見出し画像

日本人にチップは失礼!?

「チップは失礼だから、お土産を持ってきたの !」というオーストラリア人。
また、アメリカ人カップルの男性が上着の内ポケットからお金を出してくると、
彼女に「やめなよ!失礼よ!」と注意され、「あ、ごめん・・」と返事をしている男性。
ツアーの最後に私が直面した場面です。

日本にはないチップ習慣

チップは欧米諸国の文化だと言われています。
元々欧州の主(あるじ)が召使に渡していたもので、それがアメリカに広がり
給料の低いサービス業労働者への「ほどこし」と考えられたのが起源です。

以下、私が数か国の人にインタビューして得たざっくりしたチップについての見解です。

・アメリカでは当然の権利と認識されていて、渡さないとサービスした側が激怒する人もいる。
・イギリスでは元々なかった習慣だが、高級なレストランやホテルでは徐々に浸透してきている。
・アジアにこのような習慣はないが、イギリス同様に渡す風潮に変わってきている国もある。

一方、日本ではチップの習慣はありません。
その代わりホテルやレストランの「サービス料金」がチップに一番近いと言われています。
しかし、街のカフェや私のようなガイドにはサービス料もありません。
また、ホテルなどでサービス料が加算されていても、
サービスをした本人が直接フトコロに入れることができるお金ではありません。


日本人の気持ち

日本人はチップに対してどのような印象なのか?
私がガイドになってこのような場面に遭遇するまで考えたこともありませんでした。

ガイドになりたての頃、会社のガイドパーティーがありました。
お酒を飲みながら先輩ガイドの経験をワクワクしながら聞いたものです。
その中でチップの話が出てきた時、聞いてる私を含めた新米ガイドは大興奮!
「へー!お給料とは別にそんなにもらえるんですね!」と自分がもらえる妄想をして、鼻息は荒かったと思います。
その話の後みんなの高揚感を感じて、今だ!と思ったのかポツポツと私も、僕も・・と他の先輩ガイドが話し始めました。
しかしそれはまるで悪事を告白するかのようでもあり、同時に特別感を披露しているようでもありました。
複雑に負と正の気持ちが交差しているようでした。

日本の習慣ではチップを当然の権利のごとくもらう人はいない、しかしもらって嬉しいということも事実だと感じました。


少し違う例ですが、
・日本ではお世話になった人に「つまらないものですが」と遠慮気味に目立たないようにささっとお菓子を渡す。
・病院入院や手術で医師や看護師に「お世話になりました」とお菓子をコソコソ渡す。
・お金を渡すときは封筒に入れて見えないように渡す習慣がある。

このような日常からも、日本は気持ちを物やお金に変えて渡すことが
どこかヤマシイ気持ち、隠していた方が無難という風潮があるように思います。


チップの意味

チップをもらったら、本当はすごくすごく嬉しいのです。
心の奥では、まるでお花畑をスキップしているようなのです。

なぜなら、それは自分の仕事が評価されたと感じるから。

あなたのアテンド、ガイドが素晴らしかったよとゲストが喜んでくれていることが形となって、目に見えているのです。
もちろんお給料プラスの臨時収入がありがたいという理由もあるのですが、
何より達成感と充足感に満たされているのです。
ここからまた次のパワーをチャージしているのです。

それがチップをもらった意味だと感じるのです。

こんな前向きで、次にも張り切って仕事できるwin-winなチップ事情。
失礼なはずがない!
チップは失礼ではありません!(笑)

素直に感謝をして、今日も精一杯の気持ちで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?