読書感想『夜明けのブギーポップ』※ネタバレ注意

今週読んだ本は著作上遠野浩平のブギーポップシリーズ第六巻、『夜明けのブギーポップ』でした。

ブギーポップ誕生の物語、個人的には霧間凪という正義の味方の誕生物語でもあると思います。
何といっても今作は今まで言葉ででしか出てこなかった霧間誠一がでてくるのでそれも楽しみにしていました。

第一作から情報としては開示されていた内容にどうつながるのかなどもしっかり出てきてこれで一つ胸のつっかえがなくなった気分でした。

霧間誠一という人物は自分の中ではもっと固めな本当に学者+哲学者+作家みたいなガチガチの言語武装系の人だと思っていたのですが、どちらかというと優しいお父さんで自分の考えに対してもずっと悩んでいるような人でした。
凪のやさしさを考えればそりゃそうかという感じですが、やっぱりあの文章たちの鋭さが邪魔をしていて忘れていました。

そして何より今作でいちばんいい味をだしていたのは『モ・マーダー』でしょう。霧間誠一を殺し、霧間凪を守るために死んだ殺人鬼。
彼の心に対して言われた『虫』の比喩は人の心の核心をついてると感じました。誰でも相反する気持ちを持っていたり、ちょっと日が経つと真逆の事を思い始めていたり、こういう気持ちの振れ幅って大小あれど必ず人の心にはあると思いますし、これを大量の虫に例えるのは面白いです。

結局彼は猟奇殺人の犯人に仕立て上げられ、一巻に繋がるわけですね。

そして楽しみにしていたあとがき、『何かが始まるとき』
こちらもまた面白かった。気づいていないうちに型が作られてそこにはまったものに惹かれていくという話。そして何もそれは『好き』だけが枠になるわけではなくて嫌いという曖昧な枠組みでもいいという話は新鮮でした。
そういわれればそんな気もしてきますし、嫌いで枠組み立てた人より好きで組み立てた人のほうが思いが強くなりがち、執着が強くなりがちなのも枠の判定の曖昧さ、許容範囲の緩さみたいなのも影響してきそうだなと思いました。


というわけで今週読んだのは『夜明けのブギーポップ』でした。

イマジネーターになる子と霧間誠一の会話よかったですね。「意思は残る、意思は繋がる」。自分も何かを残し繋ぐピースになれるのか、頑張らないとなと思いますね。

来週は『ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕』を読もうと思います。

それでは最後まで読んでくださった方いらっしゃればありがとうございました。
著者Twitter:まがしき @esportsmagasiki

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