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人生の大先輩から授かった金言 「5つの”あ”」

先日バンドン工科大学MBAの合格発表があった。
これからVISAの手続きや準備が始まるけれど、思い通りいかずイライラや不安を感じる局面が増えると思う。インドネシアは日本と違い良くも悪くもいい加減なところがあるのだ。
19年前、ジャカルタに赴任したときに授かった「5つの”あ”」を胸に、8月の入学まで準備を進めていきたい。

当時私は33歳。インドネシア現地法人の新社長として、高まるモチベーション、大いなる勘違いを胸に抱き、必死に働いていた。
今思えば、かなり肩ひじ張った状態だったと思う。

お会いしたのは歴戦の企業戦士にして、総合商社を退職後に乞われてインドネシアの財閥で働かれていたインドネシア滞在歴20年近い老紳士。

私の様子を見て全部お見通しだったのだろう。

こんな会話だったと思う。当時私は新婚だった。


大先輩:異国の地に一緒に来てくれたんだ。大事にしなきゃいかんよ。何よりも家族を一番大切にすることです。それは絶対に忘れてはいけない。

私:はい。そのように思っております。

大先輩:そのうえで、これからインドネシアでいろいろ苦労することになると思うが、5つの”あ”というのを覚えておくとよいのでお教えしましょう。

私:5つの”あ”?ですか?(なんかよくありそうな語呂合わせかも。つまらない話の可能性ありだな、と失礼ながら内心では思っていた)

大先輩:これは私も先輩から教えてもらい、それ以来インドネシア人と接するとき折に触れ心に浮かべるようにしてきた。とても役立つ言葉です。

私:はっ。(心して拝聴しますという態度)

大先輩:1つ目の”あ”は、あわてない
2つ目は、あせらない
3つ目は、あきらめない
4つ目は、あてにしない
そして5つ目は一番大事、あなどらない

インドネシアでは物事はまず思い通りにいかない。
この5つの”あ”を常に思い出しながら事に対処すれば、たいていのことは乗り越えていけると思う。


インドネシアに来て数か月、思い通りにいかないストレスをそれなりに感じていた。

そのため、この言葉は驚くほど心にすっと入ってきた。

最初の3つは、まあ普通。特に何も思わなかった。はい、当たり前ですねといった感覚。

4つめの”あてにしない”は、ぐーと強く押しているのを急に緩める感じで、確かに大事だよ、と少し心を動かされる感覚。

最後の”あなどらない”は、頭をガツンと殴られたかのようだった。
それ抜けてました、恥ずかしい、無邪気に調子に乗っている素人丸出し状態でした、という感覚。
そしてレベルの低さを完全に見破られているという気恥ずかしさ。

“先進国から来た日本人、
正しいやり方を教えてやろう、
こんなんだからいつまでたっても発展しないんだよ、
常夏の気候がいけないんだろうな、本当に怠け者だな”

と相手をどこか下に見てしまう、自分の考えが正しく相手の考えは間違えている、浅いニ元論的な発想になりがちなのを戒める非常に大事な言葉だと思った。
舐めてかかって最後に足元を掬われ大失敗する未来の自分の姿が浮かんだ。

大先輩には、アメリカ留学のため会社を退職しジャカルタを離れるにあたって、最後お寿司をごちそうになった。
「ついてきてくれるご家族に感謝しないといけませんよ」という言葉も。
それ以来お会いしていない。年齢的にもうお亡くなりになられている可能性もある。

すいません。期待いただいたのに、あの時の若者はしがないサラリーマンに成り果て、大きな会社にただアホのようにぶら下がっております。

でも、最後またがんばります。

ご照覧あれ。






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