見出し画像

思い出だけが性感帯 ー春を待つということ。 #第5夜

初めましてのみなさまも、おなじみのあなたもこんにちは、MAKIです。

2月22日。
かつて、
心の底から愛していると信じて止まなかったひとと入籍したかった日。

女は上書き保存だと定説はありながらも
数字にまつわる記憶力は
パラレルワールドの扉を開くに容易く

無邪気に、健気に、
全力で生きる若者に
あのころのわたしの姿を重ねてしまうのは
年齢のせいか経験のせいか

好きなひとがいることの喜びを
目いっぱい抱きしめて生きていたのは
世間知らずか夢みがちな乙女か

そんな戯言を認めているあいだにも
毎日は続くし空は青いし涙は流れるのです。



2月27日。
バレンタインとホワイトデーの真ん中、
ということで
『冬の恋人の日』との記念日制定があるのを知った10年前のあの日を想います。



あなたと暖めあいたかったわたしと
冬をまたひとつ好きになった気持ちと


いまは、
その冬に、


つなぐ手はなく、
抱きしめる腕はなく、
自分で自分を満たす
そんなゾーンを行ったり来たり。


ミライを見つめながらも
わたしをカタチづくるものものが
過去という大きな虚像となって
わたしに立ちはたがるのです。


ついぞわたしの性的魅力とやらも
あの頃の想い出と化して
ひとりであること
否、
人間はいつだってひとりではあるのだけれど
ひとりでいること
これに慣れてはいけないと思いながら


あはれ花びらながれ
わたしという名の花弁は
あなたに咲かせてもらうのを
じっと、夜の雲を見つめながら、
今宵もまた、祈っているのです。



つづく



この記事が参加している募集

私のプレイリスト

沼落ちnote

いつもお立ち寄りくださりありがとうございます!これからも、必要な方に届くように言葉を紡いでいく予定です。あなたのサポートがチカラになります。お待ちしています。