言葉が届くという実感
元気が出ない。
今日は予定がなかったので、昨夜は遅くまで飲んでいた。
目が覚めたら11時だった。また貴重な午前中を無駄にした。その途端にため息が出て、全てのやる気がなくなる。
やる気が出るのを待ちながら携帯をいじっていたが、どうも起き上がる気になれない。
16時を回ってからようやくのそのそと洗濯物を干して、空腹に耐えられなくなり家を出た。
通しで営業している駅ビルのレストランでオムライスをかき込み、カフェに移動してソファに沈み込む。なんだか理由もないのに泣きたくなってくる。気持ちがぐらぐらと不安定になっているのを感じる。
ふと、久しぶりにnoteを開いた。過去の自分の文章をなんとなく読んでみる。
我ながら面白いな、と思った。自分の言葉に不思議と励まされた。
そういえば先日、自分の言葉の力をもう少し信じてみようかと思うことがあった。
最近偶然知り合った作家さんが出版した新作小説を手に取った時のこと。疲れも溜まっているし空き時間に軽く流し読みするつもりでいたら、あまりの感動に涙が止まらなくなってしまった。
なんて素晴らしい物語を書く人なんだろう!と興奮を溢れさせたまま、すぐにありったけの思いを込めてご本人に感想メッセージを送った。
登場人物達の魅力、物語のテーマに対する作家さんの深い愛情への畏怖、それが自分の人生に与えた影響について。
すると、「まさにそれを書きたかったんです。本当に本当に嬉しいです。この本を書いて良かったです」と返ってきたのだ。
これまでに何冊も出版されており今も精力的に活動している作家さんなので、私以外にもいくらでも熱烈な読者がいるはずだ。さらに本の宣伝をかねて毎日日本中を飛び回っておりとても忙しそうでもある。
それでも、一度しか会ったことのない私が勢いで送った感想をそれはそれは喜んで、ご自身のSNSで何度もシェアしてくださった。
言葉のプロに勇気を出して言葉を届けたら、思いがけずこんなにも喜んでもらえた。それがとても嬉しかった。
他にも、思いのまま書き殴った映画レビューを監督さんが目に留めて引用してくださったこと、
仕事の相談をされて何気ない言葉をかけたら転職後に「人生の恩人です」とまで言ってくれた後輩がいたこと、
自分の中の葛藤をただ文字に起こしたら「言いたいことを代弁してもらえた」ともう何年も会っていない友人がわざわざ連絡をくれたこと、
SNSで日々の感情を綴っていたら「ずっと前から文章が上手いと思っていた。そういう仕事をした方がいい」と珍しく真剣な顔をして上司が言ってくれたこと、
思ってもみないところで、そうしたことが立て続けにあった。
とはいえ、そんなものはきっと特別なことではない。
現に自分は書くのに時間がかかりすぎ、できた文章は長くてくどくて独りよがりだ。課題も多すぎる。
ただ、少なくとも、届けたいと思った目の前の人の心に届く文章をたまになら生み出すことができるのではないか、と思った。
何より自分に自信のない私が、自らの文章に今日少しだけ救われた。
それは、大きなヒントになるかもしれない。
自分の本当にやりたいことはどこにあるのか
自分の武器は何なのか
このところまた道に迷い暗いトンネルに入りこみそうになっていたが、私はやっぱり文章を書きたい。
そのためには書くことを習慣にしなければと、これまで何度も挑戦しようとしたが、無駄な完璧主義に阻まれて挫折してきた。
まずは動き出さないと始まらない。
大それたことは考えず、たった1人にでも届けば万歳、くらいの気持ちで書こう。
書かざるをえない、書かずにはいられない状況を作ろう。
もう何度目の決意表明だか分からないが、
春は気持ちを新たにしたくなるもの。
私は、書くことを自分の武器にする。
いつか必ず実現する。
いつのまにか泣きたい気持ちはどこかへ消えていったので、今日のところはこれで合格。
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