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精神科CNSが考える「子育て」とイヤイヤ期対応のコツ

背景

 おはようございます。精神看護CNSのいくら軍艦です。この度第二子妊娠中の経過で胎盤に血腫が見つかり、自宅安静指示となりました。仕事を病欠して自宅で過ごしております。この病欠も3週間以上続いており、もう仕事戻っても休みボケしてそうな状況です・・・・
 今日は子育てについて書いていきたいと思います。今私は1歳7ヶ月の息子がおります。本当にかわいい息子ですが、最近イヤイヤ期の兆候が出てきつつあるかなと思っています。可愛い息子が将来、自分に何かあっても誰かと協力しながら生きていけるよう、兄弟姉妹がいたら良いなと思ったのと、人生に1回は子育てに溺れたい欲求があり二人目の妊活、妊娠に至りましたが・・・まさかの胎盤に異常が見つかったという状況です。(幸い胎児は今のところとても元気です)
 今まで長男を育ててきて色んな発見がありました。私が考える「子育て」において最も大切なことは「二人きりにならない」ことです。

産まれる前の心構え

 一人目を授かったときに考えたことは「子どもと良き関係性を築きたい」ということです。精神看護学の母とされるペプロウ先生は、看護は人間関係であると説いた方ですが、子どもと母の愛し愛される関係性が安定して、子どもは成長していくのだと学んできました。しかし、泣く子どもの全てに完璧に対応することは難しいですし、「ほどよい母親(good enough mother)」となって、子どもに足らぬことを教えることも大事となってきます。

「赤ん坊が、自分は母親と一体ではないと認識するために必要なのは、母親が赤ん坊の万能的欲求をよく理解した上で、赤ん坊の要求に答えることに失敗することである。失敗することによって、赤ん坊は自らの要求をなんとか伝えねばならぬことを知るようになる」p.57

「赤ん坊が母親に抱っこされているとき、もし抱かれ居心地が悪く安定感が得られなければ、赤ん坊はむずがって母親の腕の中で動いたり、暴れて母親に訴える。その行為を母親は、赤ん坊の動きを一つのサインとして捉え、赤ん坊を抱きかかえ直す。しかし、それでもまだ居心地が悪ければ、赤ん坊は納得の行くまで母親の腕の中で動いて訴え続けるのである」p.57

「このとき、母親と赤ん坊の間には皮膚と皮膚をとおしての、無意識のコミュニケーションが成り立っている。言葉を習得する前のこの段階で、赤ん坊の全身をもって動く、暴れるといった行為が、母親に見過ごされることなく、確かにキャッチされ受け止められた体験が重要なのである」p.57

 以前私は、母親業は赤ん坊の命を守る重要なことで、泣いたらすぐに対応する、赤ん坊の欲求には完璧に答えたいなと思うこともありました。しかし、完璧には無理ですし、学んでいてどうして泣いているのかわからなくても、「どうして泣いてるのかな?あれかな、これかなー」といろいろやってみてる時間とか、「ちょっとおしりふき持ってくるから待っててね」みたいな多少赤ちゃんをおまたせする時間とかもあって良いことがわかりました。母に訴え続けること、母と一体ではないことを学ぶとてもいい機会なんですね。気負いすぎないことが大事なんだと、育児に対する緊張感が和らいだ知識でもありました。

今目指したいこと「心の安全基地」

 私のとても好きな概念があります。私の恩師がくれた教科書に「こころの安全基地をめざして」と書いてくれたことがあります。私は関わる患者さんや息子だけでなく関わる人にとっての「こころの安全基地(secure base)」になりたいと思っています。

「母親が自分とは個別の存在であるとわかっても、母親の腕の中で十分に抱かれ、守られたという体験をした赤ん坊は、母親にしがみついていなくても母親との精神的な結びつきを感じられるようになる」p.58

「その確かで安全な感覚を自分の内部に取り込み、その精神的な結びつきをもとに母親の腕から離れて外の世界へ出かけ、初めて他者と出会うという経験をすることができるようになる。それはいろいろな危険やストレスなどとの出会いであるかもしれない。しかし、子どもが母親の庇護のもとから離れてつらい思いをしても、自分には帰るところがあると信じられる精神的な世界を持っていれば乗り越えることができる」p.58

 息子はもう保育園でのびのびと活動していますが、これから人との交流はますます盛んになるし、小学校入学もあります。安全なところから離れるのは誰だってストレスですよね。母として、子どもが外で怪我をしても、喧嘩をしても、トラブルがあっても、受け入れて安心できる環境となっていきたいと思わせてくれた学びでした。これをごくごく普通に実施しているお母様もたくさんいるので、すごく尊敬。

「2人きりにならない」こと

 冒頭でも触れましたが、私が育児するにあたって大事だと思っていることの一つです。理想や参考にした知識をこれまで書いてきましたけど、思い通りにならず、体力を消耗するのが育児です。出産直後から3時間毎の授乳、夜泣き、何をしても泣き止まない子ども、自分の時間のなさなどに苦しみました。育休中は保育園にも預けられないです。そんなとき支えになってくれたのは両親や夫、地域のこどもセンターの職員さん、両親学級で友だちになった育児仲間、親子教室の先生の存在でした。

 親子教室はこちらに通っています。子育てに疲れてるときすごく心の支えになっていただいたので、長男4ヶ月のときからずっと行ってますね。

 思った以上に出産直後の子育ては孤独です。(兄弟いれば話は別かもしれませんが・・・)私の場合は両親がたまに手伝いに来てくれましたが、夫が仕事に行けば朝から晩まで赤ちゃんと二人きりです。特に私はもともと看護師ですが、たくさんの人と関わりながら仕事していたので、誰にも会えない、同じことの繰り返しといった生活の変化にストレスがたまりまくってました。まだコロナは流行ってなかったので、曜日ごとにすることを決めました。月曜日は支援センター、火曜日はベビーカーで散歩、水曜日は親子教室・・・1日のルーティンややることが決まっていると生活にメリハリが出て気分は楽になりました。もし2人きりの生活に悶々としている方がいらっしゃいましたらおすすめですよ。

 お金はかかったけれど親子教室の先生の存在は私にとっては大きかったです。行くたびに子どもの変化が感じられるし、プラスのフィードバックのシャワーを浴びることができます。

「毎日育児がんばっているね。優しい声かけとかママが〇〇くんに触れていることは〇〇くんにちゃんと伝わっているよ」

「育児でうまく行かない体験をするのは当たり前だよ。悩んだり試行錯誤しているのはみんな同じだよ。軍艦さんは十分頑張っているよ、やれているからね」

 夫には「そんなことでお金払ってるの」と言われたこともあるし、親子教室の先生ではなくてもこういうことを言ってくれるひとはいると思います。でもなれない子育てで体も心も参っているときに、こんな存在は本当に助けになるんですよね。

イヤイヤ期対応のコツ、まずは「良いよ」

 さて、最近は息子のイヤイヤ期発生の徴候がありその対応に悩んでいますが、親子教室の先生から教えてもらった対応法を実践しています。それは、イヤイヤが生じたら、うまいこと「いいよ」で返す方法です。

例① 今食べたいの!
 息子が大好物のしらすをテーブルに置いておいたら、みつけたとたんに手を伸ばしました。「つまみ食いは駄目だよ」と取り上げると大泣き。
「ご飯が準備できたら良いよ。すぐ盛り付けてフーフーするからね」というと1分位待つことができました。すごい

例② テーブルに登りたいの!
 身体能力が発達してきて色んな所に登りたい息子。テーブルの上に乗って楽しそう。「テーブルの上は駄目だよ」と言って床に下ろすと大泣き。
「ママが見てるときで、椅子の上だったら良いよ。テーブルは御飯食べるところだから駄目だよ」と「良いよ」、から先に言ってみる。不思議と泣かない。椅子でも視界は高くなるので楽しそうな息子、目を離しているときは椅子は片付けてテーブルに登らないようにしました。

なんでも、「もう少し大きくなったら良いよ。パパと一緒にやろうね」「明日になったら良いよ」とかでも良いらしいです。「良いよ」ということで、少なくとも訴えを受け止めてもらえた気になるらしいです。承認欲求を満たすということね、なるほど。

まとめ

初めての子育て「ほどよい母親」で十分

「こころの安全基地」を目指したい

イヤイヤ期は先に「良いよ」で対応

参考文献

精神看護学①情緒発達と看護の基本 編著 出口禎子

「ほどよい母親」 Donald W.Winnicott の理論より紹介

「心の安全基地」 John M.Bowlby の理論より紹介

今後の予定

 読んでいただいた方が知りたいことや理論がもしあれば紹介していきたいと思います。私の子育てに対する考え方ももう少し紹介できたらなと思います。


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