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人間の幸福

神社への賽銭の投げ過ぎで自己破産した甲と大量の大豆を窃盗したかどで起訴され保釈中の乙が手を取り合って街のメイン道路でパレードをしている。互いに手の内が見えないことを嘆いている。

沿道では公共交通機関を利用できない人々がその背中の辺りに汁粉を載せながら這いつくばって前進あるいは後進している。

寒空の中に光る星座を見つけて失脚する厚生労働大臣。
特別養護老人ホームの敷地に無断で忍び込み鍋をつつく天秤座の力士たち。
時計屋で葱を購入しようとする熟練の書道家。
空想の孤独感に酔いしれる一匹狼の群れ。
あの日の約束は決して出来心でなかったことを今すぐに証明してくれ。

人間の幸福、それは恐らく漬物屋にあるのだろう。漬物屋の漬物がそうなのだろう。

白い日傘をさして青白い顔で車道を歩くあの夢の中にいる人々は、眼鏡屋でついに真実を知ることになるんだ。



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