落語?ラップちゃん

ラップ:私の名前はサランラップ。キッチンにあるカラカラ、ピッのサランラップ。人間に捨てられたばかり。あら?誰か来るわ。

人間:リストラだ。仕事も家もなくなった。あれ?あの、サランラップさんですよね?そんな、道端で転がって、どうしたんですか?

ラップ:気にしないで下さい。好きで転がっていますから。

人間:そんなことはないでしょ?普通ならキッチンにいるはずなのに。もしかして…端っこが分からなくなってポイ捨てされました?

ラップ:そうよ!悪い!?あなたも、どうせ、そういうタイプでしょう?

人間 :はぁ!?八つ当たりしないで下さい。八つ当たりなら俺だってしたいよ。つーか、この際、サランラップでも何でもいい。俺の話を聞いてくれ!わーん!

ラップ:何?この人間。私みたいなサランラップに愚痴を言うなんて、相当参っているわね。サランラップの私より他人の手のひらで転がる人生ね。

語り :サランラップは愚痴を聞いてあげる事にした。情けを掛けたついでに、人間の持っていた少ないご飯にサランラップも掛けることにした。

音と動作:カラカラ、ピッ!(ラップを使う音)

人間 :よし、これで三日はもつ。

ラップ :ちょっと、お礼ぐらい言いなさいよ!(あっ、また捨てられてしまう…)

人間 :それもそうだ。ありがとうございます。サランラップさん。

ラップ :えっ、えぇ…。どういたしまして…。人間さん…。

語り :道具として使うだけ使われて、お礼を言われたことがないサランラップはうれしくなった。思わず、人間に胸キュンした。人間は人間で好かれて悪い気がしなかった。 そんな一ケ月後。

音と動作:カラカラ、ピッ!(ラップを使う音)

人間 :いつも、ありがとうね。ラップちゃん。

ラップ :いつも、「どういたしまして。」だわね。人間君。

語り  :ちゃん付けに君づけ、ラブラブ感漂う一人と一本。しかし、ラップの残りが少なくなってきた。そして、ラップが倒れた。

人間 :大丈夫か?これ以上身を削らなくていいよ。俺は、お前を使いたくないよ。

ラップ :だめよ!使ってくれなきゃ、生きている意味がないわ。

人間 :そんな、使えないよ。

ラップ :もう!意気地なし‼

音と動作:カラカラ、ピッ!(人間とは違う動作)バタッ!(ラップが倒れた音)

人間  :ラップ!くそ...どうすれば...。そうだ!こいつを、あーして、こーして...。できた!ラップ、聞こえるか?聞こえたら返事をしてくれ。

ラップ :あら?私、なんで...?

人間 :お前は新たな命が吹き込まれたんだ。ほら!

動作 :(ラップの芯で出来たおもちゃを出して動かす。)

美人でしょ?

人間 :これからも、ずっと一緒だ。結婚…して…下さい。

ラップ :嬉しい...ありがとう...。

語り:作業として、包むだけの関係から、愛に包まれた喜びの未来へ向かった一人と一本、サランラップと人間は、末永く幸せに暮らしましたとサ。


※文章だけでは伝えられない「ラップちゃん」 。ラスト1分がしたいだけの動画がこちら↓↓↓

https://www.youtube.com/watch?v=BHQWw_KfVvI


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