今市子『百鬼夜行抄』31

4月6日
今市子『百鬼夜行抄』31

【ネタバレを含む感想です】

 今市子の妖怪漫画シリーズ『百鬼夜行抄』の最新刊。
 やっと海くん帰ってくれた……。ほんとに申し訳ないけど、この子のキャラにまったく魅力を感じなくて、読んでてキツかったので助かった。
 とはいえ、嫌いなキャラが出てるかどうかと、ストーリーの出来栄えは必ずしも一致しなくて、長い目で見たら海くんを中心に据えたサーガがこのシリーズの重要な要素になってくるのかもしれないけど。

 収録作では『容れ物とその中身』が群を抜いて怖い。善意で人形のもげた首を直してあげたことで、霊が実体を持って力を得てしまうという展開が面白いし、作者あとがきによると作者の家にあった人形がヒントになっているとか。冷んやりとする余韻が残る終わり方も良い。

 あとは『夏が傾く』の民俗学的なモチーフと、切なさの残るストーリーも好きだし、何が起きているのか曖昧なまま進んでいく『嵐吹く……』はいかにも百鬼夜行抄という趣き。

 なんだかんだで新刊が楽しみなシリーズ。今後も楽しみにしています。


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