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20230209【その町で暮らすという事】「高架線」滝口悠生

リバーサイドリーディングクラブが勧めていたので手に取った。
この小説の舞台は東京の「東長崎」。うちの近所だ

近所が描かれているなんて、東京に住んで良かったなー、
なんて思いながら読んだ。

東長崎にあるアパート「かたばみ荘」に関わった人々の話が語られるのだけど、世間話を聞いてるみたいで心地良い。

そして何より、アパートを中心に生まれる人々のゆるい繋がりみたいなのが、とてもグッドバイブスなのだ。

偶然出会った人と公園でビールを飲んだり、
とあるきっかけから毎年、ある行事を行う仲になったり、
そういう「暮らしの中での繋がり」みたいなのに自分はすごい憧れる。

「もしも自分がもっと早く上京していたら」
「いや、まだまだこれからなんじゃないか」
とか、小説と自分の生活を東長崎という座標で重ね合わせることで謎のトリップ感を味わった。

そんな、よくある人生の1ページ、でも思い返すとナイスな1日。みたいな。
さらりとした人生の良さに満ちている小説だった。

もしも漫画になるなら石黒正数先生の絵で見てみたいな。

(小説に登場するバンドのメンバー名、
 三郎がベース担当で「Sub-low」、田村がドラム担当で「Tam-lux」
 というしょうもなさと、リアルな軽音あるある感。笑ってしまった)

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