夢物語|死ぬ瞬間

※夢でみたことを物語にしたものです。
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危険な洞窟調査から戻った僕たち4人は、不意な事故が原因でまもなく他界する運命にある。
はじめに亡くなったのは先輩だった。
僕がとても尊敬していた先輩。
彼は洞窟の入り口に体を横たえ、僕らに見守られながら、次第にその鼓動は止まっていった。
苦しむことはなく、とても安らかな死だったように見える。
そして次は僕だった。
気がつけば僕も先輩の隣に、体を休めるように横たわっていた。
なんだか全身が重くて、熱くて、息苦しい。
頭がぼんやりして、まるでひどい風邪をひいているときみたいだ。
できるだけ先輩の体にくっついた。
彼の背中にひたいを、腰に太ももを、ふくらはぎに脚をあてて。
触れているところから先輩のぬくもりを感じられる気がする。
不思議と心はとても穏やかだった。
(先輩……)
先輩の呼吸が浅くて苦しそうだ……いや、先輩はもう亡くなっているから、これは自分の呼吸か。
仲間のふたりが、そばで見守ってくれているのが見える。
静かに目を閉じて、ひたいに先輩の背中のあたたかさを感じた。
もう体は岩のように重くて動かせない。
胸は熱く、呼吸は浅く、意識は薄れ、感覚が徐々に鈍くなってゆく……だけど、痛みは全く感じない。
睡魔に似たようななにかに襲われ、抵抗することなく、それに体を預けてゆく。
そうして、ぼんやりするなか、僕はゆっくり、ゆっくりと……。


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