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三日坊主日記 vol.51 『ジェンダーってなんだー』

昨夜、あるコミュニティのイベントでトランスジェンダーの方の話を聞いた。

この方は女性として生まれ、30代半ばの今は身体も戸籍も男性で、奥さんもいらっしゃる。物心ついた頃から自分の性別を意識した事があまりなくて、ご両親も”女らしく”と決めつけずに寛容に育ててくれたそうだ。恋愛対象は常に女性で、ケンカする相手は常に男性。当時は理由も考えずそうしていたけど、大人になって考えると彼はずっと男性だったのだ。

僕はいま、ジェンダーフリー、LGBTQにちょっと興味があっていろいろと勉強をしている。今回もその流れでご縁をいただいての参加だった。講演自体は一般的なLGBTQの解説や、こういう人たちを迎え入れる組織へのアドバイス。そして自分が成長過程で経験してきたこと、考えてきたことなどなど。そして性転換のことや戸籍を変えるというちょっと突っ込んだことも、赤裸々に語ってくれた。

中でも、医者による性同一性障害という診断はどういうプロセスを経て下されるのか、という話が興味深かった。これって極めて主観的なもので、白黒はっきりと判定できるものではないから、誰が何を基準に判断して、誰がどう責任をとるのかとずっと疑問に思ってたんだけど、それが聞けた。

もう一つ面白かった話が戸籍のこと。元々この方はお姉さんと二人姉妹。つまり長女と二女の関係で、戸籍にもそう記されていた。それが性転換手術を受け、家庭裁判所で裁判官が戸籍の変更を認めて男性に変わった。普通に考えると二人の続柄は長女、長男になるはずなんだけど、実際は長女と二男になったそうだ。本人曰く、謎。確かに謎だけど、きっと理由があるんだろうから是非聞いてみたい。

目から鱗がぼろぼろ落ちたのが、場所を変えての懇親会。

僕はたまたまこの人の近くの席に座らせて貰って、その周りにはたまたま愉快なおじさん達が集まったこともあって、この人を中心に大いに盛り上がった。なぜ盛り上がったかというと、この人はまったくの男なのである(この言い方が既に良くない)。しかもエロいことばっかり考えているアホな兄ちゃん。不適切にも程がある発言を連発する困ったヤツなのだ。

最初は無理して話を合わせているのかなと思ってたんだけどそれは全くの杞憂で、心の底からアホ話を楽しんでいる。これまで自分が送ってきた、人とは違う人生をまるで他人事のように面白おかしく話す。目線がまるで違うのだ。自分のことを話してるんじゃなく、隣の家に住む誰かを覗き見している感じ。性同一性障害というよりは入れ替わり。新海誠監督の映画『君の名は。』で、立花瀧が入れ替わった宮水三葉の胸を掴んで喜んでいるあれである。

世の中には色んな人がいて、色んな悩みを持ち、みんなが状況を改善しようと頑張っている。それは女性とか男性とかの問題ではなく、同性を愛するとか異性を愛するとかの問題でもない。国籍も、肌の色も、貧富の差も、実はあまり関係なくて、その人の問題なんだ。と、ジェンダーレス問題のとても大切な考え方の入り口を少しだけ垣間見ることができたような気がした貴重な夜だった。


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