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never young beachと八王子、あいみょんと川沿いのベンチ


音楽ってタイムマシンの一種なんだと思う。





昔、八王子に半年間だけ住んでいたことがある。



だんだん肌寒くなってくる10月頃から、冬を超えて桜が咲き始める3月末まで、会社が用意した家具家電付きワンルームのレオパレスに住んでいた。通勤のバス停まで片道徒歩20分。その頃はほぼ毎日のようにネバヤンを聴きながら歩いた。


コートを着て、マフラーを巻いて、イヤホンをして家を出る。iphoneをポケットに入れ、冬の八王子の街中を『A GOOD TIME』と『famfam』のアルバムを交互に聴きながら歩く。今でもネバヤン(特にリピートしていた"なんかさ")を聴くと、八王子のあの道の風景が蘇ってくる。


仕事前にコメダのモーニングを楽しみにしていたこととか、寒い日に帰り道のドンキで焼き芋を買って帰ったこととか、結局行けなかった気になるスープカレーのお店の前をのぞきながら歩いてたこととか。


特に思い出すのは、寒波が来て東京で大雪が降った1月のあの日。例年通り、雪予報が出た日の朝には八王子駅にはたくさんの取材陣がいた。仕事から帰る頃にはもう雪がだいぶ積もっていて「北海道かよ」と思いながら何とか転ぶことなく家までたどり着いた。


大雪が降った日の翌朝、目が覚めたらすごく気持ちのいい晴天で、窓を開けたら一面真っ白の雪景色で、外に出たら太陽の光が雪に反射してキラキラしている。


近所の方たちが「いやー昨日は大変だったねー!」って笑い合いながら雪かきをしていて、校庭では小学生たちが珍しい雪に興奮して半ズボンのまま雪合戦の真っ最中。その光景に癒されながらファミレスに入り、あったかい店内でモーニングを食べた、あの日の景色とか空気感を丸ごと蘇らせてくれる。

ネバヤンを聴くといつもあの日のあったかい気持ちが胸にぎゅーーっと押し寄せてきて、勝手にしあわせな気持ちにさせてくれる。





こんなふうに、音楽は一瞬にして過去の自分へ連れ戻してくれる。あの時の、あの瞬間の自分にタイムスリップしたような気分にさせてくれる。

安室奈美恵の"Sexy Girl"を聴けば、中学生の頃に付き合っていた彼氏のことを思い出すし(メールの着信音だった)、Greenの"キセキ"を聴けば高校時代を思い出すし、ケツメイシの"バラード"を聴けば今の彼と遠距離になったばかりのことを思い出す(これ聴きながら車の中でよく泣いてた)(まさか不倫の歌だと言われているとは知らずに)。

他にも、WANIMAの"ともに"を聴けば社会人なりたての頃に友達と熊本旅行でドライブしたときのことを思い出すし、NiziUの"make you happy"を聴けば去年コロナ渦でなかなか会えなかった仲の良い同期と沖縄旅をしたときのことを思い出す。


最近、ふとした時にあいみょんの"愛を伝えたいだとか"が流れてきた。一瞬にして、ドイツの小さな村、フュッセンの川沿いのベンチに座っている時の自分にタイムスリップした。

あの時の川の流れの速さとか、風の強さとか、木々の葉っぱの揺れ方とか、太陽の光の当たり方とか、ぽかぽかした気温とか、いつもは全然思い出せないのに、一瞬で鮮明に蘇る。

本当はヨーロッパ周遊用に自分でプレイリストを作ってたんだけど(邦楽ばかり集めたヨーロッパっぽい曲を選曲した)、2ヶ月半の一人旅、途中で孤独に苛まれて、日本語が喋りたくて聞きたくて、途中からはずっとあいみょんのアルバムをエンドレスで聴いていた。

(日本とも時差があってなかなか友達家族恋人とも電話できなくて、孤独で死にそうだった時ほんとあいみょんに救われた)

(めっちゃ聴いてたしめっちゃ歌ってた)


音楽はほんと、ドラえもんがいなくてもあの頃に連れて行ってくれる秘密道具だと思う。

だから私は今でも、never young beachを聴けば八王子に住んでいた頃の自分に、あいみょんを聴けばヨーロッパを周遊していた頃の自分に、一瞬にしてタイムスリップしてしまうのだ。



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