海外生活で実感。英語力と同じぐらい大切なこととは?
メルボルンに移住して10カ月と4週が過ぎました。メルボルンでボランティアとして働いている『OP SHOP』の活動が、まもなく半年を迎えます。
OP SHOPは、ドネーションで集められた洋服や家具、食器、おもちゃ、寝具など、ありとあらゆるものが売っているお店です。利益は、ホームレスをはじめ、社会的弱者の方への食料の提供、避難所の確保などのケア、サポートにあてられる、社会性の強い慈善団体活動です。
※OP SHOPに入ったきっかけは、以前のnoteで書いていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
どうやらスタッフは、私のことが気になるらしい
私が在籍している店舗は、日本人はわたしひとり。決まった曜日でのシフト制になり、オーストラリア人が4~6名、インド人が1名います。私のポジションは、入荷した品物を並べたり、陳列物を整えたりなど、店内をいつもうろちょろしているので、とかくお客さんに声をかけられます。
「男性もののベルトはどこにありますか?」
「子どもの洋服が欲しいんですけど……」
「絵の額って売ってますか?」
など、いろいろ。先週は、こんな質問もされました。
「ねえ、ねえ、このコート、私に似合う? メンズだからちょっと大きくないかな?」
試着室でステンカラーコートを着た20代後半の可愛い女性。ややオーバーサイズでしたが、すごく似合っていました。
「すごい似合ってると思うよ。ちょっと大きいけど、セーターを中に着ることを想定すれば、大丈夫だと思う」とアドバイスすると、「そうだよねー、ありがと」と言って、にっこり笑ってカゴに入れていました。
こんな風に書いていると、私が流暢な英語を話すと勘違いされそうなので、言っておきますね。私は、まだまだ英語に自信がありません。ただ、自分で言うのも何ですが、人とコミュニケーションをとるのが大の得意なんです。人種や性別に関係なく、わりと仲良くなれてしまうというタイプです。
「MADOKAは、ホントによくがんばってるわ」
「MADOKAと一緒に働くことができてうれしいわ」
など、最近はすっかりスタッフからも信頼を得ています。
先週のこと。
スタッフのひとり、AMANDAが私にある提案をしました。
「MADOKAの英語力をアップするために、私、いいこと考えたの」
「どんなこと?」
「あのね、レジのカウンターに立つのはどうかしら? お客さんとの会話ももっと増えるから、コミュニケーションできると思うよ」
「いいねえ、オッケー。じゃあ、来週から、そうするー」
また、別のスタッフ、SOPHIEはこんな提案をしてくれました。
「あのね、私の友だちに日本語を勉強している人がいてね、この間、MADOKAのこと彼に話したの。そしたら、ぜひ、“Language Exchange”しようって言うんだけど、どう?」
「私が日本語教えて、彼が英語を教えるっていうことだよね?」
「そうそう、そういうこと。オーストラリア人だから、MADOKAは英語をしっかり勉強できると思うし、いい人だから心配しなくて大丈夫」
「うん、ありがとうー。じゃあ、やってみるー」
また、別のスタッフ、インド人のTOMは、私に会うたびに、こんな相談をします。
「あのさ、MADOKA。日本人のシングルの女のコ、紹介してくれない?」
「だからー、先週も言ったじゃん。紹介できる女のコはいないんだって」
「そっか……。オレ、さみしいんだよなー」
「その気持ちはわかるけど、いないものは、いないんだって」
この会話のくだりは何回もしていて、もはや挨拶代わりに。彼も私の“かえし”を待っているようです。
チーズトーストを売りまくり、いつしか絆が生まれる
先日、『セントキルダフェスティバル』という、大きなビーチイベントが開催されました。そこで、私たちのチャリティ団体、Sacred Heart Missionがチーズトーストを販売するフードトラックを出店するための臨時のボランティアを募集していました。楽しそうだったので、迷わずメールで応募するとすぐに返事がきました。
「親愛なる MADOKA。
今回は応募をしてくれてありがとう!
ぜひ、一緒にチーズトーストを売って、売って、売りまくろう。
MADOKAのシフトは16時から19時の3時間だからね。
時間の10分前にフードトラックで集合だ!」
私、人生ではじめてフードトラックに乗り込むことになりました。
「こんにちは~、MADOKAです」
「今日はよく来てくれたなー、入れ、入れ」
トラックには4人のスタッフがいました。みなさんはじめましての方で、違う店舗で活動されているボランティアスタッフ、本部のスタッフもいました。
「で、私は、何しましょうか?」
「そうだな、MADOKAは焼き上がったチーズトーストを袋に入れて、CRISに渡してくれ」
「了解!」
ひとつ4ドルのチーズトースト。ひっきりなしにお客さんがやってきます。単純作業ですから、難しいことは一切ありません。
「MADOKA、チーズトースト3つ!」
「はーい、了解しましたー」
少しお客さんがひいたところで、軽く自己紹介しました。みなさんオーストラリア人で、かなり英語が早いし、トラックの中は大音量の音楽がガンガンかかっているので、正直、何を言っているのかさっぱりわかりません。でも、何となくの表情や場の雰囲気をくみ取りながら、うまく乗り切ました。じつは私、昔から“場の空気を読む力”に長けていまして、この特技がメルボルンでも大いに発揮しています。
19時になりましたが、次にくるスタッフがどうやら遅れているようです。
「MADOKA、申し訳ない。もうちょっと、手伝ってくれる?」
「もちろん、いいですよ。チーズトーストを売って、売って、売りまくろう!」
それから、30分後ほど作業して、別のスタッフと交代しました。
自分が楽しんで行動すると、まわりにポジティブな影響を与える
メルボルンに移住して、自分の生活が大きく変化しています。
英語力が足りないことで、悔しい思いをすることがままありますが、最近は、英語力と同じぐらいコミュニケーション力も必要なことを強く感じています。
言葉の壁があるなら、表情や態度で相手に気持ちを伝えればいい。
自分自身が楽しんで行動していることは、相手はポジティブに受け止めてくれます。
やがて距離が少しずつ縮まり、信頼へとつながります。
人種や性別、年齢に関係なく、これからも『相手への思いやりの心』を大切に海外暮らしを楽しみます!
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