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『ざ・総括。』トヨタ・クラウンセダン

オススメ度 ★★★☆☆


昭和の亡霊と令和の悪癖

トヨタの16代目クラウンは、以前取り上げたクロスオーバーがFF系のGA-Kプラットフォームなのに対し、今回のセダンは「MIRAI(ミライ)」に準じたFR系のGA-Lを使う。HEV(ハイブリッド車)は直4エンジン縦置きレイアウトに4速AT+2モーターで擬似10段変速。これと後軸モーター駆動のFCEV(燃料電池電気自動車)という2種類のパワートレイン設定だ。狙いはB2G(ビジネス・トゥ・ガバメント)で国・自治体向け。社用車も含まれるだろう。「走らせてみると昭和のクラウンの亡霊に出会った」と本誌評価陣は言う。はたして仕上がりのレベルは…。

<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通


運転席は良くなった

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) クラウンのセダンだ。以前皆さんに試乗してもらったクロスオーバーとはプラットフォームもパワートレインも違う。セダンという名前は、「こっちが保守本流です」という主張にも思える。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 皆さんに乗ってもらったのは「Z」というグレードのHEVだ。グレードはこのZだけで、あとはパワートレイン違いでFCEVの設定がある。さすがに我われの周辺でもFCEVを買った人はいなかった。この試乗車はオレが親しくしている某社の社用車で、車両価格は約730万円。オプションで何を追加したのかは不明だが、ほぼ完全フル装備。新車装着タイヤはダンロップのeスポーツMAXX。サイズは235/55R19だ。
自動車業界の事情通(以下=通) クロスオーバーよりずっとフォーマル路線で、このスタイリングは個人的には嫌いじゃない。一見ファストバックに見えるけれど、独立したトランクルームを持つセダンだ。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) 全長5m超えのボディはかなり大きいですね。全長5030×全幅1890×全高1475㎜、ホイールベース3000㎜。もう少し背を高くしてもいいんじゃないのかなという印象ですが、前面投影面積を小さくしたかったのでしょうか。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) クロスオーバーに対してもっと差別化してもいい。高めのリアデッキの3ボックスという選択肢もあったはずだが、ファストバックスタイルにした。クロスオーバーとの類似性が欲しかったのだろうか…。

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