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三日坊主日記 vol.108 『テレビCMを企画する』

テレビCMの企画をしている。


正確には、企画を始める為に頭と心の準備をしている。テレビCMにおける企画とは、コマーシャルの内容を考えること。誰が、どこで、何をするのか、何をどういうのか、を考える。簡単にいうとそういうこと。


もう少しだけ突っ込んでいうと、クライアントが売りたいモノやサービスを売りたい層に届けるには、どういう伝え方をするのが効果的か。群雄割拠数多ある競合の中で、しかも視聴者はCMなんかちっとも見たいと思ってない環境の中で、偶然流れてきてしまったCMを無視したいんだけど一瞬で釘付けにされてついつい最後まで見てしまうように。そして、覚えたくもない商品名やサービス名や企業名を覚えてしまうように。


願わくば、そのCMがネットやSNSでバズってあれよあれよという間にどんどん拡散され、ついにはその商品名(サービス名)が頭からなかなか離れなくなり、次にコンビニやスーパーへ行った時に不本意ながら手に取ってもらうように。そうなるにはどんなコマーシャルにすれば良いのかを考えるのがCM企画と言われるモノである。


なかなか高いハードルではないか。いや、高すぎて簡単には飛び越えることなどできない。考え始めはいつもワクワクしているんだけど、途中であまりに険しい道のりに立ち止まり、ため息をつき、途方に暮れる。


それでも再び歩き出し、血反吐を吐き、冷や汗をかき、頭を掻きむしって血だらけになりながら、締切りの朝には素晴らしいコンテ(企画)を仕上げるのが、プロフェッショナルの仕事だ(途中からスガシカオが鳴ってるイメージ)。


とまぁ大体こんな感じなんだけど、ここまで根を詰めて、半ば命懸けで企画をしている人は一体どれくらいいるだろう。僕の肌感覚でいえば全体の20%くらいか。いや、もっと多いかも知れないし、少ないかも知れない。知らんけど。


CMの企画は基本的に広告代理店のCMプランナーと言われる人たちが考える。コピーライターやデザイナーが兼務することもある。しかし、広告代理店のクリエイターだけで完結させることは意外と少なくて、我々ディレクターにも企画が回ってくることになる。結局は視聴者に響くアイデアがあれば良いので、クライアントが考えてもプロデューサーが考えても、誰が考えても良いのだ。


とはいえ、初めて立った打席で出会い頭のポテンヒットは打てても、それがクリーンヒットになったり、柵越えをすることはなかなかない。ましてコンスタントに打率を残せることは決してなく、それにはやはりスキルが必要なのだ。


だいたいみな同じようなものだと思うが、僕はディレクターになってからずっとこんな感じのCM企画を常に何本か抱えて過ごしていた。そしてもちろん決まった企画を演出するための演出コンテも描くし(こっちも常に数本被っている)、撮影も編集もロケハンだってオーディションだってする。アホである。今考えると完全にキャパを超えている。1日24時間では全然足りていない。


でも、その渦中にいるときは分からないのよね。毎日しんどいんだけど、むちゃくちゃ楽しくて、終わらないで欲しいと思いながら仕事していた。実はその気持ちは今も全然変わってなくて、仕事してると楽しいし、忙しくなると嬉しくなってくる。もしかしたら変態かも知れない。


あ、とはいえ今はあまり詰め込まずゆっくりやってますんで、お仕事お待ちしています。



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