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彼女の歌声は、お守りのように。

彼女の歌声が流れてきた瞬間に、私は動きを止めて、その後歌声に聞き入っていた。

運良く録画していたので、アニメのオープニング曲として流れている歌を、何度も何度も再生した。2017年1月のことだ。

アニメ「3月のライオン」のオープニング曲として流れていた「さよならバイスタンダー」という曲は、私にとって、とても大切なものだ。

アニメのテーマにあわせて書かれている歌詞で、自分の信じた、自分で選んだ道がたとえ間違えていたとしても歩いていくしかない。悩みながら手探りでも前に進んで、とアニメの主人公の葛藤をも描いている。

ただ、私はこの歌を聞いたときに「また、彼女に助けてもらった」という気持ちが込み上げてきて、思わず泣いてしまった。

YUKI
元JUDY&MARYのボーカルだ。バンド解散後、ソロ活動をして今年で15年になる。

彼女の歌に、何度も助けられてきた。
就職活動で悩んでいたとき。
仕事で落ち込んでいたとき。
体調を崩しぐずぐずと腐っていたとき。
理由は分からなくて、ただ漠然とした不安に押しつぶされそうなとき。

マントラのように、何度も何度もリピート再生した。頭の中で悩みを思い出すまえに、彼女の歌声を再生して悩みをかき消し続けた。

「さよならバイスタンダー」を聞いたタイミングも、まさに落ち込んでるいる最中だった。

私がやっていることは、ただのひとりよがりで、何にもならない。くだらなくて、時間の無駄なのかもしれない。もしくは、単なる暇つぶし程度に取り組んでいるだけで、飽きたらポイッと投棄ててしまうような、そんなものなのかもしれない。

けれど「さよならバイスタンダー」という曲をはじめて耳にしたとき。
私の拙い足取りが、たとえ間違いだらけだとしても。前に、前にと歩んでいくしかないのだと、胸に突き付けられた。そして、「あなたに、その覚悟はあるの? 書き続ける覚悟はあるの?」と、私自身のなかでふつふつと湧き上がる不安に対して「やると決めたんだから、後悔しない。たとえ、どこにも辿り着かなくても」と静かに覚悟を決めたのだ。

ただ、覚悟を決めた、といっても挫けることも多い。くよくよとうつむいて、足取りを止めてしまおうかと考えることもしょっちゅうだ。けれど、そんな時にまたYUKIの歌声を聴くと、心にべったりと張り付いていた悩みが、フワッと軽くなる。
ここ最近も、同じ場所をぐるぐると歩きまわっているようで、どこか曲がり角を間違えてしまったらしく、顔を上げると、そこは行き止まりだった。
けれど、1月末に発売されたYUKIのアルバム「すてきな15才」を聴いているうちに「その行き止まりの壁を乗り越えていけばいいんじゃない?」と思えるようになってきた。
このアルバムには、ちょうど一年前に私を助けてくれた「さよならバイスタンダー」という曲も収録されていて、また、私を助けてくれた。

不安になったときや、迷ってしまったとき。ぎゅっと握りしめて深呼吸するように。YUKIの歌声は、いつでも私を支えてくれている。それはまるで、お守りのように。

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