見出し画像

宝剣レトロラベル

利他的な人は、嫌われるそうだ。

例え気が付かないふりをしていても、どこかで気づいている、自分の弱さやコンプレックスを、刺激されてしまうかららしい。


経済バラエティや、ニュースで、成功者を取り上げるとき、時々、なんとなく違和感を感じていました。

何億稼いだとか、アジアの高級マンションを所有しているとか、セレブたちだけが集まる交流会の様子とか。

そう云えば、リカちゃん人形でおなじみの、香山リカちゃんもハイスペックなお方だ。
ヒロインは美人で、性格もよく、ヒーローも、正義感が強く、勉強スポーツ万能で、イケメンで強い。

確かに、そんな人達より、何処かで抜けていたり、駄目なところがある方が、「人間味があっていいや、ワハハハハ」と他人受けが良いのは、そういう人を見て自分を重ね合わせた時、ホッと出来るかも知れないけれど。

でも、もしそうならば、言い換えると、だめな自分や、できない自分を、見たくないという心理の裏返しなのかな?と思ったり。

話を戻すと、私が思う成功者って、どれだけ凄いことができるか、手柄を立てたかではなく、どれだけ生き延びているかだと思っている。

言い換えると、目立ちたかったり、持続を求めない評価なら、全力注ぎ込んで、でっかい花火を一発上げればいい。

けれど、物事を持続的に行おうと思えば、そんな無茶はできない。
目線を変えて、老舗ってなんで老舗になれたかな?と思ったら、大変な時や、失敗しながらも、生き延びてきたからだと思うと、どんな成果を上げたか、勝ち試合だけを評価するのは、なんとなく違う気がするのです。

初めて宝剣っていうお酒を呑んだ時、格好いいなって思いました。
その格好良さを表現するなら、歌舞伎役者が見得をする感じ。

もし、派手さや、ゴージャスさ、華やかさを見せつけたいと思って、イケイケドンドンだったら、多分、凄そうだけれど、ふわふわ浮ついた感じになると思うのです。
とすれば、このお酒には、光を光と感じさせる影があるのかもと思ったり。

はせがわのSake Competitionで、宝剣レトロラベルが1位を獲った時、自分のお酒と流行とのギャップに苦しんだと蔵元は話したそう。

それでも、自分本来のお酒で勝負するときの気持ちは、負ける自分を見るのが嫌で、逃げ回っている人や、都合よく勝ち馬に乗っかろうとする人にはわからないかもしれない。

『僕は弱い人間なんで、苦しまないと頑張れない。もっともっと苦しんで、いっそううまい酒を造っていきたい』
最高に痺れる!!

私が何かを勢いでやり始めようとする時、頭の中で「どうせ失敗するんだろう」って声や、失敗した時「ほれみろ」「やっぱりな」って、蔑んだような、誰かの声がずっと聞こえる。

多分、本当に、そうなんだろう。笑われて、バカにされて。

私には、それを笑い飛ばせるほどの、強いメンタルはない。
それでも、私は、怖さや弱さを知っているからこそ、たどり着ける何処かがあるような気がするのです。
                                                                           (2020年4月22日)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?