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母は創作の賜

毎日本屋に通っていた私
毎週カラオケに行っていた私
毎月一回は映画館に居た私
お酒が好きでバカみたいに呑んでは人に絡む私

 そんな「私」達を生き埋めにして

 望んで妊娠出産した

 子育てが辛いわけではなく、埋めてきた私が少しずつ少しずつ這い出てきて、ゾンビのように追いかけて来ているのがつらい
あの頃の「私」たちは、生き埋めにした私を探してる

 『楽しかっただろぉ…🧟』
 『自由だっただろぉ…🧟‍♀』
 『なんで埋めたぁ…🧟‍♂』

 私は自分自身が納得行く母であるために、自分をママでコーティングして、ゾンビを見ないようにした

 ママを創って3年

 疲れた
 ああ、なんだか楽しくない
 心が晴れない

 なんでだろう
 娘たちはとても可愛いし
 もうすぐ3歳の長女は聡明であまり手も掛からない
 
 おかしいな
 いい旦那さんもいて、近くに実家もあって
 なにもつらくないはずなのに

 たのしいってなんだっけ

 子どもたちの成長も勿論楽しみではあるが
 心が踊らない

 わくわくやときめきはどこ行ったんだっけ

ふと、落ち着いてみるとゾンビがすぐそこまで来てた

 『ママなんかやめちまぇ…🧟🧟‍♂🧟‍♀』

 やめたい
 自由に動き回りたい
 もはや無意識に
 娘が好きそうなお店をえらぶ
 娘が飽きないようにするには
 娘が疲れたらどうするか
 娘が入れるトイレはどこか
 娘が食べれるものは
 娘が、娘が、娘が

あぁなんだか、どっと疲れた

 私も生き埋めにされたい

…ゾンビなのは私だったか

『自由』『わくわく』『トキメキ』に置いて行かれた

追いかけても届かない

 母を創りすぎて自分が消えていく

あぁぁ、、、
ゾンビごと自分ももっと大切にしてやりたいなあ

おしまい


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