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果詩合其の三 感想

もう早いもので1週間になります。3/23に江古田兎亭で行われたスラム「果詩合 其の三」にて優勝してきました。

集合写真 其の三のピース

Xにポストした感想と、ちょっと書き足したものをここにも残します。

出場者の方々への感想

お名前表記間違っていたら申し訳ありません。
感想と、この表現が好き!というのを書かせていただきます。そちらもメモにミスがあるかもしれませんがご了承ください。

ハルタダイチくん
主催。最初に読んだ「最期のひととき」
1秒後、1分後、1時間後に終わるかも知れない命。その通りですね。だからこの時に命をかけるんだ。

締めの作品も良かったです。気をつけて帰ってね、と。私も家族が出かける時は「行ってらっしゃい、気をつけて」と言うようにしています。

おのっくさん
緊張した雰囲気で入ってこられた1発目。
緊張していることを逆手にとって、それが作品の内容に合わせてだんだんと自然に、美しくなっていく。
唇やお腹を指す手の動きが内容を分かりやすく見せてくれた。
「役を降りた途端肩が軽くなった 厄を祓ったのかな」
「砕けた宝石が線を描いて線路みたい」

赤木翔太郎さん
飛び入り参加から決勝まで、「こんなパフォーマンスがあるのか!」の連続。とにかく内容にも表現にも驚かされました。
一回戦は空襲警報?準決勝は働けの手拍子、決勝は言葉にならない声。
どれも音の使い方が見事。
「装甲車 装甲車 装甲車 機関銃 機関銃バン!」
「バン!」がいつ来るのかわからない恐怖。それは今かもしれない、と思いました。

PARAさん
政治へのメッセージ。
語り方が本当に上手い。直接言わずに「これのことを言っているんだろうな」と思わせる。
私の中ではかなり高得点です。
「砂上の楼閣 案の定細ってきました」

LEEEEEEEEEEOくん
入りの自己紹介、声の出し方からめちゃくちゃ格好良い。
表現も詩的な美しさと優しさをたくさん見せてくれました。
「自ら選んで泥の中に蓮は咲く」

渡部裕さん
ヒップホップが続く。渡部さんは聞いたことがない韻を踏みまくって世界を作っていくのが面白い。
録画見ていくつ踏んでるのか、学びたいです。
「言うキチガイ 諭吉が良い」
「会議室より現場現場 エンタテイナー」

Sublowさん
スラムに自然体で話される勇気!私にはないです、すごい。
「常磐線が動いている」の詩、途中の説明で笑いました。
準決勝の「スローモーション」も映像が浮かびました。

笹田美紀さん
「遠い敵国の敵であるあなたへ」
今回戦争を題材にした作品が複数あった中で、最も優しく平和への願いを感じました。
審査員の方もおっしゃっていましたが、息の吸い方一つから表現。好きです。

どぶねずみ男。さん
「殺し過ぎると書いてサッカー」
何回聞いても面白い!どぶさんワールド。
「弓道、柔道、十一道」「カマドウマ」「滅私奉公」
私も笑える作品が書きたい、といつも思わされます。
笑いのスラム、よろしくお願いします。

山口勲さん
笹田さんと対照的に戦争の悲惨さをハッキリと語られていました。多嘉喜さんの解説でなるほど、と思ったのですが普段からそういう活動をされているということ。重みが違います。
ブルドージング。調べました。こんな大きい機械で人の生きていた道を、建物を均しているのか。
ちゃんとメッセージが私には届きました。

あそぶちゃん
障害者、宗教、お薬。どの作品も私には書けない、濃いものでした。それを切実に、ではなく淡々と語る。だから強いと思いました。

よだかくん
あとからテキストを見て、やっぱりテキストじゃ勝てないな、と思っています。
言葉の繋げ方も、飛躍も、すごいです。
ただ、これは私の好みですが、ライブでやってるような曲の方が刺さります。

斉藤木馬さん
ゲストライブ。
真っ暗にランタンという雰囲気作り。
絡みつくような声に集中させられます。
「半濁音の穴」ものすごいです。ハ行とバ行が全部パ行。どれだけ練習されたらあんなにスムーズに「でぱ、ぴとぴとぱ」と言えるのでしょう。
めちゃくちゃ格好良かったです。
スラムへのメッセージも受け取りました。

読んだ3編について

一回戦で読んだのは「テレビテロップ」。
2月に書いて、工房ムジカのオープンマイクで2回読んでいました。
もともとは風刺だけの作品ですが、私自信が評価する際はスラムでメッセージ性とバイブスにも得点をつけます。そのため今回はスラム用に後半のストレートな気持ちを追加しました。あとは、審査の葛原りょうさんが2回見られているので変化を加えたかったところもあります。
また、1回戦の評価を見ていたところ身体性やテキスト暗唱も評価されそうだったので、急遽テキストを持たないことにしました。暗記の練習はしていませんでしたがぶっつけ本番!飛ばしたり、テレコになってしまったりした箇所もありましたが大筋は何とか問題なくできました。
テキストであそぶちゃん、よだかくんに勝てる自信がなかったので全身使えたのはメリットだったと思います。
ただ途中で「目を閉じ、耳を塞ぎ、屈葬されたコンテンツ!」と全力でやった結果右の耳を思い切り塞いだので鼓膜に穴が空きました。ずっと水の中にいるような違和感がありますが、名誉の負傷と受け取りましょう笑
病院で診察してもらったら治ってはきているそうです。

準決勝は「ローション風呂溺死事件」。2022年12月のKSJ敗者復活戦の際に書いた作品です。その後も時事問題を取り入れて書き換えて読んでいます。
この作品、自分にとってかなりの転機でした。2022年1月にスラムを始めて約1年。現代詩の素養がなかったので韻やバイブスで勝負するしかないと思っていた中で、あまり心から伝えたいことがなかったタイミング。思い切って風刺的な笑いに振ったところ、それでもウケることがわかり、すごく嬉しかったです。
これはアナウンサー的なポジションでニュースを読み上げる作品。テキストを持つ意味があるのでテキストは捨てずに、でも大体頭に入っているので顔を上げられる時は上げて読んでいました。
2回戦でのアレンジは最初に「ぬる、ぺた、べっとり、ぬらぬら、しっとり」と今いる空間がローションに包まれている表現をしてみたところ。伝わったかは不明ですが。
あと、与党青年部のローションパーティーを直前に思いついて加えました。

決勝では「今日も知らない恐竜が増えた」。
2022年6月にジュラ詩ック・パークというツイキャススラムのために作った作品です。
2023年に命名された新恐竜ティラノミムス・フクイエンシスを加えたのと、「知らない恐竜がこんなにも、こんなにも、こんなにも増えた」と今日の参加者をできるだけ皆さん見て伝えたところがアレンジ。
直前の斎藤木馬さんのライブで「存在を刻みつける」というような内容があったので、「この果詩合という地層には俺たちの存在が化石になっても力強く残るんだぜ!」という気持ちで読ませていただきました。
これは自分の一番好きな作品で、今回スラムで読んだのはは4回目なのですが全勝しています。ただ、今回で恐らく封印になろうと思っています。
理由は2点。
・「何で知ろうとしなかった 何でもできたド素人」の表現があるのですが、2年以上やって、優勝もしたら多分知ってる人はもう素人として見てくれないだろうということ。
・「3歳の息子はあの頃の俺に似て才気煥発」と言っていますが、長男が3歳の時に書いて、2年経って今は次男のことを想像して読んでいます。しかし次男も3歳になり、7月で4歳になるのでこれ以上続けると嘘になってしまうこと。
全然私のことを知らない人ばっかりの大会に出たらしれっと読むかもしれません。あとはいつか3人目の子どもが産まれて3歳になったらかなあ。

果詩合だから勝てた

今回の果詩合、ルールが非常に自分にとってありがたかったです。
まず3人の素晴らしい審査員、晴居彗星さん、葛原りょうさん、多嘉喜さん。
詩も、パフォーマンスもよくご存じの3人の合計点ということで、運の要素が他大会より少ないものでした。全く知らない人が審査員をされるのと、よく知った人が審査員をされるのでは作品選びが変わります。
特に晴居さんは面白い作品を好んでくださる、葛原さんは熱さを受け止めてくださると思っていました。多嘉喜さんは表現に込められたメッセージ性や韻に厳しいだろうと予想していたので、正直高得点をもらえる自信はありませんでした。

決勝は審査員3名に加えて準決勝に出られた4名が投票する形式。
「知らない恐竜が増えた」は審査員票を取れるとはあまり思っていませんでした。でも、今日出場してくれた方なら、初めて会った方ならこの気持ちが伝わるだろうと思って読めました。
結果は審査員1票と準決勝出場者から3票。ギリギリでしたが狙いは間違っていませんでした。

出番について、一回戦Dブロック3人目の登場ということで他のパフォーマンスやどう評価されるのかを見られたのもとても大きかったです。
そして、様々なパフォーマンスが出て場が温まったことで、熱意が届きやすくなったところもあったでしょう。Aブロック1番手だったらかなり厳しい戦いだったと思います。

持ち時間5分。
私の作品は基本3分のスラムで読むために書いています。3分のために早口で、できるだけ言いたいことを詰め込むことが多いのですが、今回の作品はそこに数行付け足しただけ。
だから時間に余裕もあり、いつもより聞きやすいスピードで、間を取りながら読むことができました。
「ローション風呂」は特にそれが活きたと思います。

マイクがないということも大きな要素でした。
兎亭、果詩合はマイク無し。マイクはオープンマイクやライブで握った回数で使い方が上達すると思いますが、未だに良い声の伝え方に自信がありません。
しかし地声なら、出せる方です。予備校でも100人くらいの試験会場で模試の説明をすることなどもよくありましたから、教室の一番後ろでも聞こえるように声を張るのは問題ありません。
そして、マイクがないことで両手が空きます。テキスト無しなら目や耳を隠すパフォーマンスで邪魔になりませんし、動き回りながらでもテキストを持つ左手と表現をする右手に使い分けることができます。そのおかげで観客や審査員のことをよく見られました。

感謝したい人

今回、主催のハルタダイチくん、審査員の皆様、参加された皆様、観客として来られた皆様には心から感謝しております。
いつも応援してくれる家族にも感謝して、ケーキやワインを買って帰りました。
それとは別に、勝手に感謝したい人が3人います。
まず、一回戦何を読もうか迷っているという私に「そういう時はテキストに『お前行きたいか?』って聞くといいですよ」と教えてくれた、よだかくん。「って、坂本樹が言ってました」ということで、よだかくんにそれを伝えてくれた果詩合其の二チャンピオンの坂本樹くん。ありがとうございます。
一回戦、もともと「テレビテロップ」にしようとは思っていましたが、急遽暗唱しようと決めてからテキストに聞きました。
「暗唱だが、お前行けるか?他のやつに代わるか?」
するとテレビテロップが急に中日ドラゴンズ根尾昂に見えてきて言うのです。「行けます」
バタバタもありましたが見事に投げ切ってくれました。

「準決勝、ローション風呂溺死事件、行けるか?」
祖父江大輔の顔で「もちろん行きますよ」

「決勝は、もともとお前しかいない。抑え、頼むぞ」
岩瀬仁紀の顔で、黙って頷く。

時代もめちゃくちゃですが、そう見えました。
今の私の作品チームは岩瀬が引退した後のドラゴンズになるので、ライデル・マルティネスか松山晋也のような抑えが出てくるまでドラフトという名の作品作りを行います。


そして感謝したいもう一人が、占い師ゲッターズ飯田。もともとあんまり占いを信じるタイプではないのですが、彼の本を今年本屋で読み、今までのことが妙に当たっていたのと、これからのことに希望が持てそうな一年だったので買ってみました。
「金のインディアン座」である私のこの日の開運アドバイスは「今日と明日は、新しい経験や出会いがある運気。フットワークを軽くして、ノリや勢いを大事にしましょう。これまで避けていたことに挑戦するのもいいかも。」
これまで10のつもりで書いたテキストを10で読み上げていましたが、今回は10のつもりで書いたテキストを直前で11に書き足し、読む瞬間思いついた表現を加えて12にしました。結果はご承知の通り。これからもそういうパフォーマンスを高めていきます。

最後に、これまでオープンマイクやスラムイベントでお会いした全ての方、そして私に詩を書くきっかけをくださった方にお礼を伝えたいと思います。
できるだけ毎回ノートにみなさんの表現の好きなところなどを書いて勉強させていただいています。
これからもよろしくお願いします。

「おめでとう」とプレートを店員さんにお願いしました
半額イベリコ豚生ハム

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