見出し画像

【事例から読み解く】設問は何問くらい? 自由記述設問が多いと回答率は下がる?/従業員リサーチナレッジ

「せっかくだから、これも一緒に聞いてよ。」
こんな声が聞こえてくるのは従業員リサーチを実施する時の“あるある”ではないでしょうか。担当するご自身でも聞きたいことがあるし、周りの方からもせっかくの機会にあれも聞きたい、これも聞きたい、と要望が出てくることかと思います。
マクロミルのお客様が実際に行った従業員リサーチを例に、実際に何問くらいで実施されているのか? また、回答する側からすると手間の掛かる「自由記述設問」が多いとアンケートの回答率に影響するのか? について明らかにしていきます。

コロナ禍での働き方の変化などで、従業員満足度調査(ES調査)やコンプライアンス意識調査など、従業員を対象に行う「従業員リサーチ」の実施が近年増加しています。この連載は、その従業員リサーチを実施する側であるご担当者様に向けて、マクロミルが長年培ったナレッジやノウハウをご紹介し、ご活用いただくためのコラムです。

1.従業員リサーチ、他の企業は何問くらいで実施している?

ではさっそく本題ですが、世の従業員リサーチは実際何問くらいで実施されているのか見てみます。下記は、マクロミルが2020年7月~2021年6月の1年間でご支援した従業員リサーチにおける、実際に実施された設問数の割合です。

図1:従業員リサーチの設問数の割合

10問以内、11-20問以内、21-30問以内がそれぞれで20%を超え、30問までの設問数で実施した企業が全体の70.9%。最も多いのは11-20問以内の25.2%ですが、50問を超えるようなリサーチも12.6%あり、平均は28問でした。

50問を超えるとなると相当な調査票ですよね。どんなリサーチなのか気になったので見てみると、共通点は、多くの部署にまたがってリサーチを実施されるケースでした。企業様によっては、部署ごとや役職ごとなどで設問分岐(該当する方だけが回答する設問ロジック)がたくさん行われているアンケートのようです。所属や兼務などによりお一人お一人回答する設問量は異なりますが、単純に従業員全員が50問以上を回答するわけではありませんでした。一方で20問以内などの設問数のリサーチでは、設問分岐はなく、全社員が回答する設問で作成されている傾向が見られます。

2.見た目の設問数が少なくても、実は50問以上のリサーチが7割強!?

とはいえ、上記はあくまで問1、問2といった設問数をベースにしたカウントですが、アケートには次のようなマトリクスと呼ばれるような回答形式がたくさんあり、設問数よりも実際に回答する項目の量は多くなります。

マトリクス回答形式と聴取項目数

マトリクス回答形式とは、同一の選択肢を用いて、回答をまとめて取得する方法です。他にも自由記述の回答ボックスを複数個配置するといった設問もあるため、Q番号で表示される単純な設問数と、総じて回答しなければならない項目数は異なることが多々あります。この記事では、実際に回答する項目数を“聴取項目数”と記載します。

図2(1):設問数は1問だが“聴取項目数”は3項目(マトリクス回答形式の場合)
図2(2):設問数は1問だが“聴取項目数”は3項目(自由回答形式の場合)


図1(設問数)で紹介したデータを、実際に回答する“聴取項目数”でカウントした結果が次のグラフです。
50項目以内、51-100項目がともに30%を超え、最多は51-100項目で35.9%。100項目以上の従業員リサーチも多くてびっくりですね。200項目を超えるものも6.8%あり、平均は89項目でした。もちろん前に触れたように設問分岐を行っているため、実際に回答する項目数はもっと少なくなると思いますが、それなりの聴取項目量ではあります。

図3:図1を“聴取項目数”でカウントした場合の割合

3.「自由記述」は2項目以内が約半数

アンケートの中でも特に回答負荷が高いものが自由記述(FA)設問です。回答者は文章を記述する必要があるため、負荷が高くなります。自由記述は何個くらい入れる企業が多いのでしょうか。さきほどの図2(2)の自由記述のように、1問の中にいくつかの記入欄(項目)を設けるような場合もあるため、項目換算で下記グラフにまとめました。

図4:自由記述(FA)の“聴取項目数”の割合

自由記述の“聴取項目数”は1~2個で実施された従業員リサーチの割合が特に高く、約半数が2つ以内の聴取に留めており、FAの“聴取項目数”は少なく設定されています。

アンケートを聞く際に「必須(回答しないと次に進めない)」ではなく、「任意(回答しなくても次に進むことができる)」で聴取されていることが多かったのも、注目すべきポイントかと思います。

また、FAの“聴取項目数”が0~4項目の間では回答率に大きな差はありませんでしたが、5~10項目の回答率平均では8%ほどの差がありました。このように、回答負荷を極力下げるように、FAを極力少なく、また聴取の際は任意にするという工夫が必要なようです。

 回答負荷を考えると“聴取項目数”は少ないに越したことは無いので、目的によってリサーチ自体を分けて実施することが理想ではあります。しかし、どうしても1つのリサーチの中で様々な内容を聞く必要もでてくると思いますので、設問数や聴取項目数を増やさないように社内調整をされる際には、世の平均数値も参考にしていただければと思います!

当noteの「従業員リサーチナレッジ」の連載でこれまでに投稿した記事を、ビジネスでご活用いただきやすいよう資料としてまとめました!
より具体的なテクニック等も合わせてご紹介しております。
ダウンロードはこちら

この記事を書いた人

企業様の従業員リサーチなどをご支援するマクロミルのリサーチプラットフォームグループ
(左から、平岩、竹内、川村、徳田)

マクロミル公式note  従業員リサーチナレッジ(マガジン)
https://note.com/macromill/m/m89438888a57c
サービス紹介/お問い合わせはこちら
https://www.macromill.com/service/open_research/

この記事が参加している募集

スキしてみて

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!