健忘録【8】極楽での髄注

そうそう、初のICU(この病院では……)での出来事。

ベスト先生は元々麻酔科で、転科した医師だった。

そのためか、患者の苦痛を最小限にすること、最大限痛みや苦痛を予防し、取り除くことを強く意識していた。また、ICUのトップとして、当時はそれを部下にも促す努力をしていた。

その名の通り、常にベストを追求していたのだった。

ICUに入って間もなくの頃だったのではないだろうか?

髄注をすることになった。

これは、椎間から長い針を脊髄の入っている袋のような髄腔と呼ばれるところに刺す。そこから、髄液を抜き、薬液を注入する。

この際、麻酔を前もって投与してから髄腔に針を刺す派と、麻酔をせずに針を刺す派が実は存在する。

日本の多くの病院では、麻酔をするのが当たり前となっている。

しかし、世界には、麻酔をしないのが当たり前の地域もある。

当時、私は麻酔をしないのが当たり前の病院にいた。

しかし、ベスト先生のモットーは痛みを与えず、苦痛を限りなくゼロにすることだった。

ということで、非常に繊細な手つきで、麻酔がきちんと効いていることを確認しながら髄注をすることとなった。

話し口調も温和で、麻酔を入れる際も過去一で痛みがなかった。

色々話しながら、ベッドの上でくるっと丸まって髄腔に針を刺しやすい体勢の時間はあっという間に過ぎ去った。

当然、髄注も無痛。

本当に、これほど痛みが全くないこともあるのだと驚く程スムーズにいった。

この経験を通して、ベスト先生への信頼は出会った瞬間に構築されましたとさ。

めでたし、めでたし。

今を大切に生きよう!


((実は、生まれて初めての髄液検査(ルンバール)以外は、どれも結構スムーズに行っていた。当然、幸運とスタッフさんの良さも確実にある。もう一つの理由は、母の医師としての経験だろう。ルンバールの際は、前日が当直ではない時にお願いしたいと伝えてくれていたらしい。確かに、勤務時間30時間で実はほぼ一睡もできずに割れるような頭痛と嘔気、目眩に苛まれながら仕事をしている時よりも、前夜は自宅で快眠の方がお互い気分も良いし、成功率も高い。今まで、大体は非常に良くしてもらっているのはスタッフさんの良さも確実にある。しかし、若干はこういうお願いも影響があったのかな?))



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