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Customer Success Cafe ~SaaS事業の成長を支える「サクセス・イネーブルメント」~ に行ってきた!

「カスタマーサクセス」を「イネーブルメント(できるようにする、有効にする)」にしていくための取り組み「サクセス・イネーブルメント」。カスタマーサクセスの先駆者による、カスタマーサクセスをサクセスするための取り組み事例について聞いてきました!
※セッションの情報量がメチャクチャ多かったので、パネルのメモは今回は割愛させていただきますmm

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■概要
日時:2019/12/9 (月)19:00〜
会場:TECH PLAY SHIBUYA 東京都渋谷区宇田川町20-17 NMF渋谷公園通りビル 8F
詳細:https://techplay.jp/event/754735

事例セッション(1) Sansanでオンボーディングの都市伝説を検証してみたよ

登壇者:Sansan株式会社 カスタマーサクセス部 シニアカスタマーマーケティングマネジャー 山田 ひさのりさん

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本日のテーマ:オンボーディングに失敗したら顧客はどうなるのか?
カスタマーサクセスの真髄は「オンボーディングにあり」とよく言われる。
「オンボーディング」=顧客をサクセスに乗せるための仕組み。

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顧客ライフサイクルの基本フレームワーク
オンボーディング期とサクセス期に分かれる。オンボーディングに失敗すると、サクセス期に移行出来ない、と一般的にはいわれているが、ちゃんと検証したって話は聞いたことがない。

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「オンボーディング」と「チャーン」に相関はあるのか?
→3年間の成果を見ると、関係がなさそう。
発想を変えてみて、「オンボーディング」と「ヘルススコア」に相関はあるのか?をみてみる。

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前提:Sansanのヘルススコア=「DEAR Frame」
4つの観点でヘルススコアを考え、4つの値で判定している

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今回相関を見たのはAdoption4つとROIの項目。
Adopsion=「顧客のプロダクト利用状況が良好化どうか」を表す
ROI=「顧客がサクセスしているかどうか」を表す、インフラストラクチャスコアをみた。業務定着しやすい機能を使っているかどうか。

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オンボーディング完了から1年後のスコアー全体
オンボーディング完了後、成功と失敗とではヘルススコアに1.8倍〜2倍程度の差がでた。オンボーディング大事。

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ふとした疑問:オンボーディングに失敗した人たちはその後どうなるのか?
悪化したヘルススコアのどれがチャーンの引き金となるのか?
→まずはヘルススコアが正しく機能しているのか検証してみた。
→優良顧客を「利用年数が長い顧客」と定義する(ここ重要)

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継続案件の分析
年数が長くなっても、名刺消化率はヘルススコアが下がる傾向があった。

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チャーン案件の分析
3〜4年目に解約する顧客が多い。チャーン案件においても年数と共に各種スコアは上昇する。

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ヘルススコアから読み取れる結論
「名刺枠消化」がチャーン因子である、と結論。
特定の顧客のヘルススコアだけに囚われていると目が曇る。
「チャーン因子」を特定し、それをアダプション活動のKPIと位置づけることが重要。

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まとめ・結論・感想
オンボーディングの失敗はヘルススコアのベースを悪化させ、それがチャーン因子を引き下げ始める。

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オンボーディングの失敗がすぐにチャーンに繋がることは少ないが、ヘルススコアが低い状態が数年推移し、チャーン因子を引き下げ、顧客の期待値の限界を超えたとき、チャーンが発生する。顧客のセグメント毎に異なる「数年」の単位の傾向を見出すこと、「期待値の限界」を表す値を探すのが目下の課題。

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オンボーディングの効果は短期では気づけない。
オンボーディングを頑張るのはやはり正しい。

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事例セッション(2)SaaSの顧客エンゲージメント

登壇者:株式会社マネーフォワード クラウド経費本部 本部長 今井 義人さん

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エンゲージメントについて話す前に、前提
経費精算のシステム=オンボーディングに関係各所の調整が必要。全社一括導入ゆえチャーンは低く稼働率は高いが満足度が高いかがわかりにくい。

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経費精算とは?→必要だが誰もやりたがらない負の塊のような業務。
負のありか→意思決定に直接関わらない一般従業員が最も関わる時間が大きい。

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顧客のエンゲージメントを測定する方法
・CES:オンボーディング完了時に調査
・CSAT:プロセスごとの満足度調査
・NPS:総合的なエンゲージメントの指標

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企業毎のNPS分布
・エンタープライズの負
 ・大企業になればなるほどNPSが低くなりがち
 ・無理に業務をシステムに寄せてしまい、使用者のエンゲージメントに影響をあたえがち

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正直、NPSの活用は難しい
→BtoB向けに限ったエンゲージメントがあるのではないか
→顧客の意思決定プロセスに応じたエンゲージメントの測定の仕方、アプローチ方法がありそう

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トップダウンの購買方法の場合
→現場にやらされ感が出てエンゲージメントが低くなりがち

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管理者主導の購買の場合

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現場が満足なケース
→管理者が把握していないことが多く、管理者にFBしてあげる必要がある

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まとめ
導入時の意思決定方法、レイヤーごとのエンゲージメント状況に応じてイネーブルメントの方針を分けて考える

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事例セッション(3)導入時の目的別オンボーディングで顧客努力を軽減していきたい!

登壇者:株式会社スマートドライブ カスタマーサクセス マネージャー 島 友美さん

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スマートドライブサービスの特徴

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CSの活動
施策実施の際に意識していること

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CS活動Phase1→顧客努力の軽減とサポート体制の確立
・お問い合わせ数の削減
・対応品質を高める→サポート、サクセスの体制の整理

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Phase1を通じて見えてきた3つの課題→Phase2で対応

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導入目的の整理
機能・活用方法に関する問い合わせの対応として、顧客の知りたい順に伝えることで顧客努力の低減を実現。

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Successを再定義
運用を定着させる活用の提案の為に、高いレイヤーからSuccessを再定義。導入目的からサクセスの範囲を拡張・発展できる

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活用指標、理想のアクションを定義
特定の機能しか利用されていない課題解決のために実施。現状の利用状況から理想のアクションを定義し、どんなアクション、サクセスにつなげるための指標なのかを定義した。

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直近の取り組み
テーマ:導入目的・状況に合わせたサポート

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・目的別にオンボーディングメールを使い分け
・提案型のオンボーディングの実施

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オンボーディングメール
導入目的別に配信内容を見直し

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配信タイミング:運用を促進するためのリマインドメールを配信

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提案型のオンボーディング
利用者を巻き込み運用フローに導入してもらう

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まとめ
本質的なサクセスを定義→計測方法の決定→サクセスの伴走

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事例セッション(4)atama plusのCustomer Success:サービスの代替ではなく、ビジネスの変革を支援する

登壇者:atama plus株式会社 共同創業者/取締役 中下 真さん

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会社・プロダクトの説明
atama plus:EdTech 学習を一人ひとりに最適化するAIのサービス。
教育をアップデートしたい会社。
時代の変化と共に、人が人に求めるものが変わって来ているにもかかわらず、教育は変わっていない。基礎学力の習得をAIで短縮し、社会で生きる力を作る。

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事業モデル:BtoBtoC
atama+→学習塾へ販売→保護者に販売。
授業形式の変化:AIがティーチング、人がコーチング
塾がatama+を導入する理由
・atama+を使って売上を増やしたい
・課題を解決したい
 ・成績を伸ばしたい(成績を一律に伸ばすことは難しい)
 ・人材不足

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CS活動の変遷・経緯

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atama+のCS活動
2017年〜
atama+の操作や仕様がわからずに困ると予想。
紙からAIへの変化で教室長が使い方がわからないと予想し、初期のCS活動は徹底的な現場サポートに注力。
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初期のつまづき
教室長はatama+の使い方を理解していたが、保護者に提案しておらず、利用が伸びなかった

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なぜ、塾がatama+を提案しなかったのか?
塾の視点からatama+はなにか?を考え直した→atama+は授業そのものを変えるものである、と気づいた。
既存の授業は塾が決めたペースで授業が進む。
今までは一律の進度で授業を提供していたが、atama+は個々人で進度が変化するため、一律の授業提供ができない。
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atama+を導入することにより、必然的に授業設計が変化するため、塾にとっては「事業」変革と同義。現場担当レベルで判断出来る話ではない。

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atama+導入で塾が変革することになること
経営、事業、教室運営・・・→新規事業ゆえ誰も「解」を知らない

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atama+のサクセス・イネーブルメント
「解」が無いのであれば、それを最速で見つけられる体制を構築。課題を「個社」と「共通」とで分けて、全体での課題解決速度を上げた。

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支援施策の事例
経営層との経営課題に踏み込んだ議論、事業設計

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集客チラシや講師向けのマニュアルなど、教室運営を詳細に設計。

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まとめ
CSの役割・認識が「プロダクトの使い方を伝えること」から「塾の事業成功支援」に変化した。

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感想・まとめ

結論から言うと「サクセス・イネーブルメント」がどんなロールを指すのかは結局よくわからなかった。それは、登壇した4社の事業領域も対象市場も事業Phaseも全然違うから、表出する施策・ロールで見ても違い過ぎて共通項が見出しにくいから、だと思う。
自分なりに解釈すると、顧客のサクセス実現のため、①顧客のサクセス(またはサクセスしなかったこと)を定義し、②実行可能な、アクションにつながるKPIに落とし込み、③顧客と伴走しながら、④何らかの形で計測し定量的に振り返る、という一連の仕組み・土台づくり、と、理解。要するに、顧客のサクセス実現のためのPDCA設計、ってことか。
SMB向けなのかエンタープライズ向けなのか、使用者を対象とするのか経営者を対象とするのか。ハイタッチなのかテックタッチなのかetcによって色々なアプローチの仕方があるんだろうけど、個人的には、サクセスを追求した結果、経営課題を解決するところまで踏み込んで行ったatama+の施策がかっこいいなぁ、と思いました(語彙力)。究極的な顧客が実現したいサクセスって事業の成長・成功だと思っていて、担当者レベルだと「その人を昇進させることが出来るか」だし、経営レベルだと「事業の変革」とか「収益力の向上」とかになるんだと思っていて、それをイチプロダクトの導入を通じて実現出来たら、ものすごくやりがいを感じるし、企業側もそんなCSに担当であって欲しい、と思うのでは無いだろうか。
ホットペッパー創刊の際の顛末をまとめた『HOT PEPPERミラクル・ストーリー』に、自分たちの土俵で戦える『プチコンサル(プチコン)』という話が載っていて、それを思いだしたのでリンクを張っておきます。興味ある方・まだ読まれていないSaaS界隈の方は是非ご一読ください。10年前の本ですが、バーティカルSaaSのセールス・CSのモデルケースと言っても良いと思っています。


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