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ゴッホの色彩テクニックと技法。黄色に隠された秘密/影響を受けた日本の浮世絵とミレーの作品たち。

ゴッホの芸術の魔力に魅了された絵描きとして、彼の色彩に対する大胆なアプローチ、独創的なテクニック、そしてアート界に与えた深い影響について。

ゴッホのテクニック 

渦を巻くような筆致の力

ゴッホの筆致から伝わってくる感情の深さに、私は絵描きとして常に感動しています。
ゴッホの勢いのある、渦を巻くようなタッチや、厚く塗られた絵の具は、キャンバスに自分の魂を剥き出しにしたように感じます。

ゴッホは、精神的な苦痛を感じながらも、芸術の持つ力強さを証明しつつ、とてつもない集中力で、毎日に1、2枚の作品を描き続けたそうです。

当時のゴッホの粘り強さや執念に思いを馳せて、僕自身の挑戦にも粘りが加わったことは言うまでもありません。


星月夜

鮮やかな色彩感覚、色使い

ゴッホの鮮やかな黄色や青など大胆な色のコントラストを臆することなく取り入れた作品は、僕を含め絵描きになる人は皆んなインスピレーションを受けたと思います。

それは、キャンバスに無造作に色彩を散りばめるという単純な行為ではなく、美術理論を深く理解している証。

収穫

オランダやベルギーでの初期の暗い色調の作品から、フランスのアルル時代に見られた鮮やかな色調への変貌は、画家が環境に適応し、周囲から刺激をうけて、作品に生命の躍動感を吹き込んでいる顕著な例であるように思います。

ゴッホがアルルに移り住んだことは、ゴッホの芸術の旅に大きな変化をもたらし、太陽の光が降り注ぐこの新しい環境で、彼は日本の浮世絵の鮮やかさと西洋絵画の技法を融合させた、まったく独自のスタイルを作り上げます。


ゴッホの黄色について

ヴィンセント・ファン・ゴッホと言えば、独特の色彩感覚と、特に黄色を用いた鮮やかな作品が有名です。
しかし、なぜ彼が黄色をここまで愛し、その色を主体に使っていたのか?

絵の具をそろえれないから安価な黄色

ゴッホの生涯を見れば、彼が経済的に困窮していたことは明らかです。
彼の作品は生前いちまいしか売れず、生活を支えていたのは弟テオの援助だけでした。

頻繁に交わされた兄弟の手紙からは、ゴッホがテオに深く依存し、テオがその期待に応えていたことが分かります。

経済的な制約から、ゴッホは絵の具の選択にも工夫を凝らさなければならなかったかもしれません。

彼が黄色を多用したのは、一部の説では、黄色の絵の具が比較的安価だったからとも言われていて、彼の黄色への愛は、物質的な困窮から生まれた芸術家としての創造的な解決策だったのかもしれません。

12輪のひまわり
インディーズの画家に絵のオーダーメイド


内面から出てくる黄色

もう一つの理由は、単純に黄色が好きだったからというものです。
彼の作品からは、黄色が持つ温かさやエネルギー、活力への強い傾倒をかんじます。

これはゴッホ自身の心情や世界観を反映したものだとすると、内向的だったゴッホが、無意識のうちにこの色を求め、それを自分の作品に反映させた、もしくは、明るい絵を描いて自分を元気づけていたのかもしれません。


麦畑

いずれの理由にせよ、ゴッホの黄色は彼の作品に明るさと力を与え、観る者を引きつけてやまない。
その黄色は、ときに心を元気にしてくれ、また穏やかな感覚をもたらしてくれます。

ふたつの大きな影響

ゴッホとミレー

ゴッホは、画家としてのキャリアを通じて多くの芸術家から影響を受けてきました。
その中でも特に、彼が心酔していたのがジャン=フランソワ・ミレーです。

「種まく人」「落穂拾い」「晩鐘」などで有名なミレーは、農民や農村の生活を描いた作品で知られ「農民画家」と呼ばれた、ゴッホより約30~40年前に活躍した画家です。

種まく人落穂ひろい落穂ひろい

ゴッホは早い時期から貧しい人々の生活に共感を覚え、ミレーの農民の日常を描いた作品に強く引きつけられていました。

特に、ミレーの「種まく人」はゴッホに大きな影響を与え、彼自身も何度もこの主題で作品を描きました。

落穂ひろい

ゴッホと日本の浮世絵

ゴッホは、西洋美術だけでなく、日本の浮世絵からも大きな影響を受けていました。
特に、歌川広重の「名所江戸百景」シリーズから得た刺激は、彼の作品における構図や色彩、アウトラインの使い方に明確に現れています。

ゴッホは広重の作品を模写し、そのダイナミックな構図と明確なアウトラインを学びました。そして、これらの要素を自身の作品に取り入れ、ヨーロッパの風景や人々を新たな視点から表現しました。名所江戸百景 亀戸梅屋敷

名所江戸百景 亀戸梅屋敷

これら二つの異なる文化からの影響がゴッホの作品に見られることは、彼が絶えず新しい芸術の探求を行っていたことを示しています。
ゴッホの作品は、西洋と東洋、そして伝統と革新の交差点に位置していたのかもしれません。

ちなみにミレーの「種まく人」と広重の「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」を完全に組み合わせた作品がコチラ

種まく人 フィンセント・ファン・ゴッホ

追及を続ける

ゴッホには、単に情熱的な画家というだけでなく、芸術の先駆者であり、ビジョンを実現するために絶え間ないトライ&エラーを繰り返したパイオニアだと思います。

研究し、実験し、自分の技術の限界を押し広げ、最終的に僕たちにインスピレーションを与える素晴らしい作品を生み出しました。

ここでいきなり僕の話なんですが、いま廃品のTシャツを切って木製パネルに張り付け、ジェッソなどでカチカチに固め、その上から色を塗るという新しい試みをしています。

これまでもそうでしたけど、新しいことを始めるときの最初の作品は、納得いくまでにメチャクチャ時間がかかりますし予想外の壁にぶつかりますけど、そこには学びあり、必ず絵のヒントがあります。

今回ゴッホの事を勉強して、ゴッホも生まれつきの天才ではなく、努力や研究の鬼だったことが知れました。
未熟ではありますがゴッホ先輩に習ってこれからも自分の作品と真剣に向き合っていこうと思いました。


MOL
2020年東京から福岡へ拠点を移し、絵のオーダーを受けながら作品やオリジナルの洋服、ポスターなどを販売するネットショップも運営。グループ展に参加したり、有名アスリートなど著名人にも作品を提供。
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