鯛野タイ

こんにちは。映画や音楽についての文章を書いています。映画の仕事をしています。たまに公開…

鯛野タイ

こんにちは。映画や音楽についての文章を書いています。映画の仕事をしています。たまに公開を控える作品のレビューとかも。

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映画『ゴーストワールド』異星人シーモアを解剖しようぜ

11/23(木)から劇場公開です。当時の公開時のことは全く知らないけど、今年に入ってから何となく界隈で"リバイバルの機運"を感じていた作品。夏にはパッケージの再販もされ、思わず購入した。今年はたくさんの復活上映が人気だけど、1番賑わせるのはこの作品で間違いないと思っている。「アメリ」とは2001年も今年も公開時期が被ってて、めっちゃ素敵だよね・・ 15歳とは到底思えない擦れ方をしているスカーレット・ヨハンソンへの注目はもちろん、ビビッドなプロダクションデザインやファッション

    • 2023年 映画まとめ - その2 下半期に観た旧作と新作ベスト10

      Part1はこちら。下半期に見た2023年新作の感想です。 Part2は2023年下半期に見た旧作32本と、今年のベスト10を書きます。 2023年下半期に見た旧作たち ★が付いている作品は劇場で見ることができて良かったなあ、というお気に入り。 アメリ インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア エクソシスト ディレクターズカット版 ★おーい!どんちゃん 牯嶺街少年殺人事件 ★ゴーストワールド こわれゆく女 ツィゴイネルワイゼン バッド・チューニング ★ミ

      • 2023年 映画まとめ - その1 下半期に観た新作

        2023年下半期は新作58本を観た。うち3本くらいは上半期公開でした。旧作を含めると劇場で観たのが80本くらい?配信分も含めると150本くらい?年間通算だと250本くらいかな???そんな感じです。 さて、下半期に見た新作映画の感想をちょっとずつ載せます。50音順です。 あまりにも長くなってしまいそうなので、作品のリンクは貼らないことにした。 1. 658km,陽子の旅 菊地凛子の演技をまじまじと見たのは本作が初めてだったかもしれない。社会にうずもれて精彩を失った人間も

        • 映画『正欲』のお話 物足りなさ 不愉快 救い

          『正欲』観ました。受け入れられないシーンもあれば、この作品に出会えてよかったと思えるシーンもあって、鑑賞後にぐるぐると考える時間がいつもより多かった。ぜひ残しておきたい。原作は未読、というか朝井リョウの小説自体読んだことがないし、特に読もうとも思っていないけどそれは許してください。 ○フェティシズム まず特殊な性的指向が物語の鍵となる一方で、それが「水」にまつわるフェティシズム(こうは呼称したくないが、便宜上以下「水フェチ」)であることに現実味を感じられないという声が多いよ

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        映画『ゴーストワールド』異星人シーモアを解剖しようぜ

          映画「バービー」感想 ラストシーン以外すべて皮肉?

          感想です。あまり推敲できてないですが。 まず、古来からバービーランドで女性が主体なのも、ケンダムでケンが支配欲を満たすのも最終的に虚構に終わったのがすばらしい。二項対立に留まらない!性差は存在するけどね!という人間世界の婦人科のラストはシンプルながら良いですね。 でも、だとするとケンに支配されたバービーランドの再起に向けて奔走していた時間はなんだったのか、という根本的な疑問が残る。この疑問はこの映画が投げかける巨大な皮肉と、本当のラストシーンの意味を考える上で欠かせないも

          映画「バービー」感想 ラストシーン以外すべて皮肉?

          北欧映画「イノセンツ」波立つ子供たちの心

          7/28(金)公開の「イノセンツ」という北欧発の映画を観ました。 大友克洋作「童夢」からインスピレーションを受けたと話題になっているらしいのだけど、未読なのでそこはよくわからなかった。ただ「AKIRA」で見られるスペクタクルな見せ方(人物を小さく、背景をデカくなど)はリスペクトされているように思えたし、インスピレーションされたんだね、ということくらいは「童夢」未読でもわかったかな。 この映画、今年公開の作品の中でもトップクラスに良かったです。「童夢」ファンではないし、さら

          北欧映画「イノセンツ」波立つ子供たちの心

          Homecomingsがくれる"よるべ" / 「New Neighbors」を聴きました

          Homecomingsのニューアルバム「New Neighbors」が発売。 いま一番好きな音楽を聞かせてくれる人たち。先行配信されていたシングル曲はもちろん、アルバム発売に合わせて初公開となった楽曲もまた、すばらしいものばかりだった。 当初はアメリカのカントリーサイドを彷彿とされる曲が多かったのだけど、アルバム「WHALE LIVING」あたりから、日本語歌詞が増えてきた。 今回のアルバムではこれまで英語歌詞の醸していたやわらかな雰囲気はそのままに、日本語だからこそス

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          映画「ザ・ホエール/THE WHALE」にまつわるとある告解

          「ザ・ホエール」良かったなあ。とある気付きを得た。すべて正直に書くというチャーリーのポリシーを信じてみる。感想ではなく、この映画をきっかけとした回顧的なもの。 ・・・ 少し前に自分が付き合っていた恋人は、自分が同性愛者かアセクシャルか、自分でも分からないアイデンティティに悩んでいることを僕に告げて、お互いの関係を解消した。それが主な理由か、そもそももっと表層で恋人としての感覚が合わなかったからかも、分からない。 私はとても純粋な好意を抱いていたし、彼女に何かを無理強いす

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          『まじめな会社員』を読んだ呪われし一般男性の呻き

          『まじめな会社員』という漫画を一気読みしました。ツイッターでバズってたのか紹介ツイートを見かけたのか、ぼんやり読みたいなと思っていたところ全4巻でこないだ完結したのでいい機会かな、と。 A子さんの恋人みたいな感じなのかなって思ってたけど、実態はもっと救いようのない物語でした。A子さんの物語にも登場しそうではある、でも絶対に主人公にはなれず、クリエイティブにもなりきれない一般人にスポットが当たった漫画。 女性読者はもっと共感でいっぱいなのでしょうか。男性ぼくも相当お腹痛くな

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