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自由エネルギー原理とは?わかりやすく解説

自由エネルギー原理(Free Energy Principle:FEP)は、生物システムがどのようにして環境と相互作用し、維持・適応するかを説明する理論です。神経科学者カール・フリストン(Karl Friston)によって提案されました。この原理は、生物がエントロピー(不確実性や不規則性)を最小化することで、生存しやすい状態を維持しようとするという概念に基づいています。

自由エネルギー原理は、生物が内部状態を調整し、予測エラー(現実と予測の差)を最小化するプロセスを通じて、外部環境との適応を達成すると提案しています。予測エラーの最小化は、生物が情報を効率的に処理し、不確実性を軽減することにつながります。

この原理には、以下の2つの主要なプロセスが含まれています。

  1. 予測:生物は、内部状態や外部環境に関する予測モデルを構築します。これは、神経活動によって実現されると考えられています。予測モデルは、経験や学習を通じて更新され、より正確な予測が可能になります。

  2. 予測エラーの最小化:生物は、予測モデルと実際の観測データとの間の差異(予測エラー)を最小化するように働きかけます。これは、感覚データの再解釈や行動の調整を通じて行われます。予測エラーが小さくなるほど、生物は環境に適応しやすくなります。

自由エネルギー原理は、認知科学、神経科学、心理学、人工知能など、多くの分野で研究対象となっています。また、この原理を用いて、知覚、学習、意思決定などの複雑な認知プロセスを解明する試みが行われています。

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