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「外反母趾」はハイヒールが原因ではない。

外反母趾といえばハイヒールが原因
ある種の固定観念である。

ハイヒールどころか低いヒールでさえほとんど履かないという人ばかりである。若い世代なら厳しく運動をしている人に多い。
思うに、ハイヒールの形と、変形した足の形が似ているからそう言っているに過ぎないのではないか。

実は、外反母趾の原因は「単に重心が後ろになったことによって起こる。」

実際にやってもらうと分かりやすいが、立った状態でゆっくり踵に重さをかけていく。すると体は後ろに倒れてしまう。その倒れる少し前の状態がすべての原因である。

後ろに倒れる前、人間は何とか倒れないように足の指を反らせて踏ん張ろうとする。反らせることで後ろに倒れないように足の甲からスネの筋肉を使って上体を前に引っ張ろうとするのだ。体重の重さをスネの前の筋肉のみで引っ張ろうというのだから、小さな筋肉にとってみれば相当な負荷がかかっている。これが外反母趾を起こす力の源である。

足裏全体をついて指を反らせた形を見れば、親指の付け根に少し痛みを感じることがある人ならば、外反母趾のような形になることが分かるはずである。また、足の甲が高くなっている人や、足の幅が広くなっている人が指を反れば、同じく外反母趾の形が想像できるであろう。

つまり、外反母趾は重心を後ろにして立ち続け、後ろに倒れないようバランスをとるために指を反らせる力が長期間続くことで反りやすい足の形に変化し、結果として外反母趾の状態に至る。逆を言えば、外反母趾とは後ろに倒れにくくするための変化である。

重心が後ろの人がヒールのある靴を履くと、カカトに重さがかかり、膝が曲がる。こうなるとつま先立ちなのに指が浮く異様な状態になる。同様に、ヒールが無くてもカカトに重さがかかると軽く膝が曲がり、つま先が上がる。こうして外反母趾ができるのである。

しっかりとつま先に立てて、カカトに重さをかけず膝が伸びてハイヒールを履いていれば外反母趾にはならない。

改善させるならば、後ろに体が倒れないようにすることだけである。

問題は女性の場合、特徴として重心を前に倒すことが苦手な人が多いことである。中学生を過ぎて急に運動能力が低下するのはそのせいである。男性の方が前に倒れることができるので、中学生以降筋肉の発達とともに競技力が上がり、外反母趾で悩む人が少ないのもそのせいであろう。私見だが、女性は妊娠してお腹に子を宿した時、お腹に重さがあってもバランスがとりやすくするため、大人になると重心を後ろにもっていく体の使い方をするのではないか。

重心の位置を前にするためのポイントは骨盤の使い方が重要である。

加齢とともに腰が丸くなり重心が後ろになるのは当然の流れである。根本的な自分でできる対策は、少しでも若い時からの重心を前にする努力をするだけある。

しかし、その姿勢をとることが現代人は下手すぎるという現実がある。

難しい問題である。

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