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■セクハラ細田…東京vs産経

マスコミってナニ?(25)

ニュースの存在を考える 「マスコミへの道」改

◇三権の長の首を文春は取れるか

※文末とタイトルを初稿から書き換えています

細田博之衆院議長(78)が、取材に訪れる新聞などの女性記者にセクハラ言動を繰り返していた問題。
セクハラ、パワハラ、コンプラ…などなど何事も厳しくなっているご時世だけに、この問題を最初に告発している週刊文春の報道を信じるなら、細田議長は完全にアウト。辞職すべき、しなければならない、と思う。

ただ、2年を超えるコ〇ナ禍の生活制限に加えての、緊迫の度を深めるウクライ〇情勢、物価高、迫る参院選などなど、こんなセクハラ爺さんのことに世間の注目はそれほど集まってもいない印象がある。

マスコミ各社も、自社の女性記者がそういう目に遭ってきたのを知りながら、ほぼ放置してきたという事実に、このニュースに対しては及び腰である、としか見えない。

5日付けの産経新聞「花田紀凱の週刊誌ウォッチングで、元週刊文春編集長である花田氏は「先週も書いたが、細田議長のセクハラ問題は、『週刊文春』が何週にもわたって取り上げるネタか」と、その報道姿勢に批判的だ。そのうえで、「『文春』は朝日、産経が社説で(セクハラ問題を)取り上げ、援軍来たれり、と、朝日幹部の話を紹介している…。おかしくないか、朝日。本人から聞いた時点で、朝日は細田氏に問いただしたのか。なぜ、その時点で記事にしなかったのか。なぜ社説で書かなかったのか」と新聞社の姿勢を批判することにすり替えている。
朝日はじめ、自らセクハラ問題を追及せず、触らなかったマスコミ各社の姿勢は問題だが、かといって、週刊文春が毎週これを取り上げることを批判するのは花田氏のほうがおかしい、と僕は思う。

一方、マスコミ業界の批評専門誌である「創(つくる)」編集長の篠田博之氏も、東京新聞に毎週「週刊誌を読む」という週刊誌批評を寄稿している。その最新記事はネット上に載っていない(無料記事で)が、同様の趣旨の記事を彼が5日のヤフーで「セクハラ疑惑をめぐる細田衆院議長vs『週刊文春』の応酬は報道界に大きな問題を投げかけている」として、花田氏とは反対の訴えをしている。
篠原氏は「取材に伴うセクハラや性暴力というのは以前から指摘されてきた深刻な問題なだけに、新聞社なども『週刊文春』の告発と応酬を対岸の火事と眺めているわけにいかず、社内調査を実施したり、続々と社説で見解を表明したりと波紋は広がりつつあるようだ」としたうえで、「大手メディアにとっては取材に伴うセクハラという深刻な問題にどう対応するか改めて突き付けられたわけだ。この問題、今後どういう展開をたどるのだろうか」と、問題の先行きを、花田氏とは対照的に興味深く見ている。
僕は、この篠原氏の見方こそ、マスコミに必要なことだと思う。
産経は、花田氏の記事にもあるとおり主張(他紙の社説)でも、議長に批判的な記事を載せていながら、その主張よりずっと読まれている、花田氏の週刊誌批評で火消しし、細田氏、与党・自民党の援軍になっているとも映らないか。
産経とポリシーが一番遠い東京新聞が篠原氏の記事を載せるのは当然としても、やはり世の中の見方としては細田議長アウト! をマスコミも書き続けたほうがいいと思うのだが。
今のところ、そんな流れではなく、国会会期末、参院選に向けて世論が細田批判に動く気配は薄い。
文春は細田議長の首を取れるのか。
僕は取れる、と思っている。
今度は簡単ではないかもしれない。

写真はヤフーニュースより


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