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貯蓄から投資は、”円から外貨”が1st STEP(みずほ銀行 唐鎌 大輔氏/モーサテ20231002)

岸田政権は、資産運用立国を掲げていて投資を増やすことを目指している。

2023年9月20日、日銀から四半期に1度の資金循環統計が発表された。2023年6月末時点で、資産は2,114.9兆円のうち、円建ては96.5%と非常に高く、円の現預金は52.5%と、金額にして、約1,100兆円位と言うことになる。そのため、日本の家計部門の保守的な傾向は変わっていない。

しかし、特筆すべきこともあり、家計金融資産の株式・出資金の比率が現在12.7%となっており、金融バブルと言われた2006年1-3月に付けた12.9%強に肉薄する水準であり、更新出来るかどうかがポイントとなる。

外貨建て資産は、2022年12月末から2023年6月末と比較すると、3.2%から3.5%と僅かながら、0.3ポイント上昇している。もう少し遡ると、2000年1-3月期から比較すると、0.9%から3.5%になっているため、約20年で4倍になっている。

現時点で外貨建資産の存在は非常に小さいが、これから政策的な後押しとなると、貯蓄から投資は、円から外貨に流れていくこと可能性が高まる。

一つの理由として、投資信託協会のデータ(2012年3月以降)によると、国内株式より外国株式のほうが多く売買されており、昨今の円安には、これが影響している可能性はある。

昨今、三井住友銀行のドル定期預金の金利の引き上げと言うニュースもあり、感度の高い人は既に取り組まれていると思うが、資金循環統計の大数は高齢者の方々になるため、今回の引き上げは侮れないを取組みだと感じる。

この取組みが理論的に正しいかどうかより、日本人みんなやってるからやってると言うのが好きであるため、このニュースをきっかけにして、ドルに資産が流れる可能性は高く感じている。

現在、東京為替市場は、明らかに円を売りたい人が多いマーケットに変わってきている。これから円安の時間の方が長くなっていくことを前提で考えると、円安での物価高になっていることを踏まえ、投資以前に、自己資産への危機感として、外貨への置き換えることで防衛するフェーズに変わっていくと考えられる。

現在、現預金だけで約1100兆円あり、仮にこの中から5%外貨に置きかえるだけで55兆円、10%であれば110兆円が円売りになる。日本の経常黒字が年間11兆円程度のため、5-10%外貨に動くとなると相当なインパクトをもたらすため、円安圧力になりかねないという。

2022年、為替が152円に到達した際、資金循環統計の外貨建資産比率は変わらなかった。裏を返せば、家計の円売りが出なくても152円までは行くということを示す。つまり、円から外貨への運用が多くなり、家計の円売りが始めると、いくらまで行くのか?というのが、日本経済の大きなリスクになると考えられる。

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