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警察とマフィアに絡まれた話(後編)

 国境の警察やセキュリティと言い争いをし、まともなご飯も食べれずに車の中で一夜を過ごした翌朝、私たちはボツワナのハボロネにある日本国大使館に電話をした。大使館が個人旅行者のために出来ることにも限界があることを知っていたし、何か自分たちのために有効なこと(例えば解放など)を命令する権限がないことなども知っていたが、ただただ日本人にすがりたい、助けてもらいたい、自分たちより現地に詳しい、かつ優秀な人たちの意見を仰ぎたいと思い、どうにか救って欲しいという一心で電話をかけた。

 電話には大使館の警備対策官の方が応じてくれた。事件の詳細から自分達がおかしいと思う点などについて伝え、大使館が間に立って伝えてくれた。そしてその話し合いの結果、交通省で事故の検証を行うことになった。しかしこの検証というのがまた酷かった。それっぽい人が来て調査をしたものの、結果は何ひとつ教えられず、またその結果も(おそらくマフィアとズブズブな関係にあるであろう)警察官が自分で勝手に書いたものであった。(この警察官は自分たちの名前の署名まで勝手に書いていた。) そしてまたその場で弁償を求められた。その弁償の代金というのもどこから来たのか分からない法外な料金であった(17万円)。

 結局、私たちはそこでも署名や弁償を拒否して、とりあえず日本国大使館に行きたいと言った。そこで警察官に粘られたが、何とか大使館に向かうことが出来た。ボツワナのSIMカードを持っていないため、電話やデータが使えず何のアポも取っていなかったが、状況が状況なので凸らせて頂いた。大使館では臨時で大使をやっている次席の方と自分たちが連絡を取り合っていた警備対策官、また大使館員のボツワナ人の女性2人が同席し、私たちと警察官2人とクルマの持ち主で話し合いが行われた。(日本人の大人、しかも頼もしい大人と会って日本語を話した時点でそれまでの緊張が緩み、少し泣きそうになったが、何とか我慢した)そこで自分たちは現場で起きたことや自分たちがおかしいと思う点などを詳細に説明した。それから大使館の人たちは自分たちと警察&マフィアの間に立って、クッションとなり、説明や警察側が行なっている点のおかしい点について主張してくれた。この人たちがいなかったら自分たちはきっと折れて、負けてしまっていたと思う。負けないという強い気持ちはあったが、間に誰も挟まなかったらもっとひどくなっていたと思う。話し合いは3時間にも及び、完璧な解決には至らなかったが、結論として自分たちが警察に罰金(1万円ほど。これは合法的なもので、誰でも払わなければならない)を払う以上、警察はそれ以上この事件には関与できず、自分たちの滞在先や車での移動も制限する事は出来ない(そもそも自分たちの移動の自由などを制限することは法律が禁止している)ため、自分たちは解放されてホテルに帰ることができる。そして運転手は自分たちに弁償をして欲しければ、自分たちがやったという明確な証拠を持って来るか、また裁判所を通して手続きを行い、そこで認めてもらう必要があるということになった。そして警察のすすめで解散は警察署で行われることになった。これは自分たちが相手側に逆恨みされ、尾行されたり、危害を加えられたりしないようにするためだ。そして自分たちは警察署へと向かった。

 しかしそこで事態はまた悪化することとなる。マフィア野郎がまた文句を言い始めたのだ。相手側の主張はこうだ。「訴訟して新たな検証が出来る許可をもらってもこいつらがどこかに行ってしまえば何も出来ないだろう」確かにこの意見は一理ある。事実、自分たちは彼からいち早く逃げ、他の国へ行ってしまおうと考えていた。終いには、彼の車を自分たちの車の真ん前にわざと停めて自分たちの車を動けないようにしてしまった。

 その後、彼は警察とセキュリティに警告され、渋々と車を動かしたが、自分たちが出発したら追いかけてきたり危害を加えてきたりする恐れがあった。そして結局、警察側の指示でとりあえず自分たちの車を警察署内に残し、少なくとも今日は逃げる気がないということを示してパトカーでホテルに向かうということになった。

 そして次の日の朝、自分たちは警察署に行き、彼が今ここに居ない以上、自分たちには危害が及ばないし、何より警察に居て彼が来ることの方が怖いので移動させて欲しいとお願いした。時間はかかったが、警察署内の上の立場の人と複数の警察官がそれに賛同してくれたため、自分たちは晴れて解放してもらうことが出来ましたとさ、おしまい おしまい。。。

 と行ったら良かったのだが、簡単には行かなかった。おそらく裏でマフィア野郎と繋がっている年配の警察官が出発しようとして門を出た自分たちのことを無理やり停めてきた。その警察官は彼がすぐ来るから彼と会って今後の予定や滞在先、パスポート情報や連絡先などを教え、相手の修理代の請求書も貰えと。その警察官にそんなことをする権利はないし、自分たちにもその指示に従う義理は全くないが、彼の指示に従わなかったことでまた何か面倒臭いことをされては困るので、善意で彼の到着を待った。そして彼に情報を渡し、彼が持ってきた請求書を受け取り、相手が正当な法的手続き、手順を踏んで何か請求して来るならこちらはそれを受けるということを伝えて別れることにした。ちなみに請求書は70万円まで膨れ上がっていて。ナンバープレートやパーキングセンサーだけでなく、謎のペイント代やその他の修理代、また法外な人件費まで含まれていた。

 そしてようやく全てから解放され、ホテルに到着した自分たちは恐怖することとなる。自分たちが滞在するホテルの駐車場になぜかそのマフィアが先に来て駐車していたのだ。おそらく自分たちがちゃんと滞在するかを確認したかったのか、跡をつけて来たのか分からないが、そこに奴はいた。流石にやっていることがヤバすぎるので、ホテルのフロントに相談するとホテル側は自分たちの安全のために最大限の協力をしてくれた。彼はすでに駐車場から出て逃げていたが、彼が入ってこられないように彼の顔写真と車に写真をホテルのセキュリティに提供した。

 元々、自分たちはそこのホテルに戻った後、荷物だけ取って他のホテルに移ろうかと考えていたが、ホテル側の勧めでその日はホテルに滞在して、次の日の朝早くに出発することにした。(なぜなら日中は彼がどこにはっているか分からず、またつけられる可能性があり、何をされるか分からないから。) 

 それから自分たちはこれからどうすべきかを考えた。正直、この国には行きたい観光地があったが、何より運転をしていた友人とこの車をいち早くこの国から出すことが最優先だと考えた。そして相談の結果、ジンバブエに直接行くのではなく、知り合いやいざとなれば助けてくれる人が多く、なおかつ国境まで近い南アフリカに一度逃げ、そこからジンバブエへ向かうことにした。そして翌朝、4時半に起き、5時に作戦決行。

 結果は。いまこの文章を書けていることからも分かるように、無事成功した。南アフリカに入ってからの安心感はすごかった。国境を越えた後に食べたKFCは108倍美味しく感じた。(BON NOU ☆)

 今こうやって振り返ってみると、いい土産話だけど、問題のど真ん中にいた時は本当に辛かった。でもいい経験だった(?)笑

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