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マガジンガーZ Vol.010 発信



医療・介護費6割膨らむ 40年に27兆円不足試算 現役負担なら1人年46万円増

医療費や介護費の膨張に歯止めがかからない。民間試算によると2040年の国民負担額は最大で27兆円増える見通しだ。仮に現役世代の20~65歳がすべて負担すると、一人当たり年46万円の増額になる。若い世代の暮らしが厳しくなれば、少子化の反転は難しい。幅広く負担する増税や、給付の抑制を議論する必要がある

日本経済新聞 2024年1月22日

この類のニュースは結局「誰のため・何のため」なのかニュースの背景を考えないとメッセージを誤って受け取ってしまいます。現役世代の負担が増えるということは基本、折半負担している企業の負担もそれだけ増加するわけで多少の業務改善では賄いきれない負担増になるでしょう。ということは「給付を減らす」が一番わかりやすく、ただ次のニュースにあるようにサービスの費用を下げる事は現実的ではなく、結局「現役の間に準備しておく」「医療・介護の負担を下げる」の2点程度しか準備できることはなく、これまで以上に「おかねについて」「介護にかかる主な費用」を早い段階から知り、備える事を求められると思います


看護師・技師 足りぬ人手 初診料値上げ 厚労省案提示 処遇改善の検証必要

厚生労働省は26日、医療機関を受診した際にかかる初診料と再診料を引き上げる案を示した。増額分を原資に医療機関に待遇改善を促し、看護師や技師といった医療職の人手不足の緩和につなげる。引き上げの財源は主に現役世代らの負担となる。世代間で生じる負担の格差をどう縮めるかが急務になる

日本経済新聞 2024年1月27日

アベノミクスを振り返って分かったことは「トリクルダウンはどうやら幻らしい」って事で、初診料や再診料といった「機関・組織」の収益を改善させても、そこで得た新たな収益が人件費に回ることはなく、彼らの処遇改善が医療・介護の現場での人手不足の改善につながるとする仮説があるなら、とりあえず関連職種に限定した「最低賃金」を定め、強制的に賃金を上げる仕組みも同時に導入しないと、初診料は上がるわスタッフは足らずに放置されるわという「誰得?」な結果になりかねない気がします


複眼「ドラッグロス」の処方箋

米欧などで普及する優れた薬が日本に投入されない「ドラッグロス」や日本向けに開発が遅れる「ドラッグラグ」が深刻化している。薬価が抑えられ開発投資を回収しづらい環境や、先端的な薬が出せない国内企業の力不足が背景にある。改善案はあるのか、産業界や医療界、承認審査機関の代表らに聞いた

日本経済新聞 2024年1月22日

2010年頃に製薬メーカー幹部から聞かされた「Japan Passing」による「ドラッグラグ」は単に「少し遅れてやってくる」だったのですが、その時「Japan Nothing」という言葉も聞き「そんな国民皆保険で医療水準も高い日本が無視されることはなかろう」と少し笑ってみていたのですがその後、本当に「Nothing」が進んでいることを知り驚いています。記事中でも「米国では2000~22年に40の所に適応のがん治療薬が承認された。このうち日本でも小児に使えるのは23年3月時点で16しかない」とドラッグロスの一例が紹介されています。このままでは「社会保険料や自己負担は増加するが最新の治療は期待できない」という何とも悲しい未来予想図しか描けなくなってしまいます


治療アプリ ネット広告解禁 成長分野、普及を後押し

禁煙や高血圧治療用に国が承認した治療アプリのインターネット広告が可能になる。政府は2023年度中に規制を緩和し患者に情報提供できるようにする。医療アプリ市場は拡大が見込まれ、先行する海外勢との競争も激化する。成長分野のビジネス環境を整え、必要な患者への普及を後押しする

日本経済新聞 2024年1月27日

治療アプリは治療薬と同様、医師が処方し健康保険の適応も受けられ、治療薬と異なり日々の体調の変化や治療効果のトレースも容易になるので、患者にとっても治療効果が実感しやすいと思われ、もっと普及しても良いと思うのですが、これまでは一般の処方薬と同様に一般向けの広告が禁じられてきたようです。その結果は例えば「肥満治療」や「薄毛治療」「美容整形」などと同様、保険医療の対象外となるグレーゾーンの方が患者認知が高いという皮肉な結果に陥っていると感じます。厚労省もそろそろ「国民は馬鹿に違いないから基本的に知らない方が幸せなのだ」という意識を改めた方がよいと思います


IT未経験者に無料で研修 マンパワー、短期で戦力に

人材サービスのマンパワーグループ(東京・港)が顧客企業に派遣するITエンジニアの短期間育成を進めている。未経験者対象の研修を無料で提供し、ITスキル習得後に希望者は面談を経て採用している。2024年以降は年間500人ほどを育成する。即戦力の獲得競争が激化するなか、未経験者を短期育成して、早期に戦力化する

日経産業新聞 2024年1月22日

ITエンジニアって短期で育成できるのですね、なんだかすごい違和感を覚えたのですが実際の現場ではそんな感じなのですかね?実際には派遣希望企業に対し派遣元として研修内容と結果(社内試験の結果とか)を開示する事で「求めるITエンジニアのスキルレベル」とのアンマッチを防止しているのだとは思いますが。このニュースで感じることは「ここまでしないと人はいない」って現実を現場のひとが理解するって事でしょうね。そこが出来ていないと、いつまで経っても「人がいない」って騒ぎ続け現場がますます疲弊するって悪循環しか見えてきません


学び直し補助 中小手厚く 1時間単位 大企業より3割高く

厚生労働省は2024年度から、中小企業に手厚いリスキリング(学び直し)支援を始める。企業が従業員に学び直しをさせる際の人件費の補助を、中小企業は大企業より単価と時間上限を3割ほど高く設定する。支給は日ごとから時間単位に改め、時短勤務での学びに対応する。他社への出向による学び直しの支援制度も設ける

日本経済新聞 2024年1月22日

時間単位での支給や「学び直し」目的の他社への出向も補助の対象になると言う事で、これまで「妖精さん」扱いされてきたような所謂「働かないおじさん」をリスキリングと称して他所に出した場合に、人件費の一部が補填されると言う事でかなり合法的に雇用整理が進むのではないかと考えます。「学び直し」受け入れ企業はそれなりの研修プログラムの設定で人材の確保も可能になると言う事で、この「2024年度学び直し補助金対応」のコンサルビジネスはかなり活性化しそうです。特に何もせず「ぶら下がり」を自覚する中高年にとっては厳しい制度になりそうです


浮世亭から

先日、人事関係者の集まりがあって、その中で印象的な話がありまして
その方は男性なのですが、会社も組織も女性の方が圧倒的に多い組織で初めて自分がマイノリティになる体験をしていると

そうすると男性同士で小さくまとまる事も多く「多様性って、こういう事ね」と納得されたそうです

あと多様性で期待されるのが「均一性による弊害の排除」って当たり前の話になりますが、これも「均一化した組織に異物を取り込むことで確かにパフォーマンスの向上は期待できる。ただこの結果に相関を観察することはできるが、因果関係を求めるのは明らかに間違いとの話

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