居場所づくりは一日にして成らず。でもやっぱりこの光景が好き。
本記事は「ただ”みちを居場所に”したいだけ。想いを伝えることのむずかしさを痛感した2022夏」の後編です。前編はこちらからご覧いただけます。
大型ショッピングモールの撤退に伴い人通りがまばらになってしまった駅前商店街。にぎわいを取り戻そうと動き出したプロジェクトが「Living Street Hitachi」。“みちを居場所に”を合言葉に、2022年4月の春、2022年8月の夏、そして2022年10月の秋と開催してきました。
前編では、2022年8月夏の様子をお伝えしました。夜の開催や日立を愛する人たちと膨らませた「モウソウ会議」など新たなチャレンジを行う中で、良かった点もあり、地域でやることの難しさを痛感する反省点もあった夏。
後編では、夏の反省を活かしつつ取り組んだ秋開催の様子をお届けします。想いを伝える近道なんてない。地道にコツコツ態度で示していくしかない。当たり前のことに改めて気づくことができた、そんな秋でした。
《秋》3イベント大集結。人!人!人!
秋は2022年10月8日・9日『ひたち秋祭り』との同時開催でした。もうひとつ同時開催として『ラフェット・デラーブル』というマルシェがあり、Living Street Hitachiとしては“みちを居場所に”に専念することができました。
「居心地の良い空間とは?」みんなで考え、動く
今回、パティオモール商店街と新都市広場の一帯に『ひたち秋祭り』『ラフェットデラーブル』そして『Living Street Hitachi』という3イベントが集結。秋の穏やかな空模様ということもあり、大勢のお客さんで賑わっていました。
想像以上の客足で、お昼時には飲食ブースに長蛇の列ができたり、通りをふさいでしまうなど、正直“居心地の良い居場所”とはほど遠い状態でした。
そこで、ボランティアの皆さんと一緒に「居心地のいい居場所づくりとは?」を考え、飲食ブースにテープを張って列を整えたり、配置を変えたり。その結果、2日目は“思い思いに過ごせる空間”がそこに広がりました。
Living Street Hitachiっていいよね。想いに共感してくださる人たちとつくる空間
Living Street Projectが実現したいのは、思い思いに過ごす空間をつくること。理想を言えば、私たちがやることは、みちの真ん中に芝生を敷いていくつかのあそび道具を置いて、ハンモックやベンチを置く、それだけ。
そこに人が集まって、思い思いに自分たちのやりたいことをやる。勇気を出して路上パフォーマンスをしてみたり、絵本の読み聞かせが始まったり。出会いが生まれて、何かが始まる。ジャズのセッションのような、そんな光景。
誰かのはじめの一歩をそっと後押しできるような、そんな場でもありたいなあと思ったりしています。
今回はそんな想いに共感してくださった方々が、Living Street Hitachiの場所で思い思いに居場所をつくってくださいました。
「どこでも図書館」「ぬいぐるみ釣り」NPO法人ひたち親子の広場
LSH春・夏と同時開催で実施している「こどものまち・ひたち」の企画・実行などで大変お世話になっている、NPO法人ひたち親子の広場さん。今回はたくさんの絵本やぬいぐるみを持ってきてくださいました。
「まちなか相談室」菊池恵美子さん
思春期保健相談士・性教育認定講師の資格をお持ちの菊池さん。まちに出て相談室を設けるのは今回が初の試みだったそう。周りの人に相談しづらいお悩みを気軽に話せる人がまちにいると思うだけで、少し安心できるような気がします。
プロマジシャン・ギャリソン添田さん
Living Street Hitachi2022年春から会場でストリートマジックを披露してくださっている、ギャリソン添田さん。今回も至る所で驚きの声が響いていました。
飲食ブース
アトラスキッチン様・アヴァンス様・石井食品様・Le'lien様。お昼時には長蛇の列。美味しそうな匂いが通りいっぱいに広がっていました。
なぜやるのか。
LSHは2022年4月の春・8月の夏・そして10月の秋と継続して行うことができました。8月の夏では多くのチャレンジをした結果反省点も多く、地域活動の難しさを痛感しました。
それでも、続ける理由は何なのか。「Living Street Hitachi」とは、「Living Street Project」とは何なのか。改めて、本企画の企画立案者である一般社団法人まちのこ団の団長こと増田大和に伺いました。
「まちのこ団は、”子どもたちの原体験を豊かにする”をミッションに掲げ、主にあそびというツールを通して居場所づくりを行っています。
あそびというのは、子どもの原体験を豊かにすることに加えて、地域にいるあらゆる市民(こどもからおじいちゃんおばあちゃんまで)が何かしらの関わりができるものだと思っています。誰でもあそべる。
あそびがあることで人が集まって、「あの子この前のあそび場にもいたね」「あのお母さんこの前も会った」など顔の見えるゆるやかな関係性がつくられていく。
そうしてゆるやかにまちのつながりをつくっていくことが、まちのこ団としてやっていきたいことのひとつです」
「『Living Street Project』は、まちのこ団がやっている移動式あそび場づくりを拡大したものですが、単に広げたという意味ではなく、「Living Street Project」に賛同してくださる人たちと共につくりあげることで、まちのこ団単体ではできないことにチャレンジしていくというものです。
まちのこ団の役割としては、あくまで場をつくることだと思っています。その場所の上で、やりたいことをやったり、思い思いの表現をしたり、自分なりの関わり方でLSHに関わってもらえたり。
そんな、集まりたくなるような、何かやってみたくなるような、なんとなくふらっと訪れたくなるような、そんな場をこれからもつくっていけたらいいなと思っています」
(写真・文/サトウミキ)
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