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  ひとりぼっちのヒヨドリ その15

   

    前のお話 ➡ ひとりぼっちのヒヨドリ その14


梅雨の真っ盛り。

ひよちゃんがひとりでエサを食べに来るようになって
3日目の朝。

朝食の支度ができて夫に声を掛けたら、

「さっきひよが来てな、
 そこの網戸の向こうの縁台に止まって
 うちの中のぞくような仕草してたぞ」

と言う。


「エーッ、それでどうしたの?」

「それだけだ。
 ちょっとそんな仕草してサーッと向こうに飛んでった」
 
「わあ、なんだったんだろ。
 もし網戸が空いてたら廊下まで入ってきたのかなあ」

「それは無いな」

「そうかあ、
 網戸が開いてて中に人が居るのが分かれば
 のぞいたりなんかしないわね」


   だけど、なんだろう・・・
   あ、そうか、エサがお皿に無くて催促に!


あの5年前初めて我が家の庭木で子育てしたヒヨドリカップルは、
オスが催促しに来たものだった。
     


ひとりぼっちのひよのために、
良く熟れたバナナを4分の1本程とイチゴを
食べやすく刻んで、
グミの木にセットしたお皿に入れておいた。

毎日雨が降るようになって、
陶器のお皿ではエサが水浸しになってしまうので、
小さな竹かごの底の部分を切って
プラスチックのひもで縁取りをしたお皿に替えてある。

コレ 👆

 
    
       私としては上出来 (;^ ^)



度々気になって
お皿を覗いてみるけれど、
お昼を過ぎても少しもエサが減った様子が無い。


  あれ?
  まさかひよちゃんまでモズのヤツに・・・

いやな胸騒ぎ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

昼食後夫に頼まれた用事で出かけ、
2時間ほどして帰宅すると

「ついさっき、
 ひよがそっちの方でなんか聞いたこと無い鳴き方してたぞ」

と夫が玄関の向こうを指して言う。

   ヨカッタ、無事だったんだ 


「あもしかして、  
 ヒーヨ ヒーヨ  ヒュルルルルー みたいな?」

「ああそうだ、そんな感じだ。
 寂しそうな感じの鳴き方だった」

夫もすっかりひよちゃんが気掛かりになってしまってるらしい。


  可哀そうにきっとまだお母さんを待ってるんだ ( ;∀;)

                        
ジーンと胸が痛む。


 
結局その日は私が用意しておいたご馳走は
とうとう無駄になってしまった。


  ひとりで何を食べているんだろ・・・

  もういろんな木の実や甘い蜜のある花なんかあって
  あ、そうそう、
  ウチの南天の実も結構食べてるみたいだし
  私があげなくても間に合ってるのかなあ。

     ・・・・・・

  あ!それともお母さん探し回ってるの?


  まさか! なんか悪い事でも・・・ 

     

    つ づ く

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   ひとりぼっちのヒヨドリ その16


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