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#5 ディック・ブルーナ

僕のデザインの心の師匠はディック・ブルーナ。
言わずもがな、ミッフィーの生みの親です。でも、彼は同時にとても優れたデザイナーでした。
たくさんのペーパーブックやポスターのデザインを手掛けていますが、どの色もどの線も、徹底的にシンプルに、絞り込みながらも鮮やかな世界観を表現していて、モダンで美しく、いつもこんなデザインをしたいと思っています。

ブルーナさんのの絵本の作り方はとても独創的。

以下の写真は全て「ディック・ブルーナのデザイン」芸術新潮編集部編(新潮社)より引用させていただきました

1 トレーシングペーパーに下書き。何回も何十回も、シンプルなだけに難しい。同じ場面を100回くらいかくこともあるそうです。

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2 トレーシングペーパーを水彩紙の上に置き、下書きの線をなぞる。
それ、普通と逆!書いてあるものをトレペでなぞるんじゃないの?

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3 なぞった線はへこむ。なんとそのへこみを筆でなぞる。しかもちょっとずつ、点をつなげるようにゆっくり、なぞる。だからブルーナさんの輪郭線はゆらいでいるのです。

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4 決まった下絵を透明なフィルムに焼き付け。またもや普通じゃない。実はブルーナさん、色を塗らないのです。

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5 ミッフィーの絵本はすべてたった6色の色しか使われていません。ブルーナさんが色ごとに意味を決めた6色。その色紙を切り抜いて、透明なフィルムにあてて色を決めていくのです。このプロセスはとてもデザイナーらしいなと感じました。

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黒い輪郭線は、筆で点をつなぐようにとんでもない時間をかけて描いていて、それが全体の優しさになっている。一方で、色はデザイナーのように最もふさわしい色を探す。この両極端なプロセスが、ミッフィーが美しいデザインなのに何とも言えない優しい風合いをもった作品にしてくれるのだと思います。

知らないうちにミッフィーが心に沁みるんです。

僕もそんな風に人の無意識に訴えかけるようなデザインができるようになりたいなぁ。

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