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良く効く書方箋【忘れられた巨人】物忘れが多くて悩んでいる貴方に。

朝、家を出るときに
携帯をどこに置いたか忘れる。
道端で久しぶりに会う知人の名前を忘れる。
そーそーあそこだよね、
あそこのカレー美味しいかったよね、
店の名前なんだっけ。
ランチに何を食べようか迷っている時に
あれ、昨日のランチは何食べたっけ。
最近なんだか忘れっぽくなってしまった。
生活が不規則なせいなのかな、
年をとったのかな、
あーー脳が何かおかしくなってしまったと
悩んでいるあなたにとっておきの良く効く書方箋をご紹介します。

【忘れられた巨人】イシグロ カズオ

イシグロさんの妙力は題材によって舞台も体裁も変化自在に変えてくるのです。
読者は読み始めるまで何が出てくるか分からない
その世界観にわくわくします。
そして、この忘れらた巨人の舞台は
中世のヨーロッパ。
しかもファンタジーの体裁で物語は始まります。
とある小さな村では、人々の記憶が薄れていってしまうという流行り病とも違った不可解な現象が蔓延しているのです。
それには竜の吐く息が霧となって村を覆うからという憶測が広まっていく。そしてその竜を
見つけて退治すれば、全ての記憶は鮮明に蘇り、平和がもどってくるはずだと、その村に住む
老夫婦は隣村に住む息子を頼りに会いに行く
旅にでるのですが、その息子の名前まで忘れてしまっている、、、。

物語りが進むにつれて、老夫婦は記憶の断片を思い出したりもするのですが、そこで一つの疑問が湧いてきます。

果たして記憶を取り戻すことが、
必ずしも良い事なのか。

仲睦ましい老夫婦といえども、
その長い生活の中ではお互いに心の傷を負っている事がある。今という仲があるのは、そういった過去を忘れられたから存在するのではと考え始めるのです。

忘れる、とは何やら悲観的に考える事が多いのですが、よくよく考えれば、うまく忘れられたから、今がうまくいくという事も考えらえる。
逆に忘れたからこそ良かった事も確かにあるのです。

過去を忘れるという事は、
今に集中できるという事。

別れてしまった恋人の事がいつまでも心の中心にいたら、新しい恋を見つけることはできないし、失敗したことをいつまでも悔やんでいても、
新しい事へ挑戦する意欲も湧いてこない。

そこで大事なのは、うまく忘れる事なのです。
忘れるという事は、毎日を新しい自分でいられるという事。

老害とは嫌な言葉があるけれど、
これは経験則という記憶の蓄積から、
新しい物の見方ができない。
新しい物事を古い経験の記憶のフィルターを通して、経験前に自己決定してしまうという事だと。

この忘れられた巨人は、
偉大なる忘却の効用を教えてくれます。

昨日のランチなんだっけ?
あれ、あなた誰だっけ?

それらは全て自分を新しくするための自浄作用だったと分かる事でしょう。忘れてもいいんです!

果たして、
この老夫婦は息子に会えるのでしょうか?
そこまでに何を思い出すのでしょうか?
そして人々を忘却の彼方に追いやる竜は倒されるのでしょうか?

ついこないだ読み終わったはずなんだけど、、、、、、、、、
忘れてしまった!

何だか最近忘れっぽくて悩んでいたら
【忘れられた巨人】をお勧めします。

あら不思議
本を読んだら、悩みすっきり!
さて、今日は何を読もうかな。