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サイコーの褒め言葉

ズーンと沈んだ気持ちのままでいた。

それに輪をかけてといってはなんだが、
例年より遅れて処遇改善手当が支給され、明細を広げて愕然とする。
予想はしていたものの、明日からのモチベーションに支障をきたす程の下がりよう。

いただけるだけ有り難いと思うのか、こんなんじゃ、やってられない!って投げ出すのか、それは自分次第。
上司に気持ちをぶつけても数字が増えるわけでもないし、気に入らなければ他へどうぞ〜っていう感じだろう。
このモヤモヤの持っていきようがない。


ここでの勤務もそれなりに年数を重ね、もうすぐ十年目を迎える。
働ける場所があるだけで有り難いと思う。パートとはいえ、この一年は勤務に穴をあけることもなく、ほぼ毎日笑って仕事ができた。だから尚更、支給された額との落差が大きい。数字さえ気にしなければ、サイコーの年だった。
ここにきてこんな気持ちになるとは。


四月に入ったばかりの新人さんが、わずか一年で退職した。保育実習の時からここに決めて、希望を持っていたはずなのに。辞めると聞いた時は正直驚いた。次の職場は決まっていて同じ業界ではあるけど、お給料はしっかりいただける場所のようだ。

他にも二十代、三十代の若い方ばかりがここを離れていった。退職理由はそれぞれだと思うが、やっぱり数字って大事じゃない⁉︎

そんな話をするたびに
夫からは
「グチグチ言ってないで次のとこ探せば?」

いやいや、言われなくても事あるごとに求人情報はチェックしている。夫とこんなやりとりを何度したことだろう。園児たちから元気をもらっていることに焦点を絞れば気持ちはブレないのだけど…でもなー

そんなモヤモヤを抱えていた一昨日のこと。


フロアの隅で
「これまでお世話になりました。」と、声をかけられた。
退職のご挨拶に〜と可愛い包みを手渡された。幼い娘さんたちを育てながら頑張ってきたママさん保育士。笑顔も所作もキレイな方だ。転職先はまだ決めていないが、次も保育士をやるつもりでいるという。
ご縁があればまた一緒に働きたいね〜
そんな気持ちを伝えて階段を下りようとすると

「この前、〇〇先生と年齢の話になったんですけど…お互いankoさんみたいになりたいねって話してたところです。」


えっ?どういうこと?
娘と変わらない年頃の方からそんな風に?

ankoさんみたいに
なんて言われるとちょっと困る。
いや、照れる。

年齢のわりに元気っていうこと?
いや、まるごと良い感じに受けとっていいの?(そんなのどっちでもいい…とにかく、ありがとう)

その日はルンルンで帰った。
そっとかけてくれた言葉が、こんなに沁みるとは。凸凹の気持ちが平らに均された感じだ。あんなに重い気分でいたのに今朝はこんなに軽い。


可愛くラッピングされたお菓子はもったいなくて、まだ手をつけられない。
孫の写真立てのそばに飾ってある。なぜか、いつもは気付かない夫がソレを見つけ
「コレ、美味しそうだね」と、手を伸ばそうとする。

いや、ちょっと待って。
コレはね…と、どうしてそこに置いてあるのかを説明した。
…ankoさんみたいに〜のくだりは、ちょっと盛り気味に。

「それって、サイコーの褒め言葉じゃん。」

と、なぜか夫は半笑い。
ちょっと、茶化してない⁉︎

夫の反応なんてどうでもいい。
言葉は私が受け取ったのだから。
その時感じたままでいい。

明日からまた、やれそうな気がしてきた。(けっこう単純…)
現実はそう甘くはないと思うけど、添えてくれた言葉がホヤホヤなうちにnoteに書いておこう。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。















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