線食傷気味になってるから「あ~…そういうタイプの…」ってなっちゃうし。かといって当たり障りの無い感想もな~…とか考えながらツイート文を考えた結果むしろ番宣CMのほうがマシみたいなツイートになってしまった。ストーリーに触れる気がないのが丸見えである。
 味気はなくなるが、余計なことせずにドラクエⅤをそのままなぞっておしまい!みたいにしてくれたほうが感想は書きやすかったし、人に薦めるにしても「観るドラクエ」「またドラクエをプレイしたくなる」「花嫁戦争回避用に3バージョン作ってたら星5」「は?ビアンカルートだったからこれで十分だろ」「あ゙?フローラルートこそ正規だろパープリンかお前」「まぁデボラこそ至高だけどな」「「黙ってろ映画未登場の後だし野郎が」」「上等だ表出ろカス共、魔神の金槌でぶちのめしてやる」と話を展開できただろうに。

 私の感想としては、「やりやがったな!」の一言しかない。誕生日パーティーの準備をして、テーブルの上にはケーキやチキン、シャンパンを並べてさぁ食べよう!って時に机をひっくり返された挙げ句「てめぇは俺らの子供じゃねぇ!」と突き放された感覚だった。まぁその後「ウッソぴょ~ん!」とはやってくれたのでちょっと気分は盛り返せたものの、準備をしていたあのときには戻れなかった。
 おそらくこの映画における大多数の『否』はここだ。設定が~とか原作とのストーリー差が~といった理由は後付けであって、一番の理由は「負のちゃぶ台返しが起こってしまった」ことにある。これが絶望的なシーンに重ねて衝撃の事実!ならまだしも上がりに上がったピーク時にかまされたもんだからたまったものではない。映画館じゃなきゃ叫んでた。
 またもう一つの理由として原作の「知名度」が大きく影響していると考えられる。もしドラクエがまぁゲームやっている人なら少し遊んだことある人がいるレベルで、それの世界観がウケて映画化…なんて感じだったらここまで賛否両論にはならなかったハズ。それよりも上映館が少なすぎて比べられるほど論が集まらない可能性もあるけれど…

 この「原作の知名度」というのは映画化をするにあたってとても重要な要素だと思う。名前を知っているかどうかではなく、内容にちゃんと触れたことのある人間の割合だ。これがとても重要。
 例えばスパイダーマン。映画を観た人の中で「原作コミックスに触れたことのある人」は何人いるだろうか。今ならマーベルブームも合わさってかちらほら読んだことのある人はいるかもしれないが、これが映画一作目…つまり2002年の話となるとかなり変わってくるはずだ。原作を知っている人はグッと減るだろう。
 ほぼ誰も知らない作品…でもウケた。何故か。答えは至極簡単。「知らなかった」からである。もし誰もがスパイダーマンを知っていたとしたらそこそこウケたかもしれないが「クモ糸が直接出るとか監督は原作読んでんのか」「ピーターおっさん過ぎて笑う。あれで高校生はねぇだろ」と非難され、これほど評価されなかっただろう。
 これに対して昨今の邦画の実写化を観てみよう。ヒットを飛ばしたのはいずれも原作の知名度が低い=実際に作品に触れた人が少ない作品だろう。読書家の方々からしたら「あの作品を読んだことがないとは何事か!」とたいそうお冠かも知れないが、ぶっちゃけ100字弱の文章もろくすっぽ読めずクソリプ飛ばすような民族の混じる国家の長編小説の知名度なんてそんなもんである。諦めてほしい。
 それに比べ失敗…ヒットはしない話も聞かないあれだけ見た番宣やCMがピタッと止んだ作品たちはどれも知名度が高く、しかも既に映像化してたりするものだから余計に状況が悪い。沼の上に家を建ててるようなもんだからどれだけ番宣しようが配役や主題歌に売れっ子を起用しようが予告を上手く作ろうがどんどん沈む。公開初日には憐れ沼の底、物好きが面白半分で覗くかどうかぐらいまで堕ちる。
 「嘘つけ!!○○は知名度高いけどヒットしたぞ!!」「知名度無いのにそのまま消えていったぞ!!」という主張もあるだろうが、前者の場合はよく考えてほしい。実際に作品を読んだことある人間はどれほどいただろうか。無論あなたのまわりではなく、全体的に見て、だ。
 後者の方は知らない。知名度無く終わったってことはつまりそういうことだったんでしょ。

 話をドラクエに戻す。ドラクエの知名度はかなり高い。発売当時のプレイヤーの他にも他種への移植やスマホ、あまり褒められたものではないがゲーム実況や情報をまとめられたサイトで作品の内容を得た観客も多かったハズだ。そしてその多くは「ドラクエ自体」の映画を求めていた訳で、内容が多少短縮されどあのストーリーが観られれば満足だったのだ。
まさに夢のような世界を観ていた途中で「起きろー!それは夢だー!起きろー!…よし寝ていい!」とかやられて気分がいい訳がない。だからあの『否』の多さなのである。コレジャナイが故の否。
 褒める点が無い訳じゃない。そうなるまでは多少省略はあったとしても面白かったし、なにより音楽と共に動くドラクエを観れたことが楽しかった。あのグラフィックで動くモンスターたちがとにかく好きで、展開上サクサクやられるのは仕方ないのだが欲を言えばもっと個別の戦闘が観たかったし他にも色々なモンスターが観たかった。それくらいモンスターが良かった。というのが私の『賛』である。
 まぁあのぶっくらかえしが全部台無しにしてるんだけど…

 しかしながら、この映画ドラゴンクエストが失敗作だったか?となるとまた話が変わってくる。確かにこの作品が万人ウケするとは言えない、「期待度に見合う面白さだったか」を出来の尺度とするなら失敗作かもしれない。だが、これほど多くの人間に作品を観賞させて内容はどうあれ熱のこもった感想を書かせたんだから「作品」としては大成功した作品だと言える。
 よく「隠れた名作」だの「何故当時評価されなかったのか不思議」だのと公開終了後に"再評価"されている作品があるが、正直なところ公開時に評価されなきゃどれだけ面白くとも失敗作であることにかわりはない。映画はナマモノなのだ、DVDという乾物になってから評価されてももう遅い。遅いのだ…

 映画をよく観る人間…というのは少しおこがましいかもしれないが、平均よか観ている者としては「悪くないが薦められない作品」という位置付けとなっている。最近はやたら強い言葉を使えば面白いと思っているのか少し不満側に針が振れれば「クソ映画」「最悪、観なきゃよかった。」だのと口にする人が多いが、そこまで悪い作品ではない。悪くはない…のだが、両手を上げて「面白いよ!是非観てね!」とは薦められない。苦~い顔をしながら昨今の作品に対する感想や記事を読んでいたりする。双方の訴えがわかる、故に複雑な気分。難しいなぁ…

 以上が私のこの一件に対する考えである。
 みんなもこの映画を観て今一度映画について考えてみてほしい。