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首をかしげつつ、それも楽しい【システマをまなぶ】

健康な戦士は不健康な戦士を圧倒する。(A healthy warrior is far superior to an unhealthy warrior.)

ロシア武術であるシステマには、このような考えがある。

「健康って大事だな……」と実感する数か月を送っている身としては、ずいぶんとつまらない日々を送っていた。

春ごろから、システマのトレーニングをお休みしていた。メニエール病と患い、回転性のめまいに悩まされていた。ローリングしていないのに目が回り続けるつらい日々よ……。

再び参加できたのは、長雨が過ぎた8月の終わり。経過も良好だし、お医者様からは「軽めの運動で、無理のない程度なら大丈夫ですよ」言ってもらえたのでいそいそと参加することに。システマは軽い運動に属するかどうかは、さておき。

トレーニングテーマは「ひじのコントロール・後編」。前編のおさらいをしつつ。久しぶりに「運動」として身体を動かすので、ついていくのがやっと。ひじはピンポイントでキメる。ちょっとでもズレるとキマらないというのを実感する。

9月14日のテーマは「緊張とリラックス」

いかにもシステマらしいテーマで「このわからなさ、久しぶり……!」と思い出して笑うほどだった。

床にあおむけに寝て、背骨をまっすぐ床につけるところからスタート。何にも気にしないで床に寝転ぶと、腰のあたりは床からすこし浮いている。背骨にはS字カーブ上に弯曲しているためだ。その隙間をなくすように、背骨を「まっすぐ」に伸ばす。背骨を伸ばすと、お腹も平らになる。その感覚を身体にしみこませる。背骨がまっすぐであることが、力の流れに関係する。

寝ころび、背骨をまっすぐにして、呼吸でリラックスをしながら、足を上げたり、左右に振ってみたり。いろんな姿勢をためす。プッシュアップでも同じように。背骨をまっすぐにしたり、リラックスをしながら何度かプッシュアップ。

立ち上がって、身体を部位ごとに緊張させ、リラックスする。この部位ごとにピンポイントで緊張するというのが難しい。たとえば、肩を緊張する。しかし、手首はぶらんとしていて、緊張していない状態にする。肩を緊張させると、その腕全体が緊張してしまう。足・腰回り・お腹。胸・肩・腕と、身体のパーツごとに緊張させ、リラックスを繰り返す。

リラックスは単なるだらっとした脱力ではなく、リラックスで力が生まれる。緊張とリラックスを繰り返し続けていると、リラックスしたときに重さのようなものが身体を通っていくイメージがある。エネルギーの放出、というかんじ。弓を射るときに、弦をひくのが緊張だとして、弓を放つのがリラックス。矢がリラックスから生み出される力。

ここまで書いて思い出したことがある。小学生のとき、漢字の勉強をしていて「緊張という単語にはそれぞれ糸と弓が入っています。弓道とか、アーチェリーのように糸がピンとした状態を指しているんですね」と教えてもらった。

ペアになり、身体を押してもらった部位に生まれた緊張をリラックスさせる。押されている場所を押し返すのではなく、押してもらった場所のみを緊張させ、リラックス。リラックスから生まれる力で身体を動かしたり、腕が上がるなど。身体に緊張が残り、リラックスできていない(リラックスしているつもりなだけ)と動きは生まれないし、相手の力も十分に生かし切れていない。

ストライクの緊張をリラックスで放出する、というワークも。相手の力をいったん受け入れるのではなく、受けた力を自分の力にかえて動かす。これもなかなか難しい。ただ、頭で考えて動かないほうがいいね、とペアになった人と確認し合う。考えすぎていると、ストライクを受け入れてしまい、ダメージを受ける。そうではなく、受けた力を移動させるというイメージ。意外と身体の方が柔軟に対応してくれる。だけれど、私はつい頭で考えてしまうので「うーむ……」と首を傾げつつのワークとなった。

特に難しく感じたのは、押してもらった緊張をリラックスに変えて床に倒れる動き。事前にひとりでもその練習はしていたが、床に倒れるのが怖いと感じてしまう。なめらかに床に倒れるのは難しい。(あと、これは個人的な問題として、ふらつきが生じないか心配だった)

なめらかに倒れるにはどうしたら? と質問された方に対し、北川さんは「足が緊張しているから。足も完全にリラックスするとグンニャリと崩れていくだけ。足が緊張していると、頭が高い場所から床へ移動する、という感覚が怖いと認識してしまう。足から崩れていく場合は怖くならない」と答えてくださった。

足が完全にリラックスする、という感覚をわたしはまだつかめていないんだなと、そのやりとりを聞きながら納得。ただ、ひさしぶりに「緊張とリラックス」を意識したワークができてとても楽しかった。半年近く、システマから遠く離れていたので、またこつこつと身体のおもしろさを追求していきたい。





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