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影響を受けたアーティスト②

自分の音楽人生において、今も昔も影響を受け続けているアーティストとして、先は岡北有由のことを書いた。

もうひとり、多大な影響を受けているアーティストがいる。

それが天野月である。

出会ったときはまだ天野月子名義で活動されていた。
存在を知ったのは「天龍」というアルバムが発売された頃。
とある音楽雑誌にこのアルバムについての記事があり、そこに載っていた楽曲タイトルをみて『聴いてみたい』と思ったのがきっかけだった。
そのアルバムの楽曲タイトルはすべて漢字一文字で表記されている。
何かのコンセプトアルバムかと思った。
自分がオリジナル曲を作る時、一番悩むのが曲のタイトルで
歌詞もメロディーもできたのにタイトルが決まらない・・なんてことはよくあった。
しかし、この天野月子という人はタイトルから楽曲を作ることもあるらしい。
そう知ってますます『どんな音楽なんだろう』と興味を持った。
すぐにTUTAYAへ行き(当時はまだCDレンタル主流の時代!)、「天龍」含め天野月子の棚にあったすべてのCDを借りて聴いてみた。

もともとストーリーを感じる曲や映像が見えてくるような曲が好みである。
そして、天野月子の楽曲は、そういう私の好みにがっちりハマった。
彼女のことを知れば知るほど、その理由がよく分かった。
それは「楽曲を「作品」として世に送り出している」ということだった。

もちろん、どんなアーティストも作品として楽曲をリリースしている。
でも天野月子ほど、一貫した軸をもって「作品」に仕上げてる人はいるだろうか。
歌詞、メロディ、歌い方、CDジャケ写やMVなどのビジュアル・・etc
すべて統一されたコンセプトのもと作品として完成されている。
彼女の作品は「聴く」ことも「観る」こともできる、唯一無二の音楽だと思う。
「作品を作る」ということに興味を持ったのは、間違いなく天野月子の影響である。

もうひとつ、彼女から多大な影響を受けていることがある。
それは「歌」である。
ご本人もどこかでおっしゃっていたが、彼女はいわゆる「歌手」の部類ではない。
しかし、上手い。
それは作品の中に「命を吹き込む」ということの上手さだと私は思っている。
楽曲にあわせて歌い方、声のイメージを自由自在に変化させるので、作品の中の主人公として生きているように聴こえる。

これは私には衝撃的なことだった。
それまではディーバとか歌姫とか呼ばれるような、圧倒的な歌唱力を持つ人や
個性的な声を持つボーカリストに憧れ、そんな声も歌唱力もない自分に勝手に劣等感を抱いていた。

私には到底無理だ…でも歌は好き。
これからも音楽を続けたい。
どうすれば自分を自分のまま活かして歌うことができる?
音楽を続けられる?

そう思い始めた頃に出会ったのが天野月子だった。
彼女の歌を聴き『私の目指すべきはコレだ!』と思った。
私は歌を『歌いたい』よりも『演じたい』。
それに気づいてからは『上手く歌う』ではなく『楽曲のイメージを体現する歌い方』を考えるようになった。

天野月子は活動休止を経て、天野月としてアーティスト活動を再開した。
月子さんより少し肩の力が抜けたような、今の月さんも好きだ。
岡北さんと同じく、これからもずっと追いかけ続けたいし影響を受け続けたいアーティストである。

岡北有由からは自分の心に正直に、やりたい音楽を突き詰め、進化させていくことを学び
天野月からは、表現者としての歌の歌い方、作品を作ること、作品の中で生きることを教えてもらった。

私の音楽人生において、このふたりに出会えて本当によかった。


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