10日間集中していたCM企画の締切が来た。

と言っても、実際のところ机に向かったのは今日の早朝から。約9時間程かけてコンテが数案仕上がった。それまでは普段とあまり変わらない生活をしているけど、頭の中はほぼずっとこの仕事のことを考えている。さて出来栄えはどうだろう。僕が良いと思っても選ぶ人がそう思わないと意味がない。それは最終的にクライアントが選ぶんだけど、その前に広告代理店の担当も見るし、プロデューサーの見る。それぞれがそれぞれの立場で選ぶので、全員が納得するものはあまりない。

仕上がりを見る人（それが見えない人も多いけど）。仕上がるまでに掛かる予算を見る人。仕上がったものがどれだけ売り上げにつながるか見る人。中には上司の顔色を見る人もいるだろう。みなそれぞれビジネスなんだから、それはそれで仕方がない。

これまでに、恐らく数だけでいうと千案を軽く超える企画コンテを描いていると思う。そのうち、CMとして完成し、放送されたものはどれくらいあるのだろう。10％に満たないはずだ。とてもよくできた案であってもゴミ箱行きのことが多いし、その逆もある。

そもそも自分で自分の企画能力を信用していないので、没になってもすぐに気持ちを切り替えるから、ほとんどダメージは残らない。そんな僕がこれまで考えたアイデアの中で、今でも覚えているというか、没になってとても悔しく、今作っても面白いと思える企画はどれほどあるだろう。もしかしたら片手で余るかも知れない。

理屈が立ちすぎていたり、感覚的すぎたり、どこかで見たようなアイデアだったり。なかなか膝を打つようなアイデアは降りてこないのだ。