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Netflixの生田斗真×尾上松也の歌舞伎ドキュメンタリーが熱い

Netflixで公開中の歌舞伎役者の尾上松也さんが盟友・生田斗真さんを自らの舞台に引き入れて行われた歌舞伎の初公演までの様子を収めたドキュメンタリー映画『挑む 』を視聴。

元々、生田斗真さんのことは、重めの作品によく出てるイメージで、なんだか攻めてる感じがしていたんですが、まさかの歌舞伎にチャレンジしていたとは知りませんでした。

ドキュメンタリー映画なので、歌舞伎の舞台そのものをフルで観られるわけではないのですが、むしろ一線級の若い俳優さんたちが「何を思って、どう創り上げていったのか」が垣間見れる貴重なだと思い見てみたところ大当たり。めちゃくちゃ面白かったです。

歌舞伎にも俄然興味がわいてきました。

https://www.netflix.com/title/81485700


身体を使って仕事をしてきた男の得も言われぬエロさ

新作歌舞伎を作り上げるまでのドキュメンタリーということで、劇中のほとんどは稽古場でのシーンに割かれるわけですが、なんなんでしょうこのエロさは。

たぶん、俳優さんたち、舞台の世界の人たちにとっては見慣れた日常の仕事場の風景なんでしょうが、会社で働くサラリーマンからしてみると、コミュニケーション一つ取ってみても、身体も心も距離が近い。
ビジネスマナーの中で常に相手と距離を取りながら働くことが常である、いわば『一般人』からしてみるとこの距離感から生み出されるエロさは到底マネできる感じがしません。ハラスメント的な嫌な近さではなく、お互いへのリスペクトや仕事に対する情熱からくる近さ。

これがいわゆる俳優さんたちの色気につながっているのではなかろうか?と思いました。こんな距離感が当たり前の人たちと、他者に触れたら死刑のサラリーマンを比べたら、そりゃ舞台俳優の方が断然色気あるわいな。

生田斗真の魅力

生田斗真さんの普段の姿をこんなにマジマジと観たのはもちろんこれが初めてだったわけですが、驚いたのがとにかく相手の目をまっすぐ見て話すんですよね。
いや、相手の目を見て話すのなんて普通のことだと思われるでしょうが、その次元ではない。

元々、日本人離れした彫りの深い目鼻立ちな上に、舞台で培った目力とでもいうんでしょうか、まるで相手の中に入り込もうとする生き物のように
優しくも力強い目で、一切相手から目を離さずに話をする。

しかも、それがインタビュアーの方向けにやっているのではなく、同じ舞台に立つ歌舞伎俳優の方たちとの何気ない普段の会話の中で自然とやってる。
いやー、この人は"人たらし"だわ(笑)こんなんされたら男女問わず好きになっちゃうわ。だってこの人、私のこと真剣なまなざしでじっと見つめてきて、話を最後まで口を挟まずに聞いてくれるんだもん(ポッ)

親の悲しい宿命:自分が死ぬことで子どもが育つ

私、お恥ずかしながら、尾上松也さんのことは『変顔が売りの歌舞伎俳優さん』ぐらいにしか認識してなかったわけですが、すいません、改めます。この人、スゴイ。
歌舞伎を一から創り上げていく職人のような仕事への真剣な姿勢や技術力の高さも、歌舞伎童貞の私でも感じ取ることが出来たのですが、それ以上に一座のトップとして周りのことをとてもよく見て、バランスを取りながらみんなを引っ張っていっていけるリーダーシップ、周りの人が感じる安心感が凄まじいんだなっていうのがわかりました。
舞台の主人公で、一人で3役もこなす演目、普通であれば自分のことに集中したいじゃないですか。しかもそれを今回が歌舞伎の舞台初めての生田斗真さんを指導しながら創り上げていくという、普通であればストレスでイライラしたり、何かに当たったりしてしまいそうな状況でも一切そういった姿勢は取らず、常に冷静に、客観的に周りの人を理解している。

ヤダ、尾上さん、かっこいい(キュン)

その姿勢のルーツには同じ歌舞伎俳優で、松也さんが20歳の頃に急逝されたお父さんの影響があるのかもですね。

劇中のインタビューでもご本人の口から語られていたんですが、
「明確にこの世界で何とかしなきゃなーっていう風に思ったのが、二十歳過ぎてからですかね」といった当時の思いが語られています。

それまでは、堀越学園高校の級友でもある生田斗真さんと、仕事に対する情熱をくすぶらせていたことは変わりないわけですが、お父さんの死をきっかけに、有無を言わさず自分が一座のトップにならざるを得なかった。
その状況になって初めて、評価を貰えるような仕事ができるようになったというのは、男の子の親の側である自分にとっては「なんだか皮肉なもんだなぁ」という思いを抱かざるを得ませんでした。

これは生き物の摂理なのかもしれませんが、親がいないのが一番子供を成長させるんでしょうね。もちろん、ある程度のベースの部分を作ってからではありますが、最後の一押し、成長へのジャンプアップは「自分で何とかしなきゃ」だと思います。

また主演のお二人以外にも、小栗旬さんや中村七之助さんなど、同世代で活躍している人たちの仕事や人生観が知れると同時に、歌舞伎という高尚な世界かと思っていたものも、実は現代の人の感覚や想いによって手探りで新しいものが作られて行っていることが感じられる貴重なドキュメンタリー映画。オススメです。

ではでは。

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