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一人分の食事って、どのくらいが正解なの?〜食べても太らないカラダがほしい7〜

前回までの話はこちら  やけ食いはストレスのもとである。〜食べても太らないカラダがほしい6〜

高校を卒業してすぐ、三月の半ばに、私は大阪から神奈川に引っ越しをした。大学進学に伴うひとり暮らしの準備をするためだ。

この頃には過食も落ち着いていた。ひとり暮らしがはじまるというプレッシャーもあった。けれど、楽しみな気持ちの方が大きくなっていた。

わたしはそれまで手伝いこそするものの、料理をしてもいなかったし、生活自体ちゃんとひとりで過ごせるのか自信がなかった。家族も心配だったらしく、大学の授業がはじまるくらいまで母が一緒に過ごしてくれることになった。

引っ越したばかりのワンルームの部屋は、狭いけれど家具がほとんどないために、ふたりで過ごしても窮屈な感じはしなかった。母がいるあいだに、大学へ通うときに着る洋服を買いにデパートへ行った。思いのほか太ってしまっていた私は、洋服のサイズも「大きなサイズコーナー」でしか選べなかった。15号とか、そのくらいのサイズで、ウエストがぴったりだった。母は「似合うよ」と言ってくれたけれど、私は普通の婦人服売り場ではなく「大きなサイズコーナー」にしか選択肢がないことに今更ながらショックを受けていた。実家で過ごしていたころは、オーバーオールとかジャージみたいな伸縮性のある洋服でごまかしてきたけれど、大学に通う私服が必要になると、ごまかしてばかりもいられない。そうして「やっぱりちょっと痩せなければ」という気持ちが心のなかに沸き上がってきていた。

母とふたりで過ごした時間はあっという間に終わりを告げ、大学生活がはじまった。いろんな人がいて、初めての授業やサークルの勧誘など、毎日いろいろと新しいことが起こる。その場の雰囲気に慣れることで精一杯だった。勉強は難しいところもあったけれど、専門的な分野で、とてもおもしろかった。

母が大阪に帰ってしまったら、家事は全部自分でやらなきゃいけない。ひとり暮らしなんだから、他に家事をしてくれる人なんていない。掃除や洗濯はとくに困らなかったけれど、料理はかなり困ってしまった。

一人分の適切な食事量がどのくらいなのか分からなかった。

中学二年からほとんどごはんを食べなくなって、その後高校三年生くらいからは突然たくさん食べるようになったせいだろう。ちょうどいい量、というのがどのくらいなのか分からなくなってしまった。拒食症のときに妙にカロリーについて学んでしまったため「これくらい食べれば何キロカロリー」など、頭の中で換算してしまうクセもあった。

この悩みは、37歳になったいまでも、はっきりと解決していないままだ。お腹がすいたら食べる、でいいのではないか、と思っている。朝昼晩と三食食べなきゃいけないなんて、なんでそう決まっているのか? そもそもそれが理解できずにいる。夫とのあいだで何度も議論が交わされているけれど「食べたくない又はお腹がすいていないときは食べない」という私の主張を、夫はあまり聞き入れてくれない。最近ようやく「好きにしたら」と言ってくれるようになったのだけれど。

すこし脱線してしまったけれど、大学生の私は「一食の食事量」について悩んだ。けれど、また痩せたいという気持ちもあったので、あまりたくさん食べずに、ある程度お腹が満たされれば良かった。拒食でも過食でもなく、思えば適量だったのだろう。食事にお金をかけるより、お出かけして洋服を買いたいし、おしゃれもしたい。そうして過ごしていると、普段のくらしの中で少しずつ体重も落ちていった。

しかし、また食事についてストレスを感じる出来事が起きた。

大学一年の、12月のことだった。

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