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自費リハビリと保険内リハビリ|メリット・デメリットについて



こんにちは!

理学療法士の前田です(^ ^)/



最近はお客様より
『自費のリハビリって何するんですか?』
『どこを選べばいいんですか?』
などのお問い合わせをいただくことが多くありますので、保険下リハビリと自費リハビリの違いについて簡単にまとめてみました。


それぞれメリットやデメリットがあるため、ご自身の目標や夢に合わせて選ぶことが大切です。両者のメリットを併用しながら上手に活用することをおすすめしますので、参考にしてみてください。



1.自費リハビリとは?


 自費のリハビリ医療・介護保険を使用しない保険外で行うリハビリテーションです。医療・介護など各保険を適用したリハビリよりも高額ですが、その分“リハビリの日数やプログラムの制限がない”、“質の高いリハビリテーションが継続的に受けられる”などご本人様が望む内容を優先したリハビリに沿って、リハビリプログラムを構築できるという特徴があります。



2.自費とその他リハビリテーションのメリット・デメリット


 保険下リハビリや自費でのリハビリには、それぞれメリット・デメリットがあるためご本人様やご家族の目標や夢に応じて選ぶ必要があります。


🔸公的医療保険について

公的医療保険とは、保険加入者の誰もが病気やケガの治療を行う際、3割負担まで医療費が軽減される制度です。

一般的に公的医療保険制度の種類は【被用者保険】【国民健康保険】【後期高齢者医療制度】の3つがあり、これらは年齢・就労状況などで加入条件が異なります。


◆被用者保険
サラリーマンなどの被用者、その扶養家族を対象にした健康保険。
種類は「組合管掌健康保険」「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)」「船員保険」「共済組合」など

◆国民健康保険
市区町村が運営する医療保険制度です。自営業・農業等、企業に所属していない人が加入する健康保険となります。

◆後期高齢者医療制度
 
75歳以上もしくは65歳以上で、障がいを持つ高齢者が加入する公的医療保険制度です。対象の高齢者は個人単位で保険料を支払うこととなり、窓口負担については1割となります。



−――――−– 公的医療保険でのリハビリ −――――−–

公的医療保険を利用したリハビリでは医師・リハビリ専門職の設置が義務づけられており、専門的かつ効果的なリハビリを受けることが可能です。

ただし、公的医療保険適用のリハビリはあくまで治療・機能回復を目的としたリハビリを行うので、患者様自身の要望、例えば「日常生活を問題なく送れるレベルまでリハビリを受けたい」と希望しても、公的医療保険でリハビリを行える期限を超過してしまう場合があったり、そもそもリハビリ内容(理想の目標に到達しないなど)に納得がいかないという問題が起きる場合もあります。


〇医療保険下リハビリの適用期間
 
医療保険において、例えば脳卒中症状(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の場合、脳血管リハビリテーション料においては基本、疾患発症の診断を受けた日から数えて180日以内の期限が定められています。

他の怪我・疾患でもおおよそ90~150日までの期限が定められています。



🔸介護保険について

 介護保険とは、原則満40歳以上の方が加入する保険です。要介護認定を受けることで介護が必要な方に給付する公的社会保険となります。

介護保険には介護度、支援度という介護の必要性の区分(要介護状態区分)が設定されており、この介護の必要度合に応じた介護サービスを受けられます。

※要介護認定 … 寝たきり・痴呆など、常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や家事・身支度など日常生活に支援が必要(要支援状態)になった場合に介護サービスが受けられ、各市町村に設置される介護認定審査会で要介護・支援の状態が判定されます



−――――−– 介護保険でのリハビリ −――――−–

“日常生活全般をリハビリとした機能維持”を目的にしたリハビリを行い、受けられる種類には「通所(デイケア)」「訪問」「入所」の3種類のリハビリテーションがあります。

医療保険と違って疾患・日数などの制限はありませんが、訪問リハビリを例にするとリハビリ時間は週に最大120分までといった時間制限などがあります。


【介護保険を利用して行えるリハビリテーション】

○通所リハビリテーション
 
病院や診療所等に併設されておる施設・介護医療院に通い、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の専門スタッフよりリハビリを受けることのできる施設。
主に【機能の維持回復訓練】【日常生活動作訓練】が受けられます。


〇訪問リハビリテーション
 
病院や診療所などに所属している理学療法士・作業療法士・言語聴覚士らが利用者様の自宅を訪問し、心身機能維持・回復や日常生活の自立支援をするためのリハビリを提供します。他、利用者様のご家族様へのアドバイスや相談も行います。

各利用者様のご自宅にセラピストがうかがうため、利用者様がリラックスできる環境でリハビリが行えるなどのメリットがあります。


〇入所リハビリテーション
 
施設に入所してリハビリを受けるサービスです。各介護施設に在籍しているリハビリ専門職がリハビリを担当します。各入居者様の居室やリハビリ専用室での機能訓練を行うため、より効果の高いリハビリを受けられる場合があります。
ただ入所リハサービスの無い施設もあるので、事前に調べておく必要があります。


3.自費と保険内リハビリ〜それぞれの問題点〜



🔸保険内リハビリの問題点

🔸自費リハビリの問題点

 当施設でも上記の課題を解決すべく、教育体制、管理体制、利用者様との目標共有、動画や数値での変化や確認を実施しています。当施設では医療や介護保険と自費を併用されながら、両者のメリットを活かしてご利用される方も多くいらっしゃいます。




4.リハビリ単位数が制限される理由は?


リハビリ単位数が制限される理由について、何点か説明いたします。

①コスト管理:

 医療費は国や地域によって異なりますが、リハビリテーションは高額な費用がかかることがあります。リハビリ単位数の制限は、保険会社や政府が医療費を効果的に管理し、適切な範囲内に抑えるための方法です。これにより、患者が必要なリハビリを受けられる一方で、保険料や税金の負担を軽減することができます。また、単位数制限により、適切なリハビリを提供できる医療機関の運営コストも抑えられることがあります。

②資源の配分:

 医療資源は限られており、特にリハビリテーション専門の治療家や施設が不足している地域では、資源を効果的かつ公平に配分する必要があります。リハビリ単位数の制限は、患者が適切なリハビリを受けられるように、資源を適切に配分するための方法です。これにより、リハビリの必要性が高い患者が優先的にリハビリを受けられるようになります。

③効果の最適化:

 リハビリテーションは個々の患者に対して異なる効果があり、すべての患者が同じ程度のリハビリを必要とするわけではありません。単位数の制限により、患者は適切な期間と回数のリハビリを受けることができ、効果を最適化することができます。これは、リハビリプログラムが患者の状態や進捗に応じて調整されることを意味します。

④過剰な治療の防止:

 リハビリ単位数の制限は、過剰な治療や不必要なリハビリのリスクを減らす役割も果たします。これにより、患者は適切なリハビリを受けることができ、健康状態の改善に効果的なリハビリを受けられます。また、過剰な治療を防ぐことで、患者が不必要な副作用や合併症に直面するリスクも低減されます。治療が過剰であると、患者のストレスや不安が増し、治療へのコミットメントが低下し、リハビリプログラムの効果が減少する可能性があります。

⑤個別化されたケアの促進:

 リハビリ単位数の制限は、医療専門家が患者の状態やニーズに応じて個別化されたケアを提供することを奨励します。これにより、患者はより効果的で質の高い治療が受けられる可能性が高まります。個別化されたケアは、患者と治療家が協力して目標を設定し、達成するための方法を見つけることを意味します。

⑥保険制度の持続可能性の確保:

 保険会社や政府によるリハビリ単位数の制限は、保険制度の持続可能性を確保する役割も果たします。これにより、保険制度が破綻するリスクを軽減し、将来の患者に対しても適切なリハビリを提供できることが保証されます。


 リハビリ単位数の制限は、これらの理由から医療費の効率的な管理、資源の適切な配分、患者の健康状態の改善、過剰な治療の防止、個別化されたケアの促進、および保険制度の持続可能性の確保を目的としています。ただし、単位数の制限は患者の状態やニーズに応じて適切に調整されるべきであり、必要に応じて例外的な状況で変更されることがあります。最終的には、患者の最善の利益を追求するために、医療専門家と患者が協力してリハビリプランを策定し、評価することが重要です。


5.自費と保険内リハビリの違い【まとめ】




最後まで見ていただきありがとうございました。


【参考資料・ブログ】
・厚生労働省ホームページ:「医療保険」「福祉・介護」欄 より
・医療法人社団 誠広会 平野総合病院様:「リハビリテーションはいつまでできる?」より
・みんなの介護様:「公的保険が~解説」より
・きんたろーブログ様:「【分かりやすい診療報酬制度①】~いくら?」より
・一般社団法人 日本臨床整形外科学会様 :「リハビリ日数制限」って何?」より
・AVIC THE PHYSIO STUDIO様:「医療保険を使った時のお金の話」
・日本医師会様:「なるほど!診療報酬」より



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