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経営の資金繰り支援策について~要チェック!コロナウイルス関連の特例~

新型コロナウイルスの流行により、数多くの企業が資金繰りの対策に迫られている状況となっています。特に中・小事業者では、財務体質が大手企業と比較すると弱含みであることと、大手企業やそのグループ企業よりも信用力が乏しいことが影響し、金融機関からの新規調達借入が難しい状況となる場合があります。故に、資金繰りが回らなくなり、廃業を選択する事業者も徐々に増加傾向にあります。政府としては、新型コロナウイルスの影響を受け、資金調達が困難な中・小企業の資金繰りを支援するため、特例として融資制度・信用保証制度の拡充を実施しています。


今回は、令和2年度に策定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策で実施されている資金繰りの施策を「政府系融資」と「信用保証協会による信用保証制度」の2パターンに分けて特に知っておきたいポイントを中心にご紹介していきたいと思います。

売上減少が「見込まれる」場合に利用可能な融資制度

セーフティネット貸付
「セーフティネット貸付」は以前からある制度で、主に自然災害時に適用されていましたが、コロナ対応として利用条件の緩和が実施されています。
従来までは過去の実績等と比較して売上が減少した事実が必要となる、いわゆる売上減少要件がありましたがそれが緩和され、売上減少が「見込まれる」場合であれば利用することが出来るようになりました。

● 利用対象:中小法人、個人事業主など
● 売上条件:コロナの影響が見込まれる事業者であれば利用可(※実質無条件)
● 金利:中小1.11% 個人1.86%(※基準金利)
● 融資限度:中小事業7.2億 国民事業4,800万円
● 据置期間:3年
● 貸付期間:設備資金15年以内、運転資金8年以内
● 担保・保証人:原則必要

対象期間の売上減少が「5%以上」で利用可能な融資制度

コロナの影響で売上減少が5%以上ある事業者は、以下3つの制度から支援を選択することが可能です。

● 新型コロナウイルス特別貸付
● 商工中金による危機対応融資
● 新型コロナウイルス対策マル経融資。

ただし、②「商工中金による危機対応融資」は、これまでに商工中金と取引がない事業者は、商工中金の新規審査の基準等を勘案し、実質的に利用する事が難しい状況になっています。③「新型コロナウイルス対策マル経融資」は商工会議所の経営指導員の指導を受ける必要があり、意思決定に時間を大幅に有することから、実際には利用者の大半が①「新型コロナウイルス特別貸付」を選択しているとのことです。

そのため、今回は「新型コロナウイルス特別貸付」に関して記載致します。

新型コロナウイルス特別貸付
● 利用対象:中小法人、個人事業主など
● 売上条件:5%以上の売上減少(※個人事業主は条件無し)
● 金利:当初3年間(金利0.21%~0.36% ※以降は基準金利適用)
● 融資限度:6億円(利下げは2億円迄)
● 据置期間5年
● 貸付期間:設備投資20年以内、運転資金15年以内
● 担保・保証人:原則無担保で利用可

コロナ対応の信用保証協会による信用保証

信用保証協会とは、信用保証協会法という法律に基づき、信用力の乏しい中小企業・小規模事業者の資金調達支援、資金繰り安定化のために設立された公的な信用保証機関です。保証協会は事業者が金融機関から資金を調達する際に、事業者への「信用保証」を通じて信用力を付与し資金調達のサポートを行います。信用保証協会による信用保証の主な特徴については以下の通りです。

● 取引金融機関からのプロパー融資と保証付融資の併用により、融資枠の拡大を図れる
● 多様なニーズに応じて利用できる保証制度を用意
● 長期借入金に対応した保証制度を用意
● 無担保で利用可能

コロナ対応として新たに信用保証の対象となったのは、「セーフティネット保証4号」、「セーフティネット保証5号」、「危機対応融資」の3種類です。

セーフティネット保証4号
突発的災害の発生した地域において、災害等に起因し売上高減少している中小企業者を支援するための制度です。現在は「令和2年新型コロナウイルス感染症」だけではなく、「令和2年7月豪雨による災害」「令和2年台風第14号に伴う災害」等が指定案件となっています。

対象事業者
● 指定地域で1年間以上事業を継続していること(※新型コロナウイルス関連については、全ての都道府県の「業歴3カ月以上」と期間減少されています。)
● 政府指定を受けた特定災害の発生により、最近1か月間の売上高又は販売数量等が前年同月に比して20%以上減少していること
● その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること


保証限度額
● 普通保証:2億円以内 無担保保証:8,000万円以内
● 無担保・無保証人保証:2,000万円(※一般保証とは別枠で保証)

セーフティネット保証5号
全国的に「業況の悪化している業種」の中小企業者を支援するための措置ですが、長期化する新型コロナウイルスによる経済の低迷を受け、令和2年5月1日以降は原則全業種が指定対象となり対象範囲が拡大しています。信用保証協会の一般保証(2.8億円)とは別枠で、最大2.8億円の借入債務の80%について保証を受けることが可能です。


対象事業者
指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の中小企業者

指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者

保証限度額
セーフティネット保証4号と等しい条件

危機関連保証
新型コロナウイルスの影響によって、新たに全国・全業種の事業者を対象に設けられた追加保証枠が「危機関連保証」です。売上高が前年同月比15%以上減少する中小企業・小規模事業者に対して、セーフティネット保証とは別枠として2.8億円の借入債務の100%を保証します。

対象事業者
新型コロナウイルスに起因し、金融取引に支障を来しており(リスケの実施等)、金融取引の正常化を図るために資金調達を必要としていること。

原則として、最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、且つ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれること。


保証限度額
普通保証:2億円以内 無担保保証:8,000万円以内
無担保・無保証人保証:2,000万円
(※一般保証・セーフティネット保証4号5号とは別枠で保証)


まとめ

コロナ禍では、大多数の事業者の方が大幅な売上減少を経験しています。複数制度がある中で、実際にどの制度を利用するべきか過去の事業活動や、事業規模、現在の財務状況などを鑑み判断する必要があります。資金繰りが悪化傾向にある場合は、できる限り迅速に金融機関の窓口や専門家に相談しサポートを受けましょう。


参照資料
日本政策金融公庫:経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)ページ
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html
全国信用保証協会連合会HP:
https://www.zenshinhoren.or.jp/index.html

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