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【読書③】〜『理論物理学が解明!究極の投球メカニズム』を読んで〜

【読書①】【読書②】に引き続き、今度は『理論物理学が解明!究極の投球メカニズム』を読み終えたので、今回も簡単な感想文です。
 
本書は、山口大学理学部の坂井伸之教授が“物理学”をもとに解明した投球メカニズムを紹介しています。

筆者は高校野球で挫折して野球を諦め、理論物理学の研究に携わるようになったのち、ふと高校時代の疑問がよみがえり、「人間の動作は力学現象に他ならない。動作のコツは物理学的に理解できるのではないか?」と考え、「投球だけではなくスポーツ動作のメカニズムは、物理学的にほとんど解明されていない」ことに気づき、研究をされたそうです。
 
内容構成は、大きく分けて6章と付録の計7章構成ですが、第1章~第4章は運動メカニズムを解明する理論物理学的方法やそれらによって解明された運動メカニズムが紹介されており、付録にはさまざまな計算式の紹介がされていて、正直私のような“文系人間”には理解が難しい内容でした。

高校や大学で物理を専門的に学習していた方なら楽しく深く理解できるのだろうと察します。

また、筆者独自の“定義”が多く、それも理解が難しかった理由の一つです。

短期間であっという間に読み終わってしまったのは、難解な内容で、精読・熟読ができなかったからだと思います。

私のような文系人間の方は、解明された投球メカニズムのまとめが書かれている第5章と第6章だけを読むことをお勧めします。
 
詳細には触れられませんが、

 並進運動の加速度を増すための上半身の姿勢

 並進運動の加速度をさらに増すために自身の内側の力(筋肉)を使うタイミング

 コントロールを安定させるためのボールを持つ手の動き・軌道

 適切なリリースポイント

などの学びを得ることができました。

引用: https://note.com/kentainoue96/n/nb796d3387fcf


ただ、本書のあとがきで、筆者は、投球動作の仕組みについて物理学的にメカニズムを解明できたが、「どのような練習をすれば良いか?」について具体的な道筋を示すところまでは至らず、それに関しては現在進行中であると述べています。
 
私もあとがきを読む前に感じましたが、本書で紹介されているのは、投球メカニズムであり、指導法ではありません。

これは読者にとっては、あくまで投球メカニズムに関する知識・原理原則です。

表現を変えると、ピッチング指導の際の“チェック項目”といったところでしょうか。

指導者は、この投球メカニズムをそのまま指導するのではなく、それに則した投球動作に近づくためにどのような練習をすればよいのかを考えなければなりません。
 
私自身も読みながら「こんな練習をするとよいのではないか?」と練習メニューを思い付いたりしましたが、実際にその練習が運動力学的に、物理学的に本当に正しい練習方法なのかどうかは確証が得られないので、また今後もいろんな書籍や研究に目を通し、アンテナを張り続けていこうと思います。

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