推し語りまとめ・後編 小説以外で「作家買い」が起きる場合について

0.はじめに

「作家買い」という言葉があります。「中身を見ずに作家の名前だけで作品を書うこと」という意味合いだそうです。私が作家買いする小説家の一人が、noteでも触れたアーサー・C・クラーク氏になります。同氏は2008年に亡くなっており、未発表の遺稿が発見されるような事態でもない限り、同氏の新刊は望めないですが(日本に限定すると、日本語に翻訳されていない作品が翻訳される方が可能性がありそうです)、まだ読んでいない作品は見かけたら試し読みなどで中身を見ずに買っています。最近では、「宇宙への序曲」の新訳版を買ったのですが、やはり面白い作品だと感じました。同作はアーサー・C・クラーク氏の小説ではありますが、クラーク氏の小説家以外の側面である、「宇宙開発に関する啓発家」が色濃く出た作品であることが特徴的な作品です。同氏の作風が私に合っているのか、面白い作品でした。


1.本編

色々と本を読んできて、さらにそれらについて文章でまとめて気がついたことは、『小説や漫画以外でも「作家買い」は起きる』ということです(なお、書籍以外でも似たような事例が発生する場合があります)。本noteではそういった条件が当てはまった方や本を紹介します。

2.小説や漫画以外でも「作家買い」は起きる条件

注意:あくまで本note投稿時における基準です。今後変わる可能性があります。

2-1.本の内容

本の内容に関しては、以下のような点が挙げられると思います。

・本を書く上で、下調べ(調査や関係する人物に対する取材)がしっかりしている
・論理展開がしっかりしている(論理の飛躍などがない)
・内容が分かりやすい(難しかったり専門的な内容を省略せずに分かりやすく説明することに試み、成功している)

辺りになると考えられます。どれも地味な内容で、実現させることは手間がかかる内容だと思いますが、個人的には重要だと思われる点です。そして、作者が同じであれば、本が変わっても上述のポイントは大きく変わらないと考えられるので、それ以外の本(既刊や、次に出るであろう本)も上述の点を満たしていると考えられるため、『この人の本なら「作家買い」しても大丈夫だろう』という思考に至ります。

2-2.SNS上での振る舞い

私が今までnoteに書いた小説家のうち、最初の三人は投稿した時点で既に鬼籍に入られた方でしたが、作者が存命の場合、SNSが発達した現在、作者のSNSアカウントを所持している場合が多く、どうしても目に入ってしまいます。そのため、著者のSNSでの振る舞いというのはどうしても評価に影響してしまいます。例えば、本とSNSで言動が一貫しているか?というのはあります。仮に本が素晴らしい内容だったとしても、作者がSNSでヘイトスピーチやフェイクニュースを広めたり、炎上を広める側に積極的に加担している場合、その作者の他の本を読もうと思ったり、おすすめしたりはしない可能性が高いです(私自身が宣伝にX(旧Twitter)等のSNSを利用しているため、様々なポストが目に入ったことも影響しています)。また本の情報をX(旧Twitter)経由で入手することも増えていますが、SNSで上述の行動をしている場合、ヘイトスピーチやフェイクニュースを広めたり、炎上を広める側に積極的に加担している人の書籍の内容は大丈夫なのか?という疑問点が出てくるので、恐らく手に取ろうとする気すら起きない可能性もあります。X(旧Twitter)に関して言うと、私は、『炎上させたり炎上を広めることはかなり簡単だが、逆に炎上を沈静化させることは難しい』と考えており、個人のスマートフォンで手軽にアクセス出来ることもあって、炎上という形でバズることは簡単にできてしまうと考えているで、悪目立ちしやすい仕組みになっているように感じるので、「どのような形であれ目立ちたい」という誘惑に抗える方かどうかというのは確認しています。
あくまで私見ですが、書籍にせよ、SNSでの振る舞いにせよ、作者の価値観を反映させたものになっていると思います(書籍よりSNSの方がハードルが低いのでSNSの方がより価値観が出やすいと思います)。難しいですが、そういった価値観を見定めることが可能だと思います。

補足:私がnoteで投稿した作家や小説家のうち、最初に取り上げたアーサー・C・クラーク氏は2008年に、二番目に取り上げたトム・クランシー氏は2013年に、三人目に取り上げた那須正幹氏は2021年に、それぞれ鬼籍に入られています。

3.具体的な人名と書籍

直近で購入した本の著者を挙げます。本に関しては、このnoteの最後にまとめてリンクを張ります。

3-1.西田宗千佳氏

同氏に関しては、元々同氏のテック関係の記事は読んでおり、以前執筆した「推し語りまとめ・中編(応用編) 「メタバース」題材にした本を例にした本の選び方について」にて、同氏の、「メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略」を取り上げており、さらに同氏が生成AIについて取り上げた「生成AIの核心 「新しい知」といかに向き合うか」についても少し触れましたが、こちらの書籍も非常に面白く、実際に生成AIを使用する時に参考になりました。また、「新しいコンピュータをつくる。enchantMOONの誕生 ソフトウェアベンチャーが変える、ものづくりのかたち」を買いました。2013年の本ですが、「こんなことを考える人っているんだ…」といった感じで興味深く読ませてもらいました。恐らく、次の本が出たら(話題に関わらず)買おうと考えていますし、西田氏の本はまだまだ面白そうな未購入の本があるので、折を見て購入したいと思います。
(なお、この書籍で得られた気づきが、本note執筆の契機となりました)。

3-2.佐々木俊尚氏

同氏に関しては、以前からX(旧Twitter)にてフォローさせていただき、同プラットフォーム上での振る舞いなどを見て、「この方の本は色々と学びがあるのではないか?」と感じ、『この国を蝕む「神話」解体 市民目線・テクノロジー否定・テロリストの物語化・反権力』を購入させていただきました。
こちらに関しては、まだ全て読めていませんが、普段から、色々と見聞きし、自分なりに考えていたこととも合致し、学びを得ることが出来ました。恐らく、次の本が出たら(話題に関わらず)買おうと考えていますし、佐々木氏の本もまだまだ面白そうな未購入の本があるので、折を見て購入したいと思います。

3-3.加藤直人氏

最後の著者は少し毛色が変わり、メタバースプラットフォーム『cluster』のCEOである加藤直人氏と、同氏の本である「メタバース さよならアトムの時代」です(前の二冊と比べると若干古い本であることはご容赦ください)。
こちらの本に関しては、私が既にnoteで触れています。同氏に関しては、恐らく本業がお忙しいので、仮に次の本が出るとしてもかなり先になると思いますが、同氏が『cluster』何をなそうとするのか、『cluster』どうなるかは見届けてみたいと思います。

4.関連note

4-1.推し語りまとめ

推し語りまとめ・前編

推し語りまとめ・中編(応用編) 「メタバース」題材にした本を例にした本の選び方について

4-2.それ以外

生成AIを使ってみました 1

「メタバース さよならアトムの時代」を読んで

5.取り上げた書籍

宇宙への序曲〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF) Kindle版

メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略 Kindle版

生成AIの核心 「新しい知」といかに向き合うか (NHK出版新書) Kindle版

新しいコンピュータをつくる。enchantMOONの誕生 ソフトウェアベンチャーが変える、ものづくりのかたち MAGon Kindle版

この国を蝕む「神話」解体 市民目線・テクノロジー否定・テロリストの物語化・反権力 Kindle版

メタバース さよならアトムの時代


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