現代詩　午前零時の再登板　№１２

雨上がりのオフィス街
東京の大手町とか丸の内とか
静かな空気　昼下がり
高層ビル立ち並ぶ　その谷間に
若い男　と　女
木陰でこそこそ
あたり　はばかり
女が男に何かを手渡す
受け取る男
それを口元に

電子タバコを２人で　回し飲み
こそこそ　こそこそ
秘め事のよう

女が一口吸った
電子タバコ
男は自然に受け取り
同じ吸い口を
ためらうことなく吸う

女はまだチラチラ
周り見回す

このあたり
大手有名企業がぞろぞろ
ビジネスエリートが歩く街

男も女も紺色のスーツ姿
就活中の学生に　見えなくもない
だが　女は明るいグレーのヒール
就活生らしからぬ

この街にふさわしくない２人組
校舎裏で　隠れてタバコを吸うよな
不良高校生みたい

彼と彼女
自分たちに不釣り合いな　この街
居心地の悪さに　ちょっとした　悪さ

「悪いふたり」（2021年7月28日）改変