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初めての美術授業で役立った本

こんにちは。河口です。
確定申告がおわらないけれど、考えはすぐにまとめておかないと忘れてしまうし、これを書くのはしょうがないんだ。
などと言い訳しながらこのnoteを書いています。助けてください。

今回は、私が大学を卒業してすぐに美術の非常勤講師になったとき、とても助けられた考えや、手法を書かれた本を紹介します。

生徒たちが美術や私を通じて、日々グローバルになる世界へ旅立つ手助けができるように。

必死だったころの私と、同じ立場の人たちへ。
すこしでも参考になったらうれしいな。
(例に漏れず、このnoteも2500字以上になってしまいました。適当に読んでください。)


授業の腕をあげる法則

向山洋一『授業の腕をあげる法則』(明治図書、1985年初版)

こちらは新版も出ています。

やってみて初めてわかるのですが、先生って本当にすごいんです。
生徒をうまいこと授業に向かわせるとか、やる気を出すとか。
そういうのは最初じゃ全くわからなかったな。

そんな、右も左もわからず、それでも全力でやるしかなく、様々な文献を読みあさっていたとき、技術科の先生に貸していただいたのが、この本です。

著者は向山洋一さんという「モンスターペアレント」や「学級崩壊」という造語を作られた、日本の有名な教育者です。

恥ずかしながら、私はこの人を全く存じあげませんでした。
美術のことにしか興味がなかったから、当然といえば当然かもしれません。

この本には、「教員が授業の現場でどのように教員としての腕をあげたらいいのか」、そのために「まず何をすればいいのか」、「次に何をするのか」、「それをどの程度やればいいのか」、「結果として、どの程度の技量が身につけられるのか」といった問いに、授業づくりや教員としての姿勢に焦点を当て、具体的に答えようと書かれた本です。

初版が1985年とは思えないほどに、今でも通用する教育書だと思います。
私も、授業づくりで迷った時はこれを何度も何度も読みこんで、授業や生徒の分析をしました。
こどもは、いつの時代でも本質は変わらないということなんだろうな、とひしひし感じます。


新コーチングが人を活かす

鈴木義幸『新コーチングが人を活かす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年)

こちらは学校教員としてはすこし外れます。
1対1で教える立場になる人たちへ、コミュニケーションを改善し、人を活かす対応について書かれた本です。
美術は生徒対応が個別になりがちなので、必要かなと思って読んだら結構よかったです。
1項目ずつ、わかりやすく書かれた技術書なので、さらっと読むことができました。

個人的に、美術系の人って、ちょっとコミュニケーション苦手な人が多いんじゃないかなと思います。
私もそうです。
自分の価値観がマイノリティだと感じることが多い中で育ってきました。
どうあがいてもその価値を曲げることなんてできないし、合わせ続けたら疲れてしまう。
でも、そんな私たちだから、相手を認めることができるし、相手を活かすことができるんじゃないかな、なんてこの本を読んで改めて感じることができました。


中学校美術の授業がもっとうまくなる50の技

山崎正明『中学校美術の授業がもっとうまくなる50の技』(明治図書、2019年)

非常勤ってお金がなくて、あんまり本を買えないっていうところがネックでした。そんなとき、ネットでめちゃくちゃ調べまくってたどり着いたのがこのブログです。

山崎正明さんという、北海道で教員をされていた方のブログです。
美術授業や美術教育について、真摯に取り組んだ考えがたくさん載っていました。

前も言ったけど、美術って、基本学校に一人なんです。(学校の生徒数によって教員の数って決まるらしいです)
だから誰にも美術教育的な相談もできないとき、この人のブログを隅から隅まで読んで、美術教員としての考えを補わせてもらっていました。

その人が出した、中学校美術授業についてのノウハウ本です。
前述したとおり、本当に非常勤はお金がないので、まず2000円代で買えるということが本当にありがたくて、失敗でもいいや買ってしまえ! と購入しました。
中には、生徒を認めようと試行錯誤した愛がたくさん詰まっていました。
生徒が、主体的に美術を学ぶにはどうしたらいいのか、こちらが何に気をつけたらいいのか。
題材設定の方法や授業づくり、声かけまでびっしり載っています。
美術教員が、生徒対応や題材で悩んだときに持っていたら助かる本だと思います。


美術史が載った本

さいごに。
ざっくりとした本の紹介の仕方ですみません。
美術史(日本美術史、西洋美術史)の本で個人的にお勧めな本を載せておきます。

(ごめんなさい、西洋美術史のほうの本は上記のものを持っていません。ただ、流し見した感じ、私の持つものより良さそうだったので載せておきます)

美術教員って、美術史や芸術史が必修なんですけど、
(私の大学はそうだったんですが、個人差あったらごめんなさい)
やっぱり、美術の先生は美術の歴史やこの人はこれがすごいってすぐに言えないといけないかな、というのがこの一年美術を教えていて思ったことです。

こどもって、やっぱり大人に影響を受けていきているんですよね。
それは、美術的価値観もそうです。
周りに、「上手いか下手か」でしか価値を求められない大人しかいなかったら、こどももそのとおりになってしまう。

例えば。
私、ゴッホ 好きなんですよね。
彼の鮮やかで力強い色たちを見ていたら、目の奥がぐわって熱くなって泣いてしまう。
強くて、勇気がもらえるから、好きなんです。

でも、ゴッホって、決してデッサンは上手くない。
デッサンという如実に分かりやすい上手さは持っていないのに、それでも彼はすばらしい画家として今も言われている。
それは、色彩センスからきてるのかなあ、と個人的には感じます。

でも、そういうことを、真摯に伝えるためには、いろんな画家を知っていないといけないし、美術の知識がないといけないなと強く思います。

例え、透視図法ができなくたって、デッサン ができなくたって、
「君の絵はどこかゴッホ のような力強さがあるね」
なんて認めた声かけができるのが、美術の先生かなって思っています。

そのためには、やっぱり美術史の知識が必須かなあ、なんて思うわけです。

美術の授業って、理解されなかったり、興味持たれなかったりすることが多いけど、頑張っていたら生徒がどんどん変わっていくのが分かります。
ぜひ、参考にしてもらえたら嬉しいです。


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